ヘタリア大帝国
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TURN72 レーティア救出その二
「戦場、いや宇宙全体を考えて戦術戦略を考えることだ」
「戦略もなんだな」
「貴官、いや君にはその資質がある」
田中には戦略家になれる才もあるというのだ。秋山はこのことは本気で言った。
「ここで軽挙妄動を慎む様になりだ」
「戦略家になれっていうんだな」
「そうすれば司令長官にもなれる」
東郷の後継者にも、というのだ。
「頑張ってくれ」
「そういえば海軍相と連合艦隊司令長官は別々でもいいんだよな」
「それはその通りだ」
実は東郷は兼任しているのだ。
「君は海軍相には興味がないか」
「権力には興味がないんだよ」
ましてや事務仕事は尚更だ、田中は東郷以上にデスクワークが嫌いだ。
「俺がなりたいのは頭だからな」
「そういうことだな」
「あいつからは頭の座は奪うさ」
「大臣の席はいいんだな」
「そんなことはあいつに任せるさ」
田中はこうした意味で東郷を認めていた。
「そういう考えさ、俺は」
「そうか。君らしいな」
「権力に興味がないことがかよ」
「いい意味での上昇志向だ」
田中の長所はそうしたものを持っていることだというのだ。
「そのまま進んでくれるか」
「言わなくてもそうするさ。それであんたはな」
「私はどうだというのだ?」
「俺の下でも参謀総長だからな」
秋山のその顔を見てにやりとして告げた。
「宜しく頼むぜ」
「その場合厳しいことは覚悟しておくことだ」
「参謀として頼むぜ」
「日本帝国の為に」
何とか田中はやり過ごせた、他の面々にもこれで説明をつけた。エルミーについては同行ということにした。
だが勘のいい者もいる、ララーはバーで飲みながら共にいる小澤にこう言った。
「長官と日本さん中南米にいないんじゃないかな」
「そう言える根拠は」
「勘よ、勘」
それで言っているだけだった。ララーは陽気にカクテルを飲みながらカウンターの隣の席の小澤に述べる。
「それだけれどね」
「勘ですか」
「根拠はないけれどね」
「そうですね、私の勘でも」
小澤も勘がいい、だから言うのだった。
「長官と祖国さん達は中南米には行っておられませんね」
「じゃあ何処かな」
「さて、何処でしょうか」
小澤は表情のない顔で抑揚のない声で言う。
「それはわかりません」
「結構大問題だけれどね」
「この時期に海軍長官と祖国さんの不在ですから」
「実は何処にいるのかな」
「さて、何処でしょうか」
「占えるけれど」
バーにいるのは二人だけではない、クリスもだった。彼女はその占いの技術をここで二人に出したのである。
「タロットでいいからしら」
「水晶でお願いします」
小澤のリクエストはこちらだった。
「風情がありますので」
「私もそれでお願いね」
ララーが言うのもこれだった。
「何か面白そうだから」
「わかったわ。それじゃあね」
クリスは早速水晶玉を出してきた。そして実際のそれを自分の前に置いて占うと。
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