レインボークラウン
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第二十九話
第二十九話 六人とは違い
六人がそれぞれの日常の中の楽しみの話をしている間にタロとライゾウはケムンパス、ワラビと話していた。ケムンパスが二匹に言う。
「まあ喧嘩とかはなしでね」
「ああ、それ頼むよ」
ライゾウも右の前足を出して応える。
「おいら達もそういうのは嫌だからさ」
「平和主義なのね」
「そうなんだよ」
まさにそうだというのだ。
「おいらもタロの旦那もさ」
「どちらもなのね」
「喧嘩とか大嫌いなんだよ」
それこそというのである。
「寝ることと遊ぶことは大好きだけれどな」
「そうよね、私も売られた喧嘩は買う主義だけれどね」
「そっちから売ることはしないよな」
「喧嘩だったら帝国陸海軍の軍人さんにも勝てるわよ」
「いや、それは無理だろ」
ライゾウは笑って陸海軍にも勝てるということは否定した。
「相手が悪いよ」
「それは冗談よ、自衛官の人ならともかくね」
「強さ全然違うだろ」
旧日本軍と自衛隊ではその強さが全く違うと言われている、残念だが軍隊も時代よってその強さは大きく変わる。
「装備と食いものは自衛隊が圧勝だけれどな」
「精強さがね」
「ああ、違うよ」
それも全くというのだ。
「残念だけれどな」
「まあ売られた喧嘩は買うし負けないから」
ケムンパスが言いたいことはこういうことだった。
「そういうことよ」
「まあおいらは喧嘩売らないから」
「僕もだよ」
タロもそうだと言う。
「そうするからね」
「私喧嘩なんてとても」
ワラビに至っては喧嘩と聞いただけで怯えている、そのうえで言うのである。36
「怖くて」
「だからワラビはね」
「もっと堂々としてっていうのよね」
「そう、その身体で力も強いから」
見事な大型犬だ、そこから力が強いことも容易に想像出来る、だがそれでも極めて気が弱いというのである。
「あんたを見て怖がる相手の方が多いじゃない」
「それでもね」
「とにかく、胸を張っていればいいのよ」
「喧嘩はしたくないけれど」
「しなくていいわよ、そっちはね」
それはいいとする、だがワラビはそれ以前の問題だった。
何はともあれ四匹は喧嘩はしないことをお互いに約束した、このことは四匹の誰も全く反対しないことだった。
第二十九話 完
2013・4・18
ページ上へ戻る