転生とらぶる
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魔法先生ネギま!
0262話
ステータス一覧にあるスキルの覧。ここに表示されているスキル以外でも使える可能性があると知る事が出来たのは大きな収穫だった。後の問題は、それが俺にも適用されるか、だが。……まぁ、それはエヴァから貰った初心者用の教本を使って風なりなんなりの魔法を使ってみればいいだろう。今の問題は……
「ですから! 私にも魔法を教えて欲しいとこうしてお願いしているのではないですか」
「知らん。何で私がそんな面倒な真似をしなくちゃいけないんだ」
あやかがエヴァへとお願い……と言うか、食ってかかっている。
千鶴にしても魔法に興味があるのか、あやかの後ろで小さく頷きながらプレッシャーを放っていた。
8割程の力を取り戻したエヴァがそれでも若干押され気味なのは、そのプレッシャーが千鶴の固有技能か何かだからだろうか。
……ちなみに、千鶴のスキル覧には特に何も表示されていなかったりするが。
「オイオイ。オ前等、俺ノ事ヲ忘レテイナイカ?」
トコトコと歩きながらチャチャゼロがこちらへと近付いてくる。その手には先程の模擬戦の時に持っていた大鉈を2本持っており、手持ち無沙汰な様子で軽く振っている。
そう言えばスライムで吹っ飛ばしてそのままだったか。
「オ? オ前ガ御主人ノオ気ニ入リカ。改メテヨロシクナ。チトアノスライムヲ斬ラセロヨ」
俺の方へと視線を向け、チャチャゼロがそう言ってくる。
……この主人にして従者ありって奴だな。
いや、待て。そうすると茶々丸もいずれはこういう風になるのか?
未来の茶々丸を想像してしまい、思わず茶々丸の方を見る。
「どうかしましたか?」
小首を傾げる茶々丸。どう見てもチャチャゼロのようになるとは思えない。……と言うか、思いたくないというのが正解か。
俺のイメージ的には茶々丸はどちらかというとエヴァの従者というよりはエヴァの保護者といった印象だ。その保護者がチャチャゼロのようになったりしたら目も当てられなくなりそうだ。
「いや、何でもない」
頭の中に湧き上がったお馬鹿な妄想を振り払い、あやか達の方へと近付いていく。
「エヴァ。攻撃魔法はともかくとして、俺の事情に巻き込まれてしまったんだ。防御魔法くらいは教えてやってくれると助かるんだが」
この麻帆良学園の学園長である近右衛門は信頼に値する人物だろう。その側近的立場にあるらしい高畑にしても同様だ。また、目の前にいる小さな吸血鬼――と言っても身長的には俺と同じくらいだが――は魔法使いの中では一番信頼してはいる。だが、ここは魔法使いの『組織』なのだ。なら、トップ以外で暴走する相手が出て来かねない。
念動力が一般的だった世界に転生した俺にしてみれば、魔法の秘匿義務? 何それ、美味しいの? という感じだが、麻帆良に存在する関東魔法協会という魔法使い達の組織である以上は必ずタカ派と呼ばれる者達がいるだろう。そして、そういう人物に限って声がでかく、それなりの権力を持っている事が多いのだ。そうなると、そのタカ派が魔法を知った一般人であるあやかや千鶴にちょっかいを掛けてくる可能性も捨てきれない。
聞いた話によると、あやかの実家である雪広財閥にしろ千鶴の実家である那波重工にしろ、かなりの権力を持っているし少なからずこの麻帆良学園に寄付をしているらしい。それでもそれはあくまでも表の出来事であり、この世界では裏の存在である魔法使い達にとって手出しを躊躇する理由になるかどうかは微妙な所だ。
そして、いざちょっかいを掛けられた時にあやかにせよ千鶴にせよ己の身を守る……とまでは行かなくても、せめて俺の所まで逃げ切れる程度の実力を持っていればある程度は安心出来る。
「……しょうがない、ほれ」
俺をじっと見ながら何かを考えていたエヴァだったが、大きく溜息を吐くと懐から初心者用の杖を2本取り出してあやかと千鶴へと投げ渡す。
「杖はやる。魔法についても、アクセルに渡した本を読めばそれなりに理解出来るだろう。あの本を読破して、それでもまだ魔法について興味があるのなら改めて私の所へ来い。悪の中ボスくらいには鍛え上げてやっても構わん。……ただし! いいか、アクセル。これはお前に対しての貸しだからな! 後で絶対に返して貰うぞ!」
「ああ、マスター。ナイスツンデレです」
「妹ヨ、ドコデソンナ言葉ヲ覚エタンダ?」
「超が持っていた漫画で学習しました」
「ええい、そこのボケロボ! くだらない事ばかり覚えてきおって。巻いてやる!」
ツンデレ発言が気に障ったのか、エヴァがどこからかゼンマイを取り出して茶々丸の後頭部へと突き刺していた。
「ああ、そんなに回されては困ります」
「……あの、アクセル君。迷惑を掛けてしまいましたか?」
すでにいつものやり取りと化しているエヴァと茶々丸の主従漫才を聞いていると、背後から声が掛けられる。
声のした方へと振り向くと、そこにはどこか申し訳なさそうな表情をしたあやかと千鶴が立っていた。どうやらエヴァが言っていた俺への借りというのが引っ掛かっているらしい。
「気にするな。アレは恐らくエヴァ特有の照れ隠しとかその辺だろう」
正直、茶々丸とじゃれ合っている姿を見ている分にはとても600年を生きてきた吸血鬼には見えない。
……まぁ、俺がアインストという桁外れの化け物の存在を知っているからこそ、それ程のプレッシャーを感じないのかもしれないが。
「それはともかく折角魔法の杖を貰ったんだ。せめて何かあった時には自分の身を守れるくらいにはしておいてくれ」
空間倉庫のリストを脳裏に展開し、昨日エヴァから貰った魔法書を取り出す。
「ほら。これが魔法の初心者教本だ」
取り出した魔法書をあやかへと渡す。
「ありがとうございます。何かあった時にはアクセル君をいつでも守れるようにこの本で勉強しますわ」
「私はどちらかと言えば回復魔法に興味があるかしら。ボランティアで子供達の面倒を見る機会も多いし」
「ふん。魔法を覚えるのはいいが秘匿に関して忘れるなよ。お前達が記憶消去を免れたのは、あくまでも特例なんだからな。そう何度も使える訳じゃない」
千鶴の言葉に、ボソリとだが忠告をするエヴァ。その言葉に軽く眉を顰めて聞き返す。
「つまり、私達が魔法に関して知られてしまった場合はその相手は記憶を書き換えられると?」
「そうなるな。……まあ、魔法に関わるとなると自然と裏の世界にも関わる事になる。そういった出来事に巻き込まれないというのであれば、記憶消去はそう悪い選択肢では無いと思うがな。……あぁ、それと、この別荘には魔力が満ちているからもしかしたらお前達のような初心者でも意外と簡単に魔法を使えるかもしれないぞ」
「そうなんですの?」
「ああ。この別荘は魔法で動いているから、当然中にも魔力が多く存在している。……っと、この別荘に入ったからには1日経つまで出られないというのを言い忘れていたな」
ポロリ、と漏らされたその言葉に思わず固まるあやかと千鶴。
「な、ななななな……なんですって!? 明日も授業があるのですよ!」
「夏美ちゃん、食事の準備大丈夫かしら?」
「お、おおおおおお落ち着けこの馬鹿者!」
ガクガクと揺らされていたエヴァが空中に浮かび上がり、再度ハリセンをあやかの頭に叩き付ける。
「言っただろう、これは魔法の道具だと。この世界での1日は、外の世界では1時間に過ぎないから安心しろ。ここで1日過ごして外に出ても、外ではまだ夕方だ」
「……時間の流れをコントロール出来るのか?」
その言葉に思わず聞き返す。
俺の知っている時間に関係する技術と言えば、エクサランスの時流エンジンくらいしかない。……いや、アギュイエウスやリュケイオスも時間に関係すると言えばするのか?
「まぁ、この別荘内という限定空間のみだがな。時間移動なんて真似は魔法でも実現は不可能だと言われている」
「ふぅ。全く、余り驚かせないでくれますかしら」
「お前が勝手に勘違いしただけだろうに」
「御主人ヲアアモ振リ回ス奴ト言ウノモ珍シイガナ」
「あら? このお人形さんは?」
ようやくチャチャゼロの存在に気が付いたのか、あやかが不思議そうな目を向ける。
「ほら、あやか。確か模擬戦でアクセル君のスライムに吹き飛ばされた……」
「あぁ! そう言えば確かにそんな場面がありましたわね。エヴァンジェリンさんの暴虐的な行為ですっかり忘れていましたわ」
そんな風なやり取りを聞きながら、取りあえず初心者教本の風の項目を開く。
エヴァから貰った腕輪を右腕に装着し、軽く意識を集中する。
『プラクテ ビギ・ナル……風よ』
その呪文を唱えた途端、ほんの微かに周囲の空気が動くのを感じた。
「これも一発で発動が成功するか。お前の才能には驚きを通り越して呆れしか感じないな」
あやかとのやり取りを中断して言葉通りに呆れたように話すエヴァだが、俺はそれを聞き流しながら内心で考え込む。
今の腕輪に込めたSPの量は数値にして10程度だ。だが、昨日同じ程度のSPを消費して初心者用の火の魔法を使った時はエヴァの家の居間が燃えるかと思う程の威力の火が現れた筈だ。
同じ消費SP量にも関わらずこの威力の違いは何だ? エヴァが言っていた腕輪のデメリットである余分に魔力が必要なせいか? あるいは……
「っ!?」
その可能性に思い立ち、再び自分のステータスを表示する。そのスキル覧には火、召喚、影の魔法3つが並んでおり、当然風の魔法に関しては何も無い。
つまりは、そういう事か? この世界限定のルールかどうかは分からないが、ステータスのスキル覧に表示されるスキルはその人物が得意とするものだったり、才能があったりするもの、という訳か?
そして俺はスライムで炎、召喚、影の3つの魔法を吸収したが当然風の魔法は吸収していないから同じ魔法でも『火よ灯れ』程の威力が出ない、と?
決定的な証拠というものは無い。だが、俺の中にあるナニカがそれを真実だと教えてくれているのもまた事実だ。
だが、それが正しいとするのならこれから俺が習得していくべき魔法は自然と決まってくる。当然、俺のスキル覧にある炎、影、召喚の3種類だ。それ以外の属性――氷や風等――に関しても、覚えようと思えば覚えられるだろうがその威力に関しては今の風の魔法で明らかだ。
だが……
「エヴァ、この初心者教本だが影の魔法について載ってないんだが」
「それはそうだろう。それは文字通りに初心者用の教本だ。炎や風といった分かりやすい魔法ならともかく、影の魔法は操影術という風に言われている。つまりはそれなりに難易度の高い魔法という訳だな」
「なるほど。ちなみにエヴァも使えるんだろう?」
「……もちろん使えるが、私がお前に影の魔法を見せた事は無かった筈だというのに良く分かったな」
「エヴァは600年を生きる吸血鬼なんだろう? なら影の魔法とかそれっぽいじゃないか。実際、闇の魔法を吹雪に混ぜて使っていたしな」
俺の言葉を聞き、驚いたのはエヴァに関しての情報を持っていなかったあやかと千鶴の2人だ。信じられないといった様子でエヴァへと視線を向けている。
「その、エヴァンジェリンさんが600歳というのは本当ですの?」
「ああ。……タカミチから聞いて無いのか?」
「いや、それは朝に職員室に行った時に俺が聞いた話だ。その2人は聞いていない。それで影の魔法というのは具体的にどういう事が可能なんだ?」
俺の言葉に難しい顔をするエヴァ。その表情はどこか詰まらなさそうに感じる。
「残念ながら私が使える影の魔法となると、影を使った転移魔法くらいしかないな。影に関してはあまり適性が無かったらしくてな」
「いや、転移魔法を使えるだけで凄いと思うが」
俺達が必死にシステムXNを開発してきたというのに、魔法使いは個人で簡単に転移できるのか。しかも今の言いようだと影以外を使った転移魔法というのもありそうだ。
だが、エヴァの言ってる通りに影の魔法が難易度の高い魔法だというのならまず最優先にすべきは炎の魔法か。召喚術は対象を力で屈服させてから契約を結ぶ方法しかエヴァは知らないらしいし。
……そう考えると炎が初級、影が中級、召喚術が上級、みたいな認識でいいんだろうか?
「ちなみに操影術に関しては私は殆ど使えないが、魔法生徒に使い手がいた筈だ。機会があったら見る事もあるかもな。……もっとも、この学園の魔法使いだけに相当独善的な面もあると思うが」
「ちなみにそいつはどういう風に影を使うんだ?」
「基本的には影を物質化して使い魔のように使役するタイプだったな。他にも私が知ってるのだと影を槍のようにして……そうだな、お前のスライムの扱いに近いものがある」
なるほど、使いこなせればかなり便利そうだな。転移魔法もあるというし。
こうして面倒臭そうにしながらも、何だかんだで世話好きなエヴァの魔法講座は内部で1日が経つまで続く事になった。
……ちなみに、さすがにあやかと千鶴が1日で魔法を使えるようになるというのは無理があったようで、火や風をピクリとも起こせなかった。だが、それが2人の負けん気に火を付けたのか、以降より熱心に魔法の練習に励んでその実力をかなりの速度で成長させていく事になる。
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:38
PP:625
格闘:262
射撃:282
技量:272
防御:272
回避:302
命中:322
SP:462
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
ギアス(灰色)
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
???
???
撃墜数:376
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