夢遊病の女
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第一幕その十五
第一幕その十五
「そうですけれど」
「いや、あの方がいないんだよ」
「どういう訳かね」
「それに」
彼等は口々にリーザに話していく。
「何故か白い服の女がいるんだよ」
「これはどういうことかな」
「どうなっているんだ?」
「白い服?」
エルヴィーノはそれを聞いてまずは首を傾げさせた。
「幽霊の話かな」
「朝に幽霊は出ないだろう」
「そうだよ」
村人達はこう彼に話した。
「そんなものはね」
「だから違うよ」
「それもそうだよね」
エルヴィーノも彼等のその言葉に頷いた。
「だとすると」
「だから見てみるのよ」
ここでまたリーザが言ってきた。皆部屋の中にいる。
「その白い服の女はね」
「これは・・・・・・えっ!?」
ここでやっと彼も気付いたのである。
その白い服の女は紛れもなく。
「アミーナ!?」
「そうだ、間違いない」
「アミーナだよ」
「どうしてここに!?」
「これは一体」
「えっ・・・・・・」
そしてここでアミーナも周りの声で目を覚ました。そうして起き上がりながら周りを見回すとだった。まずは訳がわからなかった。
「どうしてここに?」
「アミーナ!」
その彼女にエルヴィーノが怒りの声をかけた。
「どういうことだこれは!」
「エルヴィーノ?」
「もうわかった!いい!」
顔も思いきり怒らせての言葉である。
「君のことはわかった!」
「一体何が」
「結婚はなしだ!」
そして言ってしまった。
「もうこれで!」
「えっ、どうしたの?それは」
アミーナは話がわからず起きたてのまま唖然としていた。
そうしてそのまま彼に問うのであった。
「私が何を」
「まだ白を切るのか」
彼にしてはこう言いたいことであった。
「こんな状況で」
「こんな状況でって」
「アミーナ、見るんだ」
「あんたの周りをよ」
「さあ」
村人達も険しい顔と声で彼女に言ってきた。
「今ここをだ」
「見るのよ」
「早く」
「ここは・・・・・・」
起き上がって周りを見てみる。すると。
ここは彼女の知らない部屋であった。少なくとも彼女の家の中ではなかった。そのことにも驚きさらに唖然となってしまったのである。
「そんな、ここは・・・・・・」
「わかったな、これで」
エルヴィーノはさらに怒った声と顔を向けてきた。
「自分のことが」
「何故私がここに」
しかしアミーナはこう言うしかなかった。
「この部屋の中に。誰が私を」
「それはもうわかっている」
エルヴィーノはまた彼女に返した。
「君の不実な心がだ」
「私が不実・・・・・・」
「違うというのか!?」
「違います」
狼狽しながらもこう主張するのだった。
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