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スーパーヒーロー戦記

作者:sibugaki
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第76話 天駆ける竜の輝き

 ベガ星連合軍の科学要塞研究所壊滅作戦は、マジンガーZ並びに復活したグレートマジンガーの協力により脆くも崩れ去る結果に終わった。そして、戦闘を終えた二体の魔神は、互いに顔を合わせる形で大地に立っていた。
 その足元にはそれの操縦者と思わしき面々が顔を揃えていた。
「こうして面を合わせるのは初めての事だな」
「そうだな、前はあんたに助けられたっけな」
 甲児が言っているのは今から半年前に起こったミケーネ帝国の侵攻の際だ。
 その時は、戦力の大半をジュエルシード事件で失っており、それの補充もままならぬままの状態だった上に敵の力が遥かに上回っていた為に苦戦を強いられる結果となった。
 其処をグレートマジンガーに、剣鉄也に助けられたのである。その事を甲児は未だに覚えていたようだ。
「気にする必要はないさ。奴等と戦うのは俺の使命みたいな事だしな」
「随分堅いんだな」
「そうか? これでも随分丸くなったつもりだったんだが」
 甲児にそう指摘され、鉄也は半ば困った顔をする。それがおかしかったのか甲児は笑った。その隣に居るなのはもまた笑みを浮かべていた。
 なのはもまた、鉄也と会うのはこれが初めてになる。そして、それは鉄也もまた同じであった。
「君が、高町なのはか? 君の事はフェイトから聞いているよ」
「フェイトちゃんから?」
「あぁ、大切な友人。と聞いている」
「えへへ」
 自分の事なのか、尚一層照れ臭く感じてきた。頬を赤く染めて照れ隠しかの様にそわそわしている。
「何にやついてんだよ」
「だ、だってぇ」
 甲児の意地悪い言い分に半ば困り顔になるなのは。そんななのはを見て面白半分に笑う甲児が居た。
「甲児君、これから君はどうするんだい?」
「この後俺達は早乙女研究所へ向うつもりさ。グレンダイザーに続いてグレートマジンガーが復活した。後はゲッターロボの復活だけさ」
「そうか、道中気をつけた方が良い。恐らく敵も既に君達をマークしている筈だ。次はどんな手で来るか分からないぞ」
「心配すんなって。どんな奴が来たって負けやしないさ」
 自信満々に言う甲児。そんな甲児が二人にはとても頼もしく見えた。それから時間を置かずに、甲児となのはは移動を開始した。
 目指すは早乙女研究所。ゲッターチームとの合流をする事だ。
 空を跳び移動していくマジンガーZを、剣鉄也は静かに見守っていた。Zの姿が空に溶け込んで行くのを確認すると、鉄也は腕に取り付けてある通信端末の電源を入れた。
「所長、聞こえますか?」
【聞こえるぞ、鉄也君】
 通信端末から聞こえてきたのは兜剣造の声であった。
「ご子息に、お会いにならなくて良かったんですか?」
【今、甲児に会う訳にはいかない。私が息子達に会えるのは、この戦いが終わった後でだ】
「そうですか」
【鉄也君、すぐに戻って来たまえ。グレートブースターの最終調整並びにグレートマジンガーの最終点検を行う。それが終わり次第、君は直ちに前線へ復帰して貰う】
「望む所ですよ!」
 通信端末の電源を落とし、鉄也は大空を見上げた。
 兜甲児、マジンガーZ。彼等との再会を胸に堅く誓い、鉄也は一路科学要塞研究所へと帰還した。




     ***




 百鬼帝国の総本山である人工島。神出鬼没のこの島の内部にある作戦会議室では、今多くの百鬼一族達が顔面蒼白の思いに駆られていた。
 その原因とは言わずもかな百鬼帝国皇帝ブライである。
「何だこの低たらくは!」
 玉座の肘掛を思い切り叩きブライは激怒する。鬼の形相が更に険しくなり、恐ろしい形相を浮かべる。その形相に多くの百鬼一族達が恐怖に声をなくしていた。無論、それはヒドラー元帥やグラー博士も同じ事と言える。
「ヒドラー元帥、貴様今まで何をしていたと言うのだ! 折角憎きゲッターロボを戦闘不能に追い込んだと言うのに、事態は遅々として進んでおらんではないか!」
「も、申し訳ありません皇帝。何分侵略同盟と言う組織を作ったばかりに今までの様に自由に動けなくなってしまいましてそれで―――」
「言い訳など聞きたくない!」
 更に激しい怒りがヒドラー元帥を襲う。その怒号に思わず肩を震わせ跪いてしまう。情けない光景とも言えた。
「貴様等がもたもたしていたせいで地上では戦力を徐々に回復させてきているのだぞ! マジンガーZは復活し、ウルトラマンも戻って来てしまった。折角の好機を貴様等は何故潰したのだ! この愚か者共が!」
「も、申し訳ありません!」
 平身低頭し、必死に許しを請う一同。その光景を前にしても、ブライ大帝の怒りは静まる事はなかった。寧ろ益々怒りの炎が込み上げてくるのが分かる。
 苛立ちが納まらない。此処に居ては返って苛立つだけだ。
「良いか! ワシを納得させる結果を持って来い! 出来なければ、貴様等は即刻処刑してくれるわ! 貴様等の変わりなど幾らでも居ると言う事を忘れるなよ!」
「ひゃ、百鬼、ブラァァァイ!」
 それだけを言い残し、ブライ大帝は部屋を後にした。ブライ大帝が居なくなったと言うのに、一同の振るえは納まる気配が全く見られない。
「お、恐ろしや。我等はついに大帝の怒りに触れてしまった。このままでは我々は消されてしまう。どうすれば……」
「ご安心めされいヒドラー元帥。つい今しがた、例の切り札が完成したのじゃ」
「おぉ、まさかあのメカ要塞鬼が完成したと言うのか?!」
「左様。これを用いて直ちに早乙女研究所を襲撃、ゲッター線増幅装置を奪って来るのじゃ。さすれば大帝も怒りをお沈め下さる事じゃろう」
 最早、ブライ大帝の怒りを静めるには新たなエネルギーを確保する以外に方法はない。まごまごしていれば確実に自分達は消されてしまうからだ。
 急がねばならない。はやる気持ちを抑えつつ、ヒドラー元帥は立ち上がった。
 元帥の威信を賭け、また己の命を賭け、ヒドラー元帥は戦いの場へと赴くのであった。




     ***




 早乙女研究所に辿り付いた甲児となのはを出迎えれくれたのは研究所メンバーの懐かしい面々であった。
「久しぶりだね、甲児君になのはちゃん」
「早乙女博士も、元気そうで安心しました」
 思っていたより元気そうで甲児もなのはも安心していた。早乙女博士だけじゃない。その娘ミチルやゲッターチームの面々も元気そうだ。
「にしても隼人、その隣に居るでっかいのは誰だ?」
「私も知りたいですね。初めて見る人ですね」
 甲児もなのはも弁慶を見るのはこれが始めてであった。
「そう言えばお前達は弁慶と会うのはこれが初めてだったな」
「車弁慶だ。宜しくな二人共」
「こっちこそ……ところで、リョウ君は何所だ?」
 甲児は疑問を投げ掛けた。ゲッターチームの二人は健在だ。だが、その中にリーダーである筈の流竜馬の姿が見られないのだ。
「甲児、リョウは今医務室に居るんだ」
「え? 竜馬さんが!?」
「一体どうしたってんだ!」
 二人の顔に緊張が走る。あの流竜馬が負傷した。その事実が二人の中に嫌な雲行きを募らせていたのだ。
「あれは数日前の事だ。丁度侵略同盟とか言う組織が出始めた頃、俺達とグレートマジンガーは光を纏った怪獣に成す術もなく敗北する事になっちまった。その際にリョウは負傷しちまって、未だに意識が戻らない状態だ」
 隼人が言う光を纏った怪獣。それは恐らくピクドロンの事だろう。だが、ピクドロンは既にダブルマジンガーの手により破壊された。
 その旨を甲児は伝えると、隼人も弁慶も驚きを隠せなかった。
「信じらんねぇや。あの怪獣をお前等が倒しちまうなんてさぁ」
「だけど俺達も結構危なかったんだぜ。いいタイミングでグレートマジンガーが復帰してくれたからな」
 甲児は思い出した。あの強力なピクドロンを。奴を倒せたのは一重にグレートマジンガーとの共闘が成せた結果と言える。
「でも甲児さん、竜馬さんがその状態じゃ……」
「あぁ、ゲッターチームは合流出来そうにねぇな」
 前の時とは違い今回は竜馬が身動きの取れない状態だ。口惜しいがゲッターチームとの合流は諦める他ない。
「甲児さん、私ちょっと竜馬さんを見て来ても良いですか?」
「あぁ、構わネェよ。俺も後で寄ってくからよ」
 甲児の許可を得、なのはは一人飛び出して行った。それを見送ると、甲児は腕を組み深く項垂れる。
 当初の予定を大きく覆された事に悩みを抱いているのだ。
 グレン、グレートと続き、今度はゲッターチームを仲間に、と計画していたのだが、それが此処で破談であった。
 甲児にとってはかなり痛い話でもある。
「それで、俺達以外の仲間は集まってきてるのか?」
「少しずつだけどな。此処に来る前にハヤタさんとダンさんが帰って来たんだ」
「すると、ウルトラマンとウルトラセブンが復帰した事になるんだな」
 隼人が思わず笑みを浮かべた。今の現状でウルトラマンが戦力に加わってくれるのは大変有り難い事だ。
 だが、まだ戦力的には厳しい面がある。もう少し戦力が欲しい所だ。
 そんな時、突如研究所全体に警報が鳴り響く。
「どうしたんだ?」
「研究所に向けて、巨大な飛行物体が接近してきました!」
「何だと!?」
 全体に緊張が走る。こんな時に限っての襲来。余りにも狙った通りと思われるこの襲撃であった。
「俺が出ます! 隼人達は研究所の防衛に努めてくれ」
「すまん」
 言うとほぼ同時に甲児はマジンガーZへ向けて駆け出す。現状ではゲッターチームは戦力にはならない。今の所戦えるのは甲児のマジンガーZしかないのだ。




     ***




 医務室に居たのは全身傷だらけのまま意識のない竜馬の姿であった。彼の体についている傷の数々がとても痛々しく映る。その姿を、なのはは見ている事しか出来なかった。
「竜馬さん―――」
 小声で、なのはは呟いた。彼と共に戦いぬいた日々がふと、脳裏に浮かび上がる。甲児と同じように巨大ロボット、ゲッターロボに乗り込み恐竜帝国や機械獣軍団、それに怪獣達に敢然と戦いを挑んだ少年だ。その少年が今は深く傷つき倒れている。
 仲間が傷ついていると言うのに、私には彼に出来る事が何もない。その無力さがなのははとても悔しく思えた。
 デバイスを失い、魔力もなくしてしまった今、なのはは戦線に復帰する手立ては殆どないと言える。
 それでも、誰かの役に立ちたい。その思いがあり、こうして甲児と共に各地を回っていたのだ。
 そっと、なのはは竜馬の頬に手を触れてみた。年頃の少年らしい若々しいながらも固い肌の感触が手に伝わってくる。
 その直後だった。突然なのはの手が発光し始めたのだ。
「な、何!?」
 驚くなのはを前にしてその現象は起こった。なのはの手から発光した光が徐々に竜馬へと移って行く。移ったその光はやがて、竜馬の体全体に回っていく。するとどうだろうか!
 竜馬の体にあった痛々しい傷がまるで逆再生でも掛けているかの様に塞がっていくのだ。
 そう、例えるならあの時のなのはの傷が塞がる光景の様に。
「う、うぅ……」
「りょ、竜馬さん!!」
 ゆっくりと、竜馬は目を開いた。視界がぼやける。頭がまだ正常に機能していない。それでも、自分を呼ぶ声は確かに聞こえていた。
「其処に……誰か、居るのかい?」
「私です、なのはです!」
「なのは……あぁ、なのはちゃんか。久しぶりだね」
 未だに思考が完全ではないのだろうか。ぼやけた表情のまま竜馬は苦笑いを浮かべる。やがて、彼の思考が元通りになると、ハッとした顔のまま、竜馬はベットを飛び起きた。
「そうだ! 俺は今まで……づっ!」
 起き上がった途端体を抑える。どうやらまだ完治はしていないようだ。
「ま、まだ起き上がっちゃ駄目ですよ!」
「嫌、そんな悠長な事を言ってられないんだ。こうしている間にも、侵略同盟は攻めて来る。それに、俺が居なくちゃゲッターロボは機能しない。俺が戦わないといけないんだ!」
「竜馬さん!!」
 なのはの静止を無視し、竜馬は医務室を出て行った。痛む体など何するものぞ。若い魂と闘志でそんな物吹き飛ばしてやる。そんな風に竜馬は走った。
 今まで守ってきた世界を、人類の未来を、明日の平和を奴等には渡せない。その思いが竜馬の背中には伝わってきていたのだ。




     ***




 研究所の外へと繰り出したマジンガーZの前に現れたのは一隻の巨大な飛行船だった。巨大なファンを両端に備え、その先端には鬼の角を思わせる巨大な角が取り付けられていた。
「けっ、見るからに百鬼帝国の代物だな? 返り討ちにしてやるぜ!」
 盛大に啖呵を切り、甲児は向った。まずは小手調べだとばかりに、Zの両目から閃光が迸った。
 光子力ビームだ。
 光子力ビームが命中し、白熱する。だが、要塞には傷一つどころか焦げ目一つついていない。
 その様に甲児はギョッとした。パワーアップしたマジンガーZの攻撃を受けて傷一つつかないとは。
「馬鹿め! このメカ要塞鬼には強力なバリアフィールドが内臓されているのだ。貴様の攻撃など効きはせんわ!」
「くそっ、準備万端って奴かよ!」
 舌打ちする甲児、すると後に続いてライガー号、ポセイドン号が出撃してきた。だが、ドラゴン号が居ない。これではゲッターロボに合体できない。
「ハヤト、ベンケイ!」
「お前一人に任せてばかりじゃ格好がつかないからな」
「俺達も助太刀するぜ!」
 隼人と弁慶の二人がそう言う。そして、二機のゲットマシンも戦闘に加わった。だが、マジンガーの武器で対抗出来ないと言うのにゲットマシンの武器でどうこう出来る筈がない。
 幾らミサイルを叩き込んだ所で破れる筈がなかったのだ。
「愚か者め、ゲッターロボになれないゲットマシンなど恐れるに足らずだ。それ、ミサイルの雨で奴等を殲滅してやれぃ!」
 メカ要塞鬼から突如夥しい量のミサイルが放たれた。言葉の通り、それは正しくミサイルの雨であった。
 それがマジンガーZに、二機のゲットマシンに容赦なく降り注いだ。
「がぁっ!」
「うおぉっ!」
 それぞれが声を挙げる。Zにミサイルが命中し、ゲットマシンに掠ったのだ。幸いZは装甲に守られた為に大事にはなっていない。だが、このミサイルはかなりの威力だ。余り大量に貰えば下手するとマジンガーでも危ないかも知れない。
 そう思っていた矢先、研究所からもう一機何かが飛び出して来た。それはドラゴン号であった。
 おぼつかない飛び方でそれは二機のゲットマシンと同じ高度まで辿り着く。
「ドラゴン号!? まさか」
「待たせたな、ハヤト、ベンケイ!」
「リョウ!!」
 ドラゴン号に乗っていたのは正しく竜馬であった。だが、その飛行の仕方から察するに未だ完治している状態じゃないのは明白。戦闘など出来る筈がない。
「無茶するなリョウ! お前が来たってこいつに勝てる道理がないんだぞ!」
「だからってこのまま研究所が滅ぼされるのを黙って見ている訳にはいかないんだ! やるぞ二人共、ゲッタードラゴンに合体だ!」
 竜馬の号令と共に三機のゲットマシンが縦一列に並ぶ。このまま合体してゲッターロボとなる為だ。
「そうはさせるか!」
 再度、メカ要塞鬼から夥しい量のミサイルが発せられた。不味い! このタイミングでか!
 ゲッターロボ最大の弱点。それは合体の間の時間だ。その間ゲッターロボは完全に無防備になる。
 其処を敵が狙って来たのだ。
「させるか!」
 そんなゲッターチームの盾になるようにZが前に立つ。その口から猛烈な突風が発せられた。
 ルストハリケーンだ。これを浴びたミサイルの群れは忽ち腐食し崩れ落ちた。
「やれ、ゲッターチーム! 勝算はないかも知れないが、最期の最期まで戦い抜こうぜ!」
「その通りだ甲児君! 行くぞ」
 竜馬が再度号令を掛ける。チェンジレバーを操作し、合体の姿勢に入った。最初にドラゴン号とライガー号の順に合体し、両腕が飛び出す。其処へ続いてポセイドン号が合体し両足が出来上がり、最後に頭部が顔を出し合体は完了した。
 これがゲッタードラゴンだ。
「行くぞ!」
 合体したとほぼ同時にゲッタードラゴンは額から閃光を発した。
 ゲッタービームだ。桜色の閃光が稲妻の様に放たれる。だが、それもやはりメカ要塞鬼の前には効き目がない。
 とてつもない堅牢なバリアのようだ。
「ハッハッハッ、思い知ったかゲッターロボ! 貴様等は今日、此処でこのヒドラー元帥によって駆逐されるのだ!」
「冗談じゃない! こんな所で倒れて溜まるか! この世界の平和の為に死んでいった大勢の人々の為にも、俺達は諦めない!」
 歯噛みし、竜馬は叫んだ。だが、どうする?
 ゲッタービームも効果がなかった。恐らくマジンガーのブレストファイヤーでも効き目はないだろう。もっと高威力の武器があれば良いのだが。
【リョウ君、聞こえるか?】
「早乙女博士!?」
 突如、モニターに早乙女博士の顔が映った。その顔はとても緊迫した表情を浮かべている。
【目が覚めたんじゃなリョウ君。ならば、今からゲッターロボに搭載した新兵器を使う時じゃ】
「え? 新兵器ですって!?」
 初耳であった。どうやら自分が眠っていた間に搭載してくれていたようだ。
【その名もシャインスパーク! ゲットマシン三機のエネルギーペダルを同時に踏み込む事で限界までエネルギーを発揮し、敵にぶつけるゲッターロボ最強にして最後の必殺武器じゃ】
「そんな武器が―――」
【じゃが、これを使うには三人同時にペダルを踏み込まねばならん。1秒でもタイミングがずれればエネルギーはチャージされん。リョウ君、こんな事を君に言うのは酷かも知れんが、全てを君達に委ねる】
「任せて下さい! 必ず成功させて見せます!」
 竜馬が豪語する。恐るべき新兵器がゲッターロボには搭載されているのが分かった。後は、それを実践するだけだ。
 軽く息を整え、竜馬は通信モニターをONにした。
「ハヤト、ベンケイ、行けるな?」
「人の心配する前に自分の心配をしな」
「俺は何時でも行けるぜ。やろうぜ!」
 満場一致だった。これで良い。後はやるだけだ!
 決意を胸にゲッターロボは前に躍り出た。
「りょ、リョウ君。何をする気だ?」
「奴を倒す。今の俺達にはその方法があるんだ」
「何だって!?」
 竜馬のその言葉に甲児は驚かされる。無論、それを聞いていたヒドラー元帥は高笑いを浮かべているのだが。
「何を言い出すかと思えば。恐怖に気でも狂ったか?」
「狂ってるかどうか、貴様の目で確かめるが良い!」
 ドラゴンが上空へと高く飛翔する。三人がペダルに足を掛ける。タイミングの誤差は僅か1秒でもずれては駄目だ。一瞬のタイミングが必要なのだ。
 緊迫の空気が流れる。何時でも踏めるように足に力を込める。
「行くぞ、ゲッターシャイィィィン!」
 竜馬の叫びと同時に三人がペダルを踏み込む。突如、ゲッターロボの体が眩い閃光に包まれた。凄まじいエネルギーであった。正しくゲッターロボの全エネルギーの集合体とも言える光景でもあった。
 これこそがゲッターロボの最終兵器なのだろう。
「な、何だあの光は?」
「す、すげぇ……あれがそうなのか?」
 ヒドラー元帥は勿論、甲児もその光景に驚いていた。そして、その光を纏ったゲッターロボが真っ直ぐにメカ要塞鬼へと突っ込んで行く。
「これでトドメだ! シャイィィィンスパァァァァク!」
 ゲッターロボの纏っていた全エネルギーが容赦なくメカ要塞鬼へと叩きつけられた。纏っていたバリアなど全く無意味だ。それごとブチ破りメカ要塞鬼を光に包んでいく。
「ば、馬鹿な! 無敵のメカ要塞鬼が……ブ、ブライ大帝! グラー博士! 後は頼みます! 百鬼帝国、バンザアアアアアアアアアアア―――」
 マジンガーとゲッターの前でメカ要塞鬼は砕け散った。中に居たであろうヒドラー元帥も恐らく生きてはいない。戦いに彼等は勝利したのだ。
 そして、それはゲッターロボに新たな力が備わった事を意味していたことになる。
 こうして、マジンガーZ、グレートマジンガー、グレンダイザー、ゲッターロボG。四機のスーパーロボットが此処に完全復活を果たしたのだ。




      つづく 
 

 
後書き
次回予告

 音信不通になっていたウルトラ警備隊の本部へと向った二人を出迎えたのは、其処を侵略していた侵略同盟の総攻撃であった。
 かつての仲間達を助ける為、そして人類の反撃の狼煙を上げる為に、二人はこの総攻撃に果敢に挑む。

次回【反撃の狼煙! 集え、スーパーロボット軍団】お楽しみに 
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