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妖精の十字架

作者:雨の日
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~It works together⑪~

「やるじゃないか」

ボロが俺らを上から見下していた

「あなたに褒められてもうれしくないわ」

ミラが腕を振るい斬撃が舞う。ボロは軽い動きで避け、風の魔法を打ち出す
俺がそれを片手で振り払う

「二対一は酷いな。俺も混ぜろよ兄貴!」

背後からマスターが腕を振り下ろす。ミラがその腕を魔法で弾く

「そういえば、あなたの本名は?」

ミラが訪ねる

「俺か?俺はフェヌル。よろしくな!、すぐに死んじゃうけどん!」

再び腕が振り下ろされる。俺はその場で大きく跳び上がり、上から足を振り降りおろすがボロに阻止された。ミラはさっきと同じように魔法ではじいた
さっきからミラが魔法で弾く理由はフェヌルの使う魔法だ。奴の魔法は音波。触れようものならずたずたに引き裂かれる

「覇竜の咆哮!」

ボロに向かって咆哮を放ち、結果には目もくれずにフェヌルに飛びかかる。それと立ち替わりでミラがボロの前に躍り出る

「サタン・ダロール!」

高速回転しながら爪を突きたてる。ボロは風の力で逃げようとするが、ミラにも羽がある。追いつかれて斬られた

「覇竜拳!」

「音波流派!」

俺の突きだした拳と音波を纏ったフェヌルの腕が交差して互いの胴に打ち込まれる
俺は胴体を斜めに大きく斬られ、フェヌルはアバラを砕かれる

「くっ・・・」

「グギィ!?」

さっきの連戦の所為でまだ体力が回復していない。圧倒的に俺の方がダメージを多く受けた
しかし、伊達に覇界神なんて異名をもらってる訳じゃない。フェヌルにもダメージはある

「クルス!」

ミラの声に反応して大きくバックステップをとる。そのとたん、俺がさっきまでいた地点にミラの姿があり、俺の目の前に落とされたボロの姿が

「なるほど!覇竜脚!」

回し蹴りを堕ちてくるボロに叩き込み、フェヌルの方向に突き飛ばす。ミラがボロを片手で受けて止めて、背負い投げをしながらフェヌルにたたきつけた。そして吹き飛んだ二人目掛けて俺が咆哮を放つ。事前に示し合わせた動きではないが、互いに信頼してることからこその動きが生まれ、ミラは背後を振り返ることなく俺の咆哮を避け、二人にだけ直撃した
土煙が晴れると、ボロとフェヌルは立ち上がり、左右に分かれて両サイドから魔法を打ち出してきた

「音波波!」

「風輪!」

「ミラ、右!」

ミラに指示して俺は左から飛んできた音波を衝撃で相殺する。ミラも同じ様に回避した

「サタンフレイム!」

俺が宙に飛び上がると同時に両方に炎が放たれる。しかし、音波で防がれ、風に遮られてダメージは与えられていない。俺はそれを確認するとほぼ同時に衝撃派を放つ

「覇竜砲!」

「音波壁!」

「衝風壁!」

二人は壁を生みだすが俺の魔法はそれを突きぬけて襲う

「なにぃ!?」

「まだまだぁ!」

俺はボロに飛びかかり覇王拳を顎に決める。しかしまだ意識はあるようだ
二人は一歩下がった

「・・・おい!ボロ!フェヌル!なにやってんだ、さっさと遣れ!」

「わかってるよ!」

やけ気味の二人はなんの策も無く突っ込んできた
俺とミラは当然それを軽くあしらう
すると、ボロボロになった二人に薬が投げられる

「なにをもたもたやってるかと思えば・・・」

振り返るとそこにはヤムルの父親が立っていた
その手にはさっきの薬がまだ握られていた

「それを飲め。魔力上昇体力回復の薬だ」

もちろん犯罪級の薬で飲めばたちまち中毒だ
しかし自棄になったふたりは容赦なく呑み込んだ
すると

「が、あぁぁああああ!!?」

「くる、、し、あああああああ!!」

もがきだした。しかもかなりの苦痛の様

「ミラ、わかるよな?」

痛いほど伝わってくる。奴らの魔力が上昇しているのが

「うん・・・どうしよ」

「勝つだけだよな・・・」

その会話が終わると、二人の魔力は恐ろしいほどにまで膨れ上がっていた

「やれ。ヤムルよここで魔道演武と行こうか」

のんきな・・・!!
俺は怒りを覚えたがそんなこと考えている余裕はない。目の前では今にも放たれそうな音波と暴風がチャージされているのだ

「ハァァァァァァアアアッ!!」

二人の魔法が放たれる。俺とミラは同時に防御を展開する
しかし

「キャアア!?」

簡単にとはいかなかったが障壁が砕けた
さっきまで戦っていた奴とは思えない

「くそっ!覇竜砲!」

無駄なあがきとなる

「フウガァ!」

しゃべり方までおかしい。放たれ斬撃は俺の肩をえぐり、ミラにも被害が及ぶ

「サタン・・・きゃぁ!」

ミラが突然両耳を押さえた

「ノイズサウンドォ!」

ミラは全身吸収を解いてしまった。それほどに不協和音なのだろう
俺は急いでフェヌルに覇王拳を打ち込むが当たってもなんら表情に変化は無く、魔法をやめない

「チッ!覇王脚!!」

打ち上げて無理やり魔法を中断する。が

「フウライ!」

背後から竜巻が俺を襲う

「ガアァァッ!」

とてつもない痛みに意識が飛びそうになるが、なんとかひきとめて、裏拳で吹き飛ばす

「クルス・・・やばい、よね?」

悔しいがその通りだ。俺らに勝機はほとんどない

「・・・なんとかして突破口を探す。手伝ってくれるか?」

「当たり前でしょう!」

お互い、肩で呼吸しているが、まだあきらめない!

「覇竜の咆哮!」

「サタンフレイム!」

同時に拡散魔法を放つが、二人はそれを突っ切って俺らの前に姿を現す

「くそ!?」

「ハァァァァ」

音波がミラを襲う。どうやら二人は徹底的に一人ずつ葬る気だ

「きゃああああ!!」

「ミラ!」

大きく体がうねり、ミラの体が倒れる

「チッ!?覇竜震!」

地面を蹴り、二人の体制を崩し、その隙に殴りを入れ吹き飛ばす

「ミラ!大丈夫か!?」

「・・・ごめん、足ひっぱっちゃってるね」

「いい!しゃべらない方がよさそうだ!」

しかし、ミラはしゃべることをやめない

「・・・私の、、魔力使って、少ししか無いけどね・・・」

差しのべられた右手にはミラの魔力が
俺は、手を握った

「悪い。少しだけ、借りるぞ!!」

そのとたん、体に魔力が流れ込む。意識を失ったミラを寝かせ、俺は立ち上がる

「おぉ。まだ立つか。こうでなくては演武はおもしろくない」

「・・・黙れ」

「なにいってんのさ。まだまだこれからが本番でしょ」

「黙れ!!!」

俺の体から魔力があふれ出る
そして俺は、二人を見据え、小さく、はっきりとした声で告げる

「――――魔人降臨」

ミラと俺の合体魔法

「――――黒蓮・魔弾!!」

右手を突きだすと、覇竜と魔人の二つの魔力の混ざった黒と白の陰陽の形の光線が放たれる
そして、あたりをえぐりながら二人を呑み込み、二人の魔力を奪い取った

「・・・次は、お前らか」

振り返り、ヤムル親子を睨みつける

「な、な・・・!?」

「ひいぃぃ!」

ミラの魔法を纏った俺の姿はたとえるならば魔王の様だった
その姿におびえて親子は気を失った

「ふぅ・・・。ミラ、終わったぞ」

降臨を解除して気を失っているミラを抱え、ギルドを出ることにした 
 

 
後書き
やっと終わった・・・・
次回、軽くエピローグ入れて原作戻ります! 
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