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連邦の朝

作者:連邦士官
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第25話 コルベール家とトリステイン

 
前書き
コルベールの紹介が始まります。

遅くなりすみません。 

 
「エスターシュ、それを持ってきてくれ。」
ワイアットは、エスターシュに頼むとエスターシュは布に包まれた槍のような物を持ってきた。

「これは、何だと考えれる、諸君?」
その場の全員に問いかけた。

「槍のような物ですか?」
マザリーニが答えた。

「槍のような物だが槍ではない、槍より役立つものだよ。うん?あぁ、すまんな布を取り忘れていたな、これでどうだろうか?」
ワイアットはマザリーニに回答しつつも布を取り忘れていたのを思い出して布を外した。

それは、木と鉄等で出来た槍のような形状をした、ものが空気に触れた

「これは、奇っ怪だな…陛下、これが槍ではなければ何だと言うのですか?」
グラモンが顎に手を当てながら、ワイアットの手の内にある槍のような物を見た。

「これが、何か意地悪せずにおっしゃてください。」
マリアンヌはワイアットに、抱き付きながら言った。

「姫様が…。」
ヴァリエールは、まだ持ち直さずにいた所わワイアットに抱き付きしやし喋るマリアンヌに衝撃をさらに受けてうなだれながら席についた。

「そうだな。マリアンヌだが、人前で男に抱きつくのは淑女らしくないぞ。」
ワイアットがマリアンヌに伝えるとマリアンヌは

「そうですか。グリーン様…では後で構ってくださいませ。」
顔に若干の笑みを浮かべながらワイアットに話す。

「わかったが、ほどほどにして切り上げるからな。」
ワイアットは、最近忘れていた紳士は常に冷静にという言葉を胸に刻み、今にも飛びかかって来そうなヴァリエールを無視した。

「話を戻すが、これはライ先生といた時の話だ。」

~ワイアット回想~

二人は化け物が出ると言う森に来ていた。

「師匠、何故ここへ?」
ワイアットはライに聞いた。

「うむ!それはだな、化け物を始末しよう思ったからだ。」
ワイアットはその答えに

「二人でですか?」
と聞いた。するとライは

「ん?わかってるだろう?」
口が裂けるほどの笑みを浮かべた。

「まさか、私一人で?」
ワイアットは内心焦った。
冗談ではない、正体が解らぬ化け物を相手にするなどとは…。大丈夫だ…私、紳士は常に冷静に、冷静に対処すればあの時(ガトーとの対戦時と同じにはならないだろう。紳士は同じ愚を繰り返さず、学ぶものだ。勝てる。

そんな考えを僅かな時間でやってのけたワイアットは、ライの発言に驚愕する。

「相手を言っていなかったな、情報からすると竜かエルフだぞ、心しておけ。」
微笑んでそう言った、ライにワイアットは

「なんと!師匠、本当ですか?」
くそ、なんたる事だ、まだ死にたくないぞ私は…。

ワイアットの考えを読んだかのようにライは

「死にはしないぞ。引き際を覚える為の訓練だ。勿論、その場の考える奴次第だがな。」
ライの言葉はワイアットに届いて居なかった。

森の中に入った二人に後ろから何かが近づていた。

「暗い夜道の様ですね。師匠、これは影が多いからでしょうか?」
ワイアットは、森の木々を見上げて警戒しながらも感想を喋る

「いや、これは影ではない…暗い夜道の様なのは、未だにここら一帯にはエルフとの大戦時の傷が残っているからだ。エルフ達は光を寄せ付けない何かを知っているらしい。」
ライは木々を見上げながら後ろをチラリと見た。

「誰だ!そこに居るのは!」
ライが叫ぶと二人の後ろにある茂みが動いた。

「出てこい。早くしろ、本当に後悔をしたくなければ…な!」
茂みを睨みながら、杖を向けた。

「止めてください。殺さないでお願いいたします。」
茂みから出てきたのは女の子だった。
だがしかし、普通では無いのが彼女の容姿だった。

彼女の髪は柔らかそうで色は金色、顔は整っており目は青く、鼻は小さく、唇は綺麗な色をしていた。
色白の儚そうな身体をしていた。なんと言っても特徴的なのは耳が長く尖っていた所だった。

「エルフ!」
ワイアットは驚いたが、割りと冷静だった。ワイアットの出身はイギリスであり、イギリスでは宇宙世紀でも妖精などが信じられてきたからだ。それに、エルフと言っても少女で、しかも軍人等の戦う者特有の雰囲気は纏っておらず更には、怯えた雰囲気を醸し出していた。

ワイアットはだが、油断をしている訳ではなかった。
魑魅魍魎、複雑怪奇な地球連邦上部を渡り抜いて来た男であるこれぐらいの演技をするものはいた。
しかし、ワイアットは同時に演技ではないと気付いていた。

「お前が森の化け物か?」
優しい口調で下手に刺激しないようにエルフに問いかけるライ。

「わ、私を見ると皆逃げるのでそうだと思います。」
エルフが答えた。

「ならば、討伐は中止だ。帰るぞ。」
ライはワイアットの方を向きなが言った。

「そうですか。師匠では帰りましょう。」
ワイアットは、少女の怯え方にあの子を見た気がした。

「あの…見逃してくれるのですか?」
エルフの少女は言った。それに対してライは

「知っているか、私はな高名な人間なんだ、無抵抗の者を殺す気はない。しかもだ、少女は特にな…」
そんな言葉を言ったライにエルフの少女は

「私は人間の敵なのでしょう?」
こう言ったのだった。

「生憎と私は、坊主とブリミルは嫌いでね。従う気はないのだよ。」
ライは空を見上げながら言った。

「でしたら…これを。昔拾った物ですが…」
少女は何かをライに渡した。

そして、二人は森を後にした。

~回想終了~

「え、エルフに会ったのですか!」
マリアンヌは驚いていた、コルベールは呆けた顔をしていた。ジャンヌは尊敬の目をしていた、他の人達はまたかと、言う顔をしていた。

「皆は、何故驚かないのですか?エルフですよ。」
マリアンヌの問いかけに対してマザリーニは

「これぐらいの事で驚いていたら、トリステインは復活してませぬ。マリアンヌ様。」
マザリーニの話しに、頷く委員達。

「マリアンヌ様、それは良いとして陛下、それはその話と何が関係あるのですか?」
マザリーニが聞く。

「それはだ、その時渡されたのがこれだよ。」
ワイアットの懐から、出てきたそれは、マグナムと呼ばれる物だった。

「似ていると思わないか?」
ワイアットの問いに、エスターシュは

「確かにそうですね。陛下。」
と答えたがエスターシュ以外はワイアットの話しの続きが気になっていた。

「それでだ、見ておきたまえ。マリアンヌ離れなさい。」
ワイアットは、マグナムを壁に向けて構えた。

次の瞬間、凄まじい音と壁に穴を開けた。

「陛下、もしかして魔法を?」
モンモランシは、素早く立ち直りワイアットに聞いた。

「いや、魔法ではないこれは、平民にも扱えるものだ。詰まりはその槍のような物も同じと言うことさ。」
ワイアットの答えにモンモランシは

「陛下、それを量産しましょう。あの憎きガリアに勝てますぞ。ラグドリアンはトリステインのものと晴れて言えるように致して下さい。」
興奮しながら、言うのだった。

「いや、無理だなそれはな。」
ワイアットはモンモランシの提案を却下した。

「何故ですか陛下?」
モンモランシの問いかけにその場にいたほぼ全員が、疑問に思った。

「それはだな、そうだ。ここで私が艦隊は強いから艦隊を作ると言ったとしょうどうする?」
ワイアットは例えを出した。

「それは、艦隊は…大量の金が掛かりますね。」
グラモンが答える、その答えからリッシュモンは

「つまり、陛下がおっしゃりたいのは費用に対して成果がないという事ですか?」
ワイアットの例えの答えにたどり着いた。

「そう言う事だよ。この兵器を一つ作るのに今は、兵士の装備が十以上作れる。しかも、今のトリステインでは、この兵器の火薬すら作れないのが現状だ。」
ワイアットは残念そうに言うのだった。

「しかし、陛下どれも今はと付けていますね。と言うことは…」
エスターシュの目が光り、周囲の雰囲気を切り裂いた。

「エスターシュは、鋭いな!そこで私が呼んで来た人物がいる。それが彼だ。」
ワイアットはコルベールに近づき肩に手を置いた。

「彼、コルベール君が居るのならばだ、五年以内にこれの価格を半分以下にして新たなトリステインを作れるだろう。」
ワイアットがコルベールと言った時にエスターシュとジャンヌ、マリアンヌ以外はどよめいた。

「どうしたのだ?そんなに驚いて?」
ワイアットは聞いた。

「へ、陛下。彼はあのコルベール家の人間ですか?」
マザリーニは驚きながらもワイアットに聞いた。

「そんなはずは無いだろう。コルベール家は消滅したはずだ。な、コルベール君?」
ワイアットは冷静にコルベールに聞いた。

「陛下、私はコルベール家の人間です。」
彼、ジャン・コルベールは答えるのだった…。



 
 

 
後書き
今回は長くなりました。

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