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万華鏡

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第二十九話 兵学校その十二

「いつもぶすってしてるから」
「よくそれでお店やっていけますね」
「三拍子揃っててですか」
 三拍子といっても色々だ。早い安い美味いだけではないのだ。
「まずい、カロリー高い、愛想悪いですか」
「凄いですね」
 五人もここまで聞いて唖然となった。
「というかイギリスから資本主義がはじまったんですよね」
「それでそんなのですか?」
「まずくてサービスも悪い」
「それがイギリスですか」
「あっ、紅茶とかティーセットもね」
 そうしたものもだった。
「日本の方が美味しいわよ」
「確か紅茶とかってイギリスが本場ですよね」
「けれどそれでもなんですね」
「あの国は本物よ」
 こうした意味でも本物というものはある、本物といってもそれがいい意味であるとは限らないのである。
「紅茶も日本の方が美味しいわよ」
「ティーセットもですね」
 琴乃は自分の好物のことも尋ねた。
「それもですね」
「イギリスのティーセットね」
「やっぱり日本の方がなんですね」
「日本人の舌に合うかどうかの可能性も高いけれど」
 それでもだというのだ。
「日本のティーセットの方が美味しいわよ」
「ですか」
「それでね」
 それに加えてだった、先生が言うことはまだあった。
「朝食もね」
「あっ、イギリスは朝食は美味しいっていいますね」
 里香がふと言った。
「そうでしたよね」
「ええ、そうよ」
「けれどその朝食もですか」
「日本の方がいいのよ」
「そうなんですか」
「調味料の種類が違うから」 
 このことが大きいというのだ。
「朝食にしてもね」
「違うんですね」
「それで」
「そう、違うのよ」
 本当にそうだというのだ。
「イギリスは食べに行く国じゃないわよ」
「じゃあ景色だけですね」
「あと歴史的なものを観に行く国なんですね」
「食べることが好きな人には苦しい国よ」
 それも非常にだと、このことは言葉の隙間にだがはっきりと入れて述べた。
「それは覚悟しておいてね」
「あまりしたくない覚悟ですね」
「イギリスって噂通りですね」
「実はアメリカは結構いけたりするの」
 この国はというのだ。
「これがね」
「何か最近そっちもよくなってるって聞いてましたけれど」
「本当にそうなんですね」
「色々なメニューがあるしね」
 それも多いというのだ。
「調味料もいいし調理器具も充実してるのよ」
「つまり美味しく作ろうと思えば幾らでもですね」
「よく出来るんですね、アメリカは」
「イギリスはそれ以前でもですか」
「アメリカはそこが違うんですね」
「そうよ、あとカナダも期待しないでね」
 この国も駄目だというのだ。
「パスタ、コシがないから」
「それ最悪ですね」
 美優はパスタのコシの話を聞いただけでカナダ料理に対してうんざりとした顔で駄目出しを行った、それも即座に。 
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