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万華鏡

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第三十話 江田島その七

「七つボタンもあるし」
「あれがなのよ」
「予科練だったのね」
「もっと言えばさっきの服もあったでしょ」
 八条学園の制服の中にだというのだ。
「あれもね」
「ええ、あったわ」
 実際にあったというのだ。
「あの海軍将校の服もね」
「黒の詰襟で袖のところに金があって」
「あの制服が海軍のなのね」
「セーラー服もでしょ」
「女の子で着てる娘が多いわね」
 古典的な服だがそれ故に人気がある制服の一つだ。ブレザーが主流になってしまった今でも根強い人気があるのだ。
「あれもそういえば」
「水兵さんの服でしょ」
「そうよね、あれも」
「元々ブレザーも軍服だし」
 そちらもだというのだ。
「あとコート、フロックコートもね」
「あれも軍服が元なのね」
「そうなの」
 里香はこう琴乃に話していく。
「学校の制服は軍服からはじまってるのよ」
「七つボタンもブレザーも」
「詰襟だって、あれも陸軍の軍服が元だから」
「そういえばカーキ色を黒にしたらああなるわね」
「そうでしょ」
「今気付いたわ」
「戦争映画観てたらわかるから」
 その陸軍の軍服が学生服の基になったということがだというのだ。
「それもね」
「ううん、軍服も馬鹿には出来ないわね」
「うちの学園にはいないけれどよく軍隊を否定する先生いるじゃない」
「いるわね、確かに」
「そうした人は日本軍とか自衛隊ばかり否定するけれどね」
 何故かソ連軍は否定しなかったし今も北朝鮮の軍隊を否定しない。どうやらどんな凶悪な軍隊も赤旗さえ掲げていれば『平和勢力』の軍隊に見える眼病らしい。実に奇怪な眼病である。精神の病の可能性も否定出来ないが。
「制服とかはね」
「否定出来ないわよね」
「中には詰襟とかセーラー服を否定する人もいるけれど」
 日本軍の軍服だったからだ。
「もうそうした先生はね」
「どうしようもないわね」
「世の中そうした先生もいるから」
 里香は真珠湾で小型潜水艇で奇襲を敢行し散華した英霊の写真を観ながらそのうえで琴乃に対して話していく、琴乃も同じものを観ている。
「こうした場所が嫌いな人がね」
「そうした人ってこういうのを観てもわからないのね」
「そう思うわ」
「それって寂しいことよね」
 琴乃は里香の話を聞いてそして言った。
「こんないいものを観てもわからないのって」
「そうよね。自衛隊の人を観てもね」
「いいことが一杯わかるのに」
「わからない人もいるのよ」
 そしてそれがそうした教師だというのだ。
「この人達の心がね」
「素晴らしい人達だと思うけれど」
 ここでまた言う琴乃だった。
「私達にやれって言われたら絶対に無理よね」
「ええ、そう思うわ」
 普通の女子高生であるうh足りにとてはだ、それはとてもだった。
「出来ないわ」
「そうよね」
「ここまで何かの為に一途になれるなんて」
 国家の為、共に生きる臣民の為にそれが出来た人間は美しい。それが理解出来るか出来ないかでその人もわかると言えば言い過ぎだろうか。
「凄いわよね」
「私達軽音楽やってるけれどね」
 琴乃は自分達が今していることもここで話した。 
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