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ヘタリア大帝国

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TURN71 ベルリンへその七

「モントゴメリー提督がいないせいだな」
「あの人がですか」
「今ここにいるのは総督だけだな」
「エイリスから派遣された貴族のですね」
「エイリスは確かに立派な王族と騎士提督達がいる」
 そして優秀かつ忠誠心に満ちた将兵達だ。エイリス軍の強さは人材の強さでもあるのだ。
「彼等がな。しかしだ」
「貴族達はですか」
「どうしようもなく腐敗している」
 東郷はこのことを指摘した。
「そして軍事的に無能な奴ばかりだ」
「だからですか」
「哨戒も杜撰だ。これならだ」
「無事に通過出来そうですね」
「油断は出来ないがな。しかし」
 ここで東郷は自分の周りを見回した。今彼等は潜水艦の中にいる。
 潜水艦の中は狭くしかも機能的なものしかない、その中を見回して言うのだった。
「潜水艦の中はな」
「狭いですね」
「ああ、正直に言うとな」
「元々駆逐艦を改造したものですし」
 駆逐艦は軍艦の中でも比較的小型である。
「それも当然です」
「しかしその駆逐艦よりもだな」
「はい、隠密性を重視して総統が設計、開発されましたので」
「余計に小さいんだな」
「極限までそうしています」
「だからか。それこそ食料は席の中にまで詰め込んで」
 そこにはジャガイモが入っている。そして天井からは。
「ソーセージも吊るしてか」
「パンもありますが」
「乾パンが多いな」
「はい」
 保存としまいやすさを考慮してである。
「そうなっています」
「何もかもを切り詰めて設計、開発したんだな」
「それは日本軍の潜水艦も同じでは」
「その通りだ。だが日本帝国軍の艦艇はまだ大きい」
「潜水艦もですね」
「そこが違うな」
 東郷は鍾乳洞の様にぶら下がっているソーセージ達を見ながら言った。
「やっぱりな」
「そうかと」
「ですがこれでは満足に動けないではないでしょうか」
 ここで日本も言ってきた。
「艦内では」
「移動ですか」
「そうです。ここまで狭いとなると」
「多少の不便は我慢していますが」
「それでもドクツの方は我々よりも体格がいいですから」
 日本人よりドクツ人の方が大柄である。
「長官にしても」
「確かに長官は長身でもあられますね」
 小柄なエルミーから見ると余計にだった。
「確かにこの艦の中では狭いですね」
「はい、ですから」
「何度も申し上げますが我慢しています」
 エルミーが言うことはこのことに尽きた。
「多少の不便は。それにこのファルケーゼはまだ大型です」
「潜水艦の中ではですね」
「はい、まだ動きやすいですが」
 艦内で、だというのだ。
「それでもやはり」
「はい、ドクツの方ではと思うのですが」
「居住性ですか」
「このことも課題になりますね」
「確かに。言われてみますと」
 エルミーも日本に言われて考えに入った。 
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