自由の灯り
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第二十話
前書き
今回でディアが復帰します
オルタータ火山の調査から三日間が経ち、ディアの体は完全に完治していつでも依頼に行けるようになっていた。
今の時間帯は昼でディアは昼食を食べたあとする事がなかったので甲板の壁際に寄りかかりながら空を眺めていた。
「はぁー、暇だなー、この三日間戦うような依頼なかったしな~」
この三日間で受けた依頼は主に荷物捜しや採取、採掘などだったので退屈で仕方がない。
そんな退屈そうにしているディアのもとに一人の青年がやって来た。
髪が長くて後ろから見ると女性と間違えそうだが、れっきとした男性でサレ戦が終わってから加入した、ユーリ。
「うん?あ、ユーリ、どうしたの?」
「お、ディアか、最近体を動かしてなくて暇でな、甲板に行けば手合わせしてくれるやつがいると思って来たんだが、どうだ、やらないか?」
「はい!僕も暇だったんで♪」
ディアは笑顔で答えるがまだ気付いていなかった。
一度、刺されて瀕死になったことを、前線で戦うことの恐怖を。
ディアはまずは双銃を腰につけていたポーチから抜き出し、ユーリは自分の愛刀、ニバンボシを片手で抜き取ると鞘をそのまま投げ捨てる。
「へぇ~、ディアは双銃も使えるのか、武器が二つってのは便利だろうな」
「魔術も使えますよ、沢山勉強したんで」
ユーリが少し驚きながら口笛を吹くと、そのままニバンボシをディアに向ける。
ディアも双銃を構える。
「そんじゃ、いきますか!」
「うん!早速、ツインバレット!」
先手必勝とばかりにディアはバックステップをしながら銃をユーリに向かって連射する。
しかし、ユーリは弾丸を全てニバンボシで弾いたり、一刀両断して、弾丸の嵐が止みとそのまま大きくニバンボシを後ろに下げ、ディアに向かって勢いよく振り回す。
「絶風刃!!」
回りの風を遮る衝撃波がディアに迫ると、ディアは双銃をしまい腰に装着していた双剣に手を伸ばす。
しかし
「!・・・っく!」
「うん?」
ディアは双剣を握るが急にピタッと止まり、目前に迫った衝撃波をギリギリ横に飛び退いてかわす。
ディアの不可解な行動にユーリは眉を細めるが、今は戦闘中なのでこの事はあまり考えない事にした。
「っく!(なんで抜けない、なんで剣を鞘から抜けないんだ?)」
衝撃波をかわしたディアはまた双剣を握りしめていたが、さっきと同じように鞘から抜くことができない。
戦闘中なので仕方なく双剣は諦め、再び双銃を取りだしそのまま無詠唱で魔術を唱える。
「ファイアボール!」
「おっと、そんじゃまあ三散華!」
「!!」
ユーリが一瞬で間合いをつめ、拳で三度ディアを殴ろうとすると、ディアは眼を瞑ってしまいかわすことが出来ずそのまま腹部を殴られる。
「うぅ・・(駄目だ・・間近で攻撃されると動けなくなる、どうしたんだろ、僕)」
「吹き飛べ!牙狼撃!!」
「あぁぁ!!」
止めに腹部を思いきり殴られると、ディアはそのまま吹き飛び壁に激突する。
ユーリはやべと呟きやがら、片手を挙げて謝りながらディアの側に近寄る。
ディアの側に到着するとさっきの戦闘での疑問を聞いてみることにした。
「なあ、さっき剣を抜けたのに抜かなかったよな、どうしてだ?」
「・・・わかりません、抜こうとしたら力が入らなくなって、間近の攻撃も体が動かなくなって・・・」
ユーリは口に手をあて、しばらく考え込むと一つの答えにたどり着いた。
もし当たったらかなり厄介だと思うが、これはディアに伝えたほうがいい。
「もしかしたら、前線で戦うのが怖いんじゃないか?」
「怖い?」
「ああ、お前は間近でそれも剣で、腹を刺された。そのせいで前線で戦うことと剣が怖くなったんじゃないか?」
「・・・そうかもしれません、どうやったら恐怖に打ち勝てますか?」
「それはお前次第だ、恐怖に打ち勝つには勇気を出さないといけないしな、とにかくこれは少しづつ治していけ、治ったらまた手合わせ頼むぜ」
ユーリはディアの肩にポンと手を置くと、そのまま甲板を出ていった。
ディアはしばらく俯きながら自分の手を見ていた。
「僕どうしたらいいんだろ・・・」
しばらく甲板で考えていたが、解決策は浮かばなかった。
いつまでたっても解決策が浮かばないので、ディアはまず手合わせでかいた汗を流すため、シャワーを浴びていた。
さっきのユーリの言葉を思い出す。
―恐怖に打ち勝つには勇気を出さないといけない
「勇気・・・けど、僕・・・」
何度も他に治す方法を考えるが何も思い付かない。
シャワーを止めるとそのまま自分とカノンノの部屋に戻る。
部屋に入るとカノンノは絵筆を持ちながら絵を描いていた。
入ってきたディアには気づいていないようだ。
邪魔をしてはいけないと思い、ディアは布団に腰を下ろす。
「うん?」
カノンノの布団にスケッチブックが置いてあったので、手に取り絵を見る。
前に見たのとは違う風景が描かれたいた。
ディアはカノンノの絵に眼を奪われ、どんどんページをめくっていく。
「やっぱり、カノンノは絵が上手だな~」
「ひゃう!ディア!?」
どうやらディアの呟きはカノンノの耳に届いたようで、カノンノはビクッとなりディアに視線を向ける。
ディアは軽く左手をあげると最後のページをめくろうとする。
「あ!待って!最後は見ないで!」
慌ててカノンノはディアが持っているスケッチブックを奪おうとディアの側に駆け足で近寄る。
しかし、急ぎすぎたせいでカノンノは足を滑らせてしまい、ディアに向かって倒れかかる。
突然のことでディアはカノンノを受け止められず、カノンノに押し倒されてしまう。
二人の吐息がよく聞こえ、お互いに顔は赤く染め、あと少し近づけば口が接触するくらいの距離で二人はしばらく固まっていた。
「・・・あ、えっと・・」
「ご、ごめんね!」
慌ててカノンノはディアから離れ、ディアも起き上がってカノンノに背を向ける。
お互いにさっきの事で、気まずくなる。
それに耐えきれなくなったカノンノが依頼の話をしてきた。
「・・あ、あのね、さっきジョアンさんって人から依頼が来たんだ、私とマルタ、それにファラが受けるんだけど、よかったら一緒にいかない?」
「えっと、どんな依頼?」
「ブラウニー坑道の奥までの護衛だよ、たぶんそんなに危険はないと思うから」
「う、うん、わかった・・・」
ディアは了解すると、カノンノは準備があると言い残して部屋を出ていった。
部屋に残ったディアは依頼を受けるためアンジュがいるホールに向かう。
ホールに到着し、アンジュに依頼の登録をしてもらうと、自分も準備をしようと部屋に戻ろうとする。
ホールを出ようと、扉を開けるとマルタとバッタリ出会う。
「あ、マルタ、僕も同じ依頼を受けたんだ、よろしく」
「うん、よろしく!」
「・・・あ、あのさ、今少し時間あるかな?聞きたいことがあるんだ」
「いいけど、どうしたの?」
とりあえず場所を変えようといい、ディアはマルタを部屋に案内する。
マルタは「お邪魔しまーす」といい部屋に入り、近くの椅子に座らせる。
数分たっても黙ったままだったディアに焦れたのか、マルタから話してきた。
「もう!黙りこんでどうしたのさ?」
「えっと、・・・カノンノの事で・・」
「何々!どうしたの!」
カノンノと、口にした瞬間、マルタは興味津々で身を乗り出す。
ディアは驚きながらも今までカノンノが他の皆と違う気持ちだった事を説明をする。
説明が終わった頃にはマルタの眼は輝いていた。
「それは、完璧に恋だよ!」
「鯉?」
「文字の間違いはやめようね、恋!」
「それで恋って何?」
「恋って言うのはその人が側にいると幸せになれて、ずっと側にいたくて、その人の事を考えると胸が痛くなるんだよ!」
うきうきしながら説明するマルタにディアは若干引きながらも、どうしたらいいか聞いてみる。
するとマルタは拳をグッと握りしめる。
「告白するんだよ!」
「えぇー!!!告白ってあの?」
「そう!ディアの気持ちをカノンノに伝えるんだよ、大丈夫!絶対に上手くいくし、今日の依頼で必ず二人きりにさせてあげるから♪」
「あ、ありがとう・・」
女子ってこういうのが好きなのかなと、思いながらディアは一応マルタにお礼を述べといた。
そんなマルタは今から依頼に行くのが楽しみで仕方がないといった感じものすごくハイテンションだった。
続く
後書き
久々の投稿です
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