DQ4 導かれちゃった者達…(リュカ伝その3)
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第5章:導かれし者達…トラブルを抱える
第14話:気分の良いもんじゃないッス!
(裏切りの洞窟)
マーニャSIDE
敵に襲われ苦戦をしていたウルフとシン……
私たち3人は、慌てて助けに入り共に敵を駆逐する。
取り敢えずの危機を脱して、男2人に振り返った途端……事もあろうに私たちへ襲いかかってきやがった!
正直突然の事で戸惑い何の反応も出来なかった私とミネア……
しかしリューノは咄嗟にヒャドで応戦し、シン(偽)に手傷を負わせる事に成功する。
その傷から流れ出てきた血が赤ではなく、人間とは思えない緑色だった事が私たちに応戦の心構えをさせた。
彼らが本物であれば……少なくともウルフの実力であれば、私たちなど一瞬で殺す事も出来ただろうけど、所詮は偽者……
出遅れて攻撃を始めた私たちですら倒す事が出来ました。
「ま、まさか偽者が居るなんて……気を付けないと!」
勘違いして本物のウルフ等を攻撃するわけにもいかない。
私は珍しく常識的な意見を言って2人に危機感を持たせる。
「でも……スッとしたわ! 偽者だと判ってもウルフのアホをぶっ飛ばせたのは気分が良い! もっと偽者出てこないかしら!? 間違って本物だったら嬉しいな」
何だこのお嬢ちゃんは!?
一応身内だろうに……どんだけ嫌ってるんだ?
「アンタねぇ……本物のウルフだったら、今の私たちに勝てるわけないでしょ! 逆に私たちの事を偽者と勘違いして殺されちゃうわよ!」
「あぁなるほど……アイツ、アホだけど強いからね!」
判っているのかどうか……
私はウルフと敵対したくないのに……
彼の彼女と合流する前に、誘惑しておきたいのに!
マーニャSIDE END
(裏切りの洞窟)
リューノSIDE
驚いた……
シンのヤツが我慢できなくなって、遂に私を押し倒しにかかってきたと勘違いし、咄嗟的にヒャドを放ってしまったけど……
彼に化けた偽者で助かったわ。
まぁ本物だったら私には敵わなかっただろうけど……
とてもじゃないが私は戦闘に不向きなんだ。
幼い頃から訓練をしているシンに勝てるはずない!
咄嗟に放ったヒャドだって、無駄な抵抗にしかならないだろう。
私のヒャドで化けの皮が剥がれ、その後はマーニャとミネアの二人が偽者を倒してくれたけど……
私は恐怖で……友達を攻撃してしまったという恐怖で何も出来なかった。
本当に偽者で良かった!
でも二人にその事とを知られたくない私は、強がってウルフを侮辱してしまう。
ウルフはチャラい素振りで私たち姉妹(マリーは除く)をからかい、ムカツク事をワザとしてくるけど……
本当はお父さんに似て良い奴で、心の底ではマリーを羨ましく思っているの。
しかし、そんな思いをマリーには勿論、誰にも知られるわけにはいかないし……
だから気分爽快なフリをして自分を偽ります。
妹の彼氏が羨ましいなんて、絶対に知られちゃだめだから!
リューノSIDE END
(裏切りの洞窟)
シンSIDE
はぁ~……
どうすれば俺もウルフさんの様な男に近付けるのだろうか?
俺は3人が偽者だなんて微塵も気付かなかった……
ウルフさんの指摘がなければ、無防備に近づき手痛い攻撃を受けていただろう。
最悪は死んでいたかもしれない……
出来る男というのは、女性の機微な違いに素早く勘付く事が出来るんだな。
倒して変化が解けたモンスターを見下ろし、何かを考えているウルフさんを見て俺は密かに志を立てる。
戦闘術は勿論、人間として……男として、もっとウルフさんに学び成長しようと心に誓いを立てました。
大好きなシンシアに、俺の成長した姿を見せられないのが残念です。
シンSIDE END
(裏切りの洞窟)
ウルフSIDE
やっぱ気分の良いもんじゃないな……
偽者だと理解してても、身内を……しかも女性を手にかけるなんて、出来ればもうやめてもらいたいよ!
殺した後、元の姿に戻られても……イヤな気分だけ味わっている感じだ!
しかし今回のタイムスリップ……
ヒゲメガネ等の陰謀ではあるのだけれど、俺にとっては成長の場として有効だったかもしれない。
遂にリュカさんの“美女の匂い”が解ってきた気がするからね!
でも出来れば“目が濁ってるよ”ってアレを習得したかったね。
別に美女はマリーが居れば必要ないから、人間と人間に化けたモンスターの違いを察知する能力を得たかったね。
さっきからシン君が“何で敵だと判ったんですか?”って顔で俺を見ているよ……
どうする? おちゃらけて『美女の匂いがしなかったんだ☆』って真実を言う?
それともカッコつけて『目が濁ってたから……俺にはモンスターだと判ったよ!』て渋くキメる?
「あ、あの……どうしてウルフさんは、彼女らが偽者だと判ったんですか? 俺、全然気付きませんでしたよ……だって見た目は同じでしたから」
悩んでいたら早速聞かれちゃったよ……
そうなんだよねぇ~……見た目の違いが全く無かったんだ。
「ふっ……目を見れば判るさ。人間に化け疚しい事を企んでいるモンスターは、目が濁っているんだ!」
「目が……ですか?」
「あぁ……俺を騙す事なんか出来ないぜ!」
「さ、流石ですウルフさん! 俺ももっと注意して、そう言うところにも意識を持っていかないとダメですね! 俺、頑張ります!」
あぁ……やっちまたよ。
尊敬の眼差しで見詰められたら、その思いを失いたくなくて、格好を付けてしまいましたよ。
その点リュカさんは凄いな……格好悪い自分をさらけ出す事に躊躇がない。
だからこそ格好いいんだけどもね!
ウルフSIDE END
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