転生者拾いました。
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蒼風の谷
関所
前書き
この章が始まった後で重要なことヤッテネーと気が付いた。よくよく考えるとこれほど重要な場所はなかった。(地理的に。物語的にも重要?)
なんですが前半はあんまり関係ない話です。
それでもいい、ヤレという方のみどうぞ
あれからセリナとエリザは白光教会を撃退させることに成功したらしい。
らしいというのはオレが気絶してしまったからだ。頭をぶつけてだ。なので頭が痛い。
だが、彼女たちの活躍で白光教会の連中は退散した。その後彼女たちに介抱されつつ街に戻りベッドに横たわることに。
そしていつぞやの如くオレを挟んで川の字になった。それに気がついたのは翌朝のことだ。
「おはよ、調子はどう?」
「まあ、悪くないな。」
「そう。エリザ、起きて。」
「うぅん……。」
「起きろ、エリザ。朝だ。」
「ふぁ~い。」
半分寝ているエリザはこれはこれでアリかもしれない。
かたやセリナはシャキッとしているため色気は感じられない。唯一胸元が大きく開いていつことが救いだろう。
だからといって彼女たちを襲う訳ではないが。
「カズヤ、どうしたの?私たちをじっと見て。」
「ふあぁぁ……。くぅ……。」
「寝るな。起きろ。」
「すぅ……。」
ダメだ。落ちてしまった。頬を叩いてもピクリともしない。
頬を引っ張ってみても反応がない。しかしよく伸びる。
「ふぁ……?」
「あ、起きた。」
「ふぁ、ふぁにほ(なにを)!?」
「いや、起きないから。」
「いや、まず放してあげようよ。というかエリザにばかり優しいよね?」
「そうか?」
「ええ、そうよ。私にも優しくしなさいよ。」
なんだ?嫉妬か?
だが、そんなことを考える間もなくセリナが掴みかかってきた。
「わー!待て待て待て待て!」
「私にもー!」
「うにゅぅ?」
背後で可笑しな音が聞こえたがそれどころではない。
オレが倒されれば後ろのエリザがオレの下敷きになる。
「わかったから落ち着け。」
「してくれる?」
胸倉掴んで目を潤ませないでくれ。いろいろおかしいから。
「無事に帰れたらな。」
「やった!約束だからね。」
「ああ、わかった。」
なんだかんだでやっぱりいい子だよ、セリナは。時々乱暴だけど。
「何か言った?」
「い、え…。なに、も……。」
こいつ、ニュータイプか?雑念を感じられたのか?そして首がヤバい。
「あの、朝ご飯にしませんか?」
「エリザが起きるまで待ってたんだけど。」
「そうだったのですか?すみません、寝坊したばっかりに。」
こんな具合に朝のひと時を過ごし、ついには朝ご飯を食べ過ごし宿の外の酒場で軽食を取るはめに。
そして蒼風の谷から白光教会を撃退しギルドに監視を依頼させて、午後の帰還の準備をする。
「そろそろか。」
「はい、もうすぐ東部王国の関所です。」
「やっと帰れるのね。」
「おい、お前ら。身分証を出せ。」
関所に役人にギルドカードを見せオレとセリナはスルー、なのだが思わぬ邪魔が入った。
セリナの偽造身分証用意してなかった。
出るのに身分証はいらないし西部王国には関所がないから油断してたぜ。ついでに出た時のようなローブもないし。
「おい、身分証は?」
「えっと……。」
「すまない。ここに来る途中で盗賊に襲われてて荷物を持って行かれたらしいんだ。」
「ぇ?は、はい。この方々に助けてもらって。」
ある意味間違ってないが襲われてたのは1週間ほど前だ。ギルドカードの再発行ならものの数分で済む。
「そうか、わかった。この書類を持って行け。抜けたところに我々の詰所がある。そこで再発行してもらえ。」
「は、はい。」
「わかった。行こうかセリナ。」
「うん、カズヤ。」
「「ちょっと待て。」」
二人の役人に呼びとめられた。まさか、エリザが……。
「あんた…、死神のカズヤか?」
「へ?」
「ばか、そっちじゃないだろ。そっちの女性だ。」
歳のいった役人が指差したのはエリザ。
「あなたはエリザ・K・クスィーか?」
「あ、あたくしは……。」
「その喋り口、間違いない。捕えろ!」
「え?きゃぁ!?」
「あなたたち、なにを…。」
「こいつらもだ!」
「「はっ!」」
どこからともなく武装した連中が出てきて即座に俺たちを捕縛する。縄抜けをしようにも体に力が入らない。
「なにを……。」
「城に伝達!目標を確保!」
「お、おい!」
足をジタバタさせることもできず馬車に乗せられる。その後猿轡をはめられ何も喋ることができないまま運ばれた。
後書き
賢は愚を虐げたがる
哀は悲より深く
次回 詰問
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