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神々の黄昏

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第二幕その七


第二幕その七

「貴女は一体」
「!?それは」
 そしてであった。彼の腕を見てだ。それは。
「その指輪は」
「指輪は?」
「あの時の指輪」
 彼の手にしている指輪を見ての言葉である。
「あの時グンターがしていた」
「一体どうしたのだ?」
「二人共何を話しているんだ?」
 家臣達はそんな彼等のやり取りを見て怪訝な顔になっていた。
「お知り合いなのか?」
「どうなのかな」
「諸君」
 そしてであった。ここでハーゲンが彼等に告げるのだった。
「奥方の言葉をよく聞いておくのだ」
「奥方の」
「それを」
「そうだ」
 まさにそうだというのである。
「それをだ。いいな」
「わかった。それではだ」
「そうしよう」
 とりあえず頷く彼等だった。そのうえでその様子を見守るのだった。
 ブリュンヒルテはだ。さらに言うのだった。
「私は貴方の指輪を見ました」
「私の?」
「そう、貴方の」
 それを見たというのである。
「それは貴方のものではなく」
「私のものではなく」
「この人のものです」
 今度はグンターに顔を向けるのだった。
「この人が私から奪ったのです」
「私からだと!?」
「そうです」
 まさにそうだというのである。
「貴方は何故それをこの人から受け取ったのです?」
「この指輪はグンターから受け取ったのではない」
 このことはありのまま話すのだった。
「それはだ」
「しかしその指輪は」
 その指輪こそだった。あのニーベルングの指輪なのだ。それはブリュンヒルテからジークフリートが奪ったものである。
「その為に私は貴方と結婚することになった」
 またグンターを見て言うのだた。
「それなら貴方の権利をはっきりさせ証拠の品を返してもらうのです」
「指輪を?」 
 しかしグンターも戸惑う顔で言うのだった。
「私は彼に指輪をあげてはいない」
「あげてはない?」
「そうだ。しかし」
 彼もまたブリュンヒルテに対して問うのだった。
「貴女はその指輪を御存知なのか」
「貴方が私から奪ったあの指輪を」
 指輪の話になっていた。
「何処へ隠したというのか。そう」
「また私なのか」
「そうです」
 また顔を向けられて声をあげたジークフリートに告げるのだった。
「ジークフリート、陰険な盗人よ」
「この指輪はだ」
 しかしジークフリートも言うのだった。
「女の手から私に渡ったものではない」
「では何だというのですか?」
「私がこれを奪い取ったのは女からではない」
 そして次に過去のことを話しはじめた。
「これは戦いの報酬だ」
「戦いのだというのですか」
「そう、私自身のことだから知っている」
 こう言うのである。
「かつて私が欲望の洞穴で大蛇を倒した時の報酬だ」
「ブリュンヒルテ」
 ここでハーゲンがそのブリュンヒルテのところに来て問うてきた。
「貴女はその指輪をよく知っているのか」
「貴方は」
「ハーゲンという」
 問われてここで名乗るのだった。
「ギービヒ家の家臣だ」
「そうなのですか」
「それはだ」
 ここでさらにブリュンヒルテに問うのだった。
 
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