絶唱漢女道
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第三章
「さあサービスしちゃうわよ」
「どうかしら」
「まずはミルクよ」
「ミルク飲み放題よ」
そこからはじまるというのだ。
二対二で攻められる、三角木馬におもし、そして蝋燭と。
手錠にかけられて前後からだ、宮部も木戸も絶叫した。
「う、うわあああああああーーーーーーーっ!!」
「こ、これは!!」
「さあ、これが普通じゃない快楽よ!」
「私達の世界よ!」
麻里子と優子は何度も絶頂を迎えつつ二人に応える。
「五万円、三時間無制限勝負よ!」
「それが今回はたったの三万円!」
「どう、お客様楽しんでる!」
「素敵よ、素敵!」
二人を陵辱しながら言う、だが二人は。
その攻めの中で絶叫する、そして三時間の地獄を味わったのだった。
翌日二人は痛む尻で出勤した、そのうえで。
木戸は激痛に堪えながら同じく激痛で顔を顰めさせる宮部に問うた。
「あれがか」
「ああ、普通じゃないな」
面白さだというのだ。
「忘れられないだろ」
「まあな。けれどな」
「面白くないっていうんだな」
「普通じゃないだけだろ」
それだけだというのだ。
「本当にな」
「俺もそう思うよ、いや昨日はな」
「地獄だったな」
「ああ」
まさにそれだった、二人にとっては。
二日酔いは身体を動かしたせいか酒がかなり抜けていてなかった、どうして身体を動かしたかは言うまでもない。
しかしその激痛の中でだ、こう言ったのだった。
「もうな」
「あまりにもな」
「いや、酒飲んでの思いつきってな」
「言ったろ、碌なことにならないってな」
「全くだよ、凄かったな」
「最悪の意味でな」
二人にとっては悪夢だった、三時間の。
それでだ、木戸は宮部にこう問うたのだった。
「普通じゃない経験だったからな」
「忘れられないか」
「絶対にな、面白くなかったけれどな」
面白い筈がなかった、とても。
「恐ろしい目だったぜ」
「世の中色々な世界があるんだな」
「ゲイの世界でもな」
その世界一つ取ってもだった、まさに。
そのことについても考えながらだった。、木戸は痛む尻を抑えてそのうえで宮部に対してこう言ったのだった。
「もうあの店は行かないってことでな」
「ああ、その方がいいよな」
宮部も彼のその言葉に頷く。
「絶対にな」
「行くと今度はな」
「五万でな」
そしてだった、その五万円と引き換えに。
「地獄のフルコースだからな」
「異次元の地獄に連れて行かれるからな」
二人は話しながらいいきり立つものを誇示して誇らしげな好色の笑みを浮かべる二人の魔人達を思い出していた、そしてその三時間のことも。確かにそこには非日常そのものの普通ではなさがあった、だが決して面白いものではなかった。
絶唱漢女道 完
2013・7・3
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