ポケットモンスターズファンタジー~導かれし者達の軌跡~
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Reincarnation
信じる力
養老のダンジョン、二階フロアに入ってからかなりの敵を残っていた居たのだが、もう既に残り四人となった。その四人は 一番厄介で攻撃重視の リングマ と、すばやさが意外と高い ハッサム ・・・他は マタツボミ と アゲハント の為に直ぐに蹴りはつくであろが油断は出来ない。なぜなら全体的に攻撃している関係で、多少の片寄りはあるがダメージが蓄積されて倒れる感じなので、なんだかんだで耐えたということは・・・それがマタツボミとアゲハントを油断出来ない理由である。しかも敵はそろそろ終わらせるつもりか技を溜め始め、
「はぁー・・・はぁー・・・アーシアちゃん、逃げてっ。私達はもう体力的にも・・・限界っ・・・」
「敵が技を溜め込んでるから早く・・・アーシアがあれ食らったら致命傷じゃ済まないよ・・・・・・」
「レイエルさん、モルクさん・・・。いえ、私は逃げない・・・置いては行かないっ!! 例えどんな状況でもあっても、2人は私の恩人で・・・私の大切なのですから」
最後の一言でアーシアは敵の方に電光石火を使って突っ込んで行き、その瞬間に敵の技が一斉に放たれて走ってたアーシアに・・・
バシィンッ!!
その衝撃で大爆発を起こし、砂煙が舞い、敵の姿が見えなく、レイエルとモルクにも多少の衝撃波と突風が襲って身体が軽く吹っ飛ばされる。そしてその吹き飛ばされている間の砂煙の中から黒い物が吹き飛んで行くのが見え・・・
「ま、まさか今のって・・・」
「っ!! バ、バカ言わないでっ!!言わないでよぉ!!!!」
未だ晴れない砂煙に向かってレイエルは叫ぶ。まさか、まさか、先ほどの影がアーシアならば・・・。そして、とうとう砂煙が収まってきて、だんだんシルエットが見え始める。影は一つ、二つ、三つ、四つ、五つ・・・あれ?一つ多かったので、目を擦ってもう一度数え始める・・・やはり何度数えても五つ。そうしているうちに砂煙が全て晴れると、レイエルとモルクは自分の目を疑った。なぜなら、
「はぁ、はぁ・・・なんとか・・・耐え切りました・・・・・」
あの攻撃から致命傷もなく耐え切ったのだから。なぜっと思ったその瞬間に ガッシャーン とアーシアの周りから緑色のガラスみたいな物が砕け散ったのが見えたのを見て、何があったのかを悟ったから。アーシアは"守る"を使ってあの強力な技を受け流し、しかもこのタイミングで技を使えるようになったということである。通常ならば"守る"なんてレベルアップか、技マシンと言われるプレートを使って習得するのが普通なのにも関わらず、アーシアはその常識を打ち破って見せ、しかも"電光石火"・"アイアンテール"も同様に覚えたのである・・・全くもって何が起きてるのかをレイエルは理解出来なかった。
記憶は無いし、本で読んだ仮想の生物と言われた人間だと言ったし、そして技をポンポン覚えていくし・・・。ホントこの子には驚かされてばかり。
「す、凄い・・・あれを耐え抜いちゃうなんて・・・・・・じゃない。モルク!!今の攻撃であいつら疲れてるから一気に行くわよっ!!」
レイエルの掛け声を合図でモルクは立ち上がり、トレジャーバックからタネを取り出して口の中に放り込むと、その途端モルクの身体から電気が迸った。その状態で右手を後ろに引くと迸っていた電気が右手に移動し、しばらくキープした後にその右手に溜まっている電気を前に投げる動作をする。すると手から凄い勢いで雷槌の矢が放たれ、スピードが早いハッサム以外は逃げきれずにそれを食らい、マタツボミとアゲハントは崩れてバンギラスは片膝をつく。その隙をアーシアは見逃さず 電光石火からスピードを生かした アイアンテール でお腹にクリーンヒットさせる。レイエルの方はマジカルリーフをハッサムに狙って放ったが避けられ・・・だがそんな事は承知だったらしくサイコキネシスで捕まえると、
「二人共伏せてっ!!」
その声に反応して二人は伏せると、レイエルは捕まえていたハッサムをバンギラスに思いっきり投げつけた。ぶつかった衝撃でバンギラスは吹っ飛ばされ、ハッサムはバンギラスに衝突した衝撃で戦闘不能になった。さらに追撃でレイエルはマジカルリーフをバンギラスへと集中放出・・・さすがにコレでバンギラスも耐え切れないだろう。
「お・・・終わったのですか?」
「いえ、砂煙が晴れるまで戦闘態勢崩しちゃダメ。 ちゃんと倒れてるのを確認」
「うん。でもコレで倒れてなかったらもう限界だよ・・・。だって《猛撃の種》までボクは使っちゃったんだから・・・・・・」
猛撃の種は一時的に食べた者の攻撃力を底上げする消耗品アイテム。これによりちょっと溜めただけでも限界までためたのと同じ威力が出せたり、貯めるのに時間がかかる技を直ぐに出せたり、通常は覚えるまで時間がかかる技を使えたりなど、メリットが凄い高い。その代わりデメリットとして、お高いのが難点なのだが・・・。ちなみに猛撃の種の他に色々と種があるのだが、それは別の機会に話すとしよう。
「あんたねー・・・あんな貴重な種を気軽に使わないでよね。高いのはモルクが一番知ってるでしょうよ」
「ま、まぁね・・・でも緊急だったから別に良かったんじゃないかな? でも、ボクの技すごかったでしょ!!?」
「はいっ、凄い電撃の槍でした!! モルクさん凄いんですね、レイエルさんも。私なんか足を引っ張ってばかりでしたから・・・」
「そんなこと無いわよ。アーシアちゃんのアイアンテールはすごい威力だったし、電光石火なんか最初よりすっごく早かったんだから!!」
レイエルはアーシアの技についてコメントをする。それに対してアーシアは照れながら そんなことは無いですよ と少し否定的に答えた。それを見て何を思い出したのかレイエルが突然真剣な顔になり、
「ところでアーシアちゃん、なんで技が使えたのよ?しかもいきなり」
「えっ!? えーと、自分を信じたからだと思います。自分ならやれると」
「ふぅーん、まぁ分かったわ。そのへんはあとでジックリと。 じゃあなんか大丈夫そうだから行きまし・・・・・・っ!!!! アーシア、モルク横に大きく飛んで!!」
その声に何も考えずにアーシアとモルクは横に飛び覗いた瞬間、まだ完全に晴れていない砂煙の中から赤いビームのような物が飛んできて・・・今まで自分が立っていた場所の地面が大きく掘り削られた。信じたくは無かった、だがこれに気がつかずに後ろ向いてこの場から離れようとしていたら間違い無く死んでいたと思うと、額に汗が流れる。しかも赤い光が見えてからこっちに向かって放たれてくるのは数秒も無かったとなると・・・もうこれ以上は考えたくもない。だがそんな事よりも、
「まだ立ち上がれるんだね、あのバンギラス。幾ら何でも強すぎだと思うんだけど・・・レイエルはどう思う?」
「どう思うもなんもチート級の強さなのか、それとも私たちの威力不足なのか・・・ともかくなんとか沈めないと、もし逃げたとしてもほって置いておくのは危険だし、ましてや私たちみたいに間違えた他の人に危険が及ぶんだから倒すしか無いわね・・・」
「た、倒せるでしょうか・・・?」
レイエルの呟きにアーシアは震え声で尋ねる。その問いに対してレイエルは難しそうな顔をしながら、
「わかんない・・・でもやるしか無いのわね・・・」
~~~~~☆~~~~~
ところ変わって同じ森の中で二人がさまよっていた。一人は草タイプのリーフィアで、もう一人は氷タイプのグレイシアだか、こちらは背中に体色と同じバックを背負っていた。
「ねえ、出口まだなの?」
「まだだ・・・・・・てか、くっつくな。恥ずかしいだろ・・・」
「良いじゃないのよ。別に誰か見てるわけでも無いし、居るわけ無いんだから」
どうやら二人のカップルが(片方が一方的だが)出口を探しているようだが、なかなか見つからないらしい。
「にしても、なんで私達こんな敵意剥き出しにされないといけないのよっ? でもリファルが居るなら安心ね!!」
「お、俺に任せる気かよ・・・」
「任せるわけじゃないけど、なるべくはリファルが前線して欲しいのよ。ほらっ、アタシはトレジャーバック背負ってるせいで機動性が落ちてるから。 しかも少女に前線に出ろって言いた「はいはい、分かった分かったっ!!」分かればよろしいー」
そのやり取りに嫌気が刺したようでリファルはことを承諾したが、正直面倒くさそうな雰囲気が顔に出ていた。
「ねぇリファル?」
「あ、なんだ? また要件追加か?」
「違うわよ。さっき攻めたところ案外セキュリティ強かったわね、まさか見つかると思わなかったから。それに引き換えリヨールシティのアジトは楽だったわねっ。 監視システムがメンテナスって何を弄ったらそんな事になるんでしょうね?」
「だから俺はプラグラムは無理だって言っただろうが・・・まぁ確かにあそこは簡単だった。ともかくこれであそこの街中心、その辺一帯の森にはおかしなレベルの奴等も、暴走する奴らも現れないだろう」
この二人が話していることとは一体・・・そしてアジトとは・・・
「にしても見つからなかったわね、時空間の歪みの原因。本当に早くしないとドリームメイカーズの野望が実現しちゃう・・・」
その娘は視線を下に下ろす。それを見てリファルはゆっくりと近づいてその娘を後ろから きゅっと 抱きしめ、
「心配するな。なんかあったら絶対に守ってやるから」
「リファル・・・」
そう一言。抱きしめる手も自然と強くなる。
「とにかく出るぞここから。だからお前はいつも通り明るくしてろ。俺の調子が狂うからな。あと、気づいているんだろう?この遠吠えを」
「ふふ、リファルも気付いていたのね。加勢する?」
「そうだな、加勢するか。もしこのダンジョンに見合わないレベルの奴が居たら危険だからな。しかもさっき大きい爆発音もしたもんな・・・とにかく走って向かうぞ!!」
そうフィリアに言うとその場所に行くためにアーシアより格段に早い、まさに電光石火で走って行くのであった。
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