コシ=ファン=トゥッテ
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第二幕その二十
第二幕その二十
「私です」
「この四人。まずは」
デスピーナは実は白紙の証書を見ながら続けていく。
「女性達はフェラーラ出身」
「そうです」
「その通りです」
姉妹がその問いに答える。
「男性達はアルバニア出身」
「仰る通りです」
「如何にも」
今度は二人が答える。
「私達はアルバニア出身です」
「そこから来ました」
「そうして結納として結納金並びに持参金を」
「それももう」
「わかっています」
四人はそれぞれ頷きそのうえで。まずは姉妹が前に出るのだった。
「じゃあサインを」
「させて下さい」
「いよいよだな」
「そうね」
ここでアルフォンソとデスピーナはそっと言い合うのだった。
「さて、これからが肝心だ」
「どうなるかしら」
二人が言い合ったところで、であった。海の方から。
「軍タ衣生活は素晴らしい」
「えっ!?」
「あれは!?」
姉妹はその歌声にぎょっとした顔になるのだった。
「あの歌はまさか」
「あの人達が」
「毎日場所を変える」
「今日は遠くへ明日は近くへ」
歌が続く。
「ある時は地上に、ある時は海の上に」
「まさか。そんな」
「もう戻って来るなんて」
「何でこんなところで?」
「聞いてないぞ」
これはフェランドとグリエルモだった。
「どういうことなんだ?」
「これは」
「皆さんお静かに」
しかしここでアルフォンソが彼等に話す。
「どうかお静かに」
「アルフォンソさん」
「どうされるのですか?」
「私に任せて下さい」
こう話すのだった。
「大変なことですな」
「あの歌声はやっぱり」
「そうですね」
「軍の歌です」
アルフォンソは今度は姉妹に対して述べるのだった。
「軍が戻ってきました」
「まさか今日出て」
「それで今日戻って来るなんて」
「軍とはそういうものです」
しかしアルフォンソはここでも平然としていた。
「何時出て何時戻るかわかりません」
「それは知っていましたけれど」
「それでも」
「まあ落ち着いて下さい。御二人も戻って来ているかも知れません」
「嘘・・・・・・」
「そんな・・・・・・」
姉妹はそれを聞いてさらに青い顔になるのだった。
「それじゃあ私達は」
「どうなるの?」
「あっ、おられますね」
アルフォンソは何処からか望遠鏡を出してきていた。そうしてそのうえで海の方を見て言った。
「御二人は」
「僕達がか」
「向こうにいるのか」
二人はそれを聞いてまた話す。
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