連邦の朝
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第27話 発展
前書き
リッシュモンの報告書がワイアットを突き動かします。
あの会議から、3月が経っていた。
ワイアットは何時ものように、書類仕事をしながら考えていた。
あの三八式歩兵銃とマグナムをコルベール研究所に渡したが果たして大丈夫なのか?まさか、コルベール家が参加するだけで、蒸気機関が完成し、鉄鋼技術等がかなり上がり、その上に本当に天灯、ロケット、缶詰を持っておりそれが労せずに手に入るとはな、全くコルベール家の連中は私と同様の人間なのか?
ワイアットがそんな考えになるのは仕方がない何故ならば、ロケットは木製だが鉄製も作れそうな水準であり、錬金からアルミが作れるのだ。さらにはそれに地球の気候や地形にているので試しに、地球の鉱山辺りを掘らせたら、本当に鉱山になったのだ。つまりは、鉱山も知っていて更に、ロケットが使用出来るの上に治金技術が上がれば、車が出来るのだ。其までに油田地域を押さえれば、銃と車による電撃作戦、落ちない要塞にはカチューシャで砲撃を撃ち込み、敵の艦隊と飛竜にはバズーカで倒し、鉄の扉はパンツァーフィストで壊せば勝てない敵はいないのだ。飛行機は、ワイアットの得意分野であり、それも考慮すればゲルマニア制覇後にガリア、ロマリア征伐を実行出来るのだ。
ワイアットは此処に昔の野心が蘇り、その野心が少しずつ自分の身を焼く感覚を覚えた。だがその野心はワイアット一人分にしては、有り余るものだった。その野心は、ワイアットが知識を手に入れた弊害かもしれない。
そんなワイアットにある報告書が届いた。
そこには昔、空を飛んできた金属の皮を持つ竜の様な物があると言うのだ。
例えば、これが他国に有ったとすれば、ワイアットは諦めただろう。例えば、その報告書にスケッチがなければワイアットは急いで支度をしなかっただろう。まぁ、結果論だが。
「リッシュモン、マザリーニ。留守を頼んだぞ。マリアンヌには、これを渡してくれ。」
ワイアットは近くにいたマザリーニに、包みを渡して旅立った。
ワイアットが乗り込んだのは、トリステイン王家直轄地内を走る、ワイアット考案の馬車鉄道だった。
ほぼ全てのトリステインに鉄道網を完備する事となった、馬車鉄道(マリアンヌ鉄道)の由来はワイアットが忙しくしている間に、王族で初めて乗ったのがマリアンヌにだった為にその事に由来する。
そして、このマリアンヌ鉄道はトリステインの発展にかなり寄与しているのだった。何故ならば、輸送費の大幅削減、並びにトリステインの商会に対してトリステイン自ら投資を呼び掛け、トリステイン軍が警護(商会がトリステイン軍を信用するのは、国葬をしているため。)し、商会に個々に払っている警護費用よりも戻ってくる金が良いと考えるだろう。更には、ガリアやゲルマニアまで、真似をするためにスパイを送り込んで来たために彼らを祖国に“平和的”に帰し、懐に金を渡せば馬車鉄道を我が国が作ると持たせたのだった。
ガリアとゲルマニアは、快く承諾しトリステインに建設費と毎年二十万エキューの利用費を支払うこと、わざわざトリステインから整備に来たりするのは、好評だった。それにトリステイン自ら交渉し貴族に通行税等を馬車鉄道で運ぶ際には、取らないと契約させたのも好評の一因だった。
そんなことも露知らず、ワイアットは馬車鉄道を使い目的地、ヨシェナヴェとワインの村タルブに来ていた。
「ここがあのかの地か、コルベールとジャンヌ行くぞ。」
ワイアットは、確認とコルベール家の研究レベル向上の為に、ジャン・コルベールを連れて来ていた。
ワイアットが何故コルベールから、わざわざジャンを選んだかと言うと一ヶ月前ジャンの研究ノートを読んだとき(ジャン・コルベールから依頼されて)彼のノートには、新たな竜篭としてグライダーが設計されていたからだ。
「陛下、この様な田舎に何かあると?」
コルベールは、聞いた。
「ふん、貴様に分かる事をグリーン様が考えるわけないだろう。そうでしょう?グリーン様!」
ジャンヌはマリアンヌが呼ばれず、自分が呼ばれたことにより気分が高揚してコルベールにきつくあたった。
「コラ、ジャンヌ。私達が喋っているよりも、早く村に行こうか。」
ワイアットは軽くジャンヌに注意すると村に入っていった。
村は、活気に満ちていた。作れば作るほど、ワインが売れるのだ。しかもその上に、ヨシェナヴェ目当てに観光客が来ていた、それはワイアットの政策による暇になった貴族と探せば幾らでも職が有る現状から賊が減り、商人が台頭した恩恵を表しているのだった。
活気に満ちた村を歩いていると広場に着いた。途中、しつこく絡んできた者も有ったがジャンヌの「貴族にその様な扱いをして良いとも?」と脅すとすぐさまいなくなった。
着いた広場には、ワイアットが以前の世界に見た神社と呼ばれるものだった。
「何ですかこれは?入り口の柱には意味が?」
ジャンヌの言葉にワイアットは
「もしかすると聖堂の様なものかもしれないな…」
と答えた。
「陛下、ここからどこへ?」
コルベールはワイアットに聞いた。
「どこもなにも目の前にある。この中だ。」
ワイアットは、神社に歩み寄りその社に手を伸ばした。扉に触れる前に止めて、後ろを向いた。
「そこに、居るのだろう出てきたまえ。」
ワイアットがそう言った。コルベールとジャンヌは二人揃って振り向いた。
その時に、茂みから男が飛び出してきた。
ワイアットの目がギラついた。
後書き
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