武で語るがよい!
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お友達フラグ?
Side なのは
現在の時刻はAM6:45分
この時間帯は高町家に住む高町なのはが、食堂で母親である高町桃子の手伝いをしている時間だ。しかし、今でも彼女はベットの布団の中で眠っていて起きそうに無い……
それから15分が経過し時間はAM7:00分
高町家ではこの時間帯になると家族の全員が、朝食を取る為にリビングのテーブルに着く時間帯だ。流石にこの時間まで寝ていると学校に遅刻する恐れがあるので、母親である高町桃子が高町なのはを起しに部室に向かう
―――ガチャリ
「なのは~もう朝だから起きなさい」
こうして彼女は睡眠から目が覚めるのだった……
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お母さんの声で目が覚めると、私は自分のベットで寝ていました。
寝起きで働かなかった頭が覚醒していく中で『あれ? 私は道路で意識を失ったのでは?』という疑問が、ふと頭を過ぎります。
「なのは、朝ごはん出来ているから早く降りてきなさい、皆待ってるわよ」
「は~い」
お母さんは、私が起きた事を確認すると下に下りて行きました。
「……夢…だったのかな?」
先ほどの疑問の答えになりそうな事を私は呟く。だが、その答えを私は頭を左右に振って否定する……というのも今着ている私の服がパジャマではなく、昨日外出する際に着ていた服装だったのだ。ということは私が昨日体験した事は全て現実だったのだろう……
「あ、えっと……おはよう、なのは」
声がする方へ視線を向けると、そこには昨日のフェレットことユーノ君が机の上に置いてある小さなバスケットの中に入っていました。
うん、やはり夢ではない……
「うん、おはよう、ユーノ君」
多分お母さんがあのバスケットを用意してくれたと思うのだけど…
それ以前に何故私が自分のベットで寝ていたのか、とかが色々気になります……
「ねぇユーノ君、昨日私が倒れてから何があったの?」
「それについてなんだけど……なのはが倒れた時に、神田っていう男の子が助けてくれたんだ」
「……え?」
唐突に現れた苗字に思わず声が漏れる……
ユーノ君から聞いた苗字に『まさか……』と思いつつ尋ねることにした。
「ね、ねぇ、ユーノ君……その子の名前って神田誠っていう名前?」
「う、うん、そうだよ、確かなのはのクラスメイトって言ってたけど……」
間違いない……あの神田君だ
ユーノ君の話によれば、私は神田君に助けられたらしいのだが……
『そもそも、なぜ彼があの現場に居たのか?』という疑問が思い浮かぶ。
「……確かに、クラスメイトだけど……でも、何で彼があの現場にいたの?」
あの結界という空間の事は、ユーノ君から少なからず説明を受けている
ユーノ君が言うには『一般の人は結界の中に入れない』との事でした。
なら、必然的に彼は一般人ではないという事になってしまうのですが……
「それは……判らないんだ。
彼に自身の事を色々と質問したけど『高町さんが起きたら説明する』の一点張り
だったし……だから、その辺りの事はよく判らないんだ」
どうやらユーノ君は彼に色々と質問したようですが、私のせいで聞けなかったようです。その事実に、申し訳なさが私の感情を覆います。
「うぅ……ご、ごめんね、ユーノ君、私がずっと寝ていたから…」
「あッ! いや、気にしないで、なのは!
そもそも、僕がなのはを巻き込んだのが原因なんだ……だから、謝るのなら
僕の方がするべきなんだ……巻き込んでしまって…ごめんなさい……」
あぁ、ユーノ君が見るからに気落ちしています……。私は巻き込まれた事を気にしてはいませんが、どうやらユーノ君にとってこの話は地雷のようです……
「わ、私は大丈夫だから、そんなに気を落とさないで!
それにユーノ君の話だと、私が起きたら神田君から事情を聞けるんだよね?
だったら、今日一緒にお話を聞きに行けば大丈夫なの!」
「で、でも……」
「問題無いったら、無いの!
それよりも、一緒に一階に下りて朝ごはん食べよ?
お母さんの料理って、とっても美味しいから、食べたら元気になるよ!」
今のユーノ君みたいに、失敗して落ち込んだ事は今までに何度か有りました。
そんな時には、お母さんがよくお菓子を持ってきてくれました……
美味しい物を食べていると自然と心が軽くなって、悩んでいる事を忘れられた。
だからユーノ君にもお母さんの作ったお菓子を……と言いたいが朝からお菓子は出ないでしょう……。でも、美味しいものならお母さんの作る朝ごはんも十二分に美味しいので大丈夫なはずだ。
「……ありがとう…なのは……」
ユーノ君は私に見えない様に顔を伏せて、お礼の言葉を掛けてきます。
それと同時に、ユーノ君の顔の辺りからはポツポツと水滴が垂れていきます……
私もお母さんのお菓子を食べたり、励ましの言葉をもらった時は今のユーノ君みたいに泣いてしまうが多かったです。なので、私はこんな時によくお母さんがしてくれた事と同じ様にユーノ君を胸元まで引き寄せ、"よしよし"と優しく撫でる。
次第にユーノ君の体は小刻みに揺れ
ユーノ君から発せられる涙が少し多くなったのを私は感じました―――
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ユーノ君をあやしながらリビングへ向かい、いつもと変らない朝食の時間を過ごしました……いや、今はユーノ君が居るからいつもとは違うのかな?
お母さんの料理を食べるユーノ君から念話で『なのは! コレ凄く美味しいよ!』と
元気にお魚やポテトサラダを食べながら、私に料理の感想を伝えてきました。
ごはんを食べている表情と念話を聞いて『元気になって良かった』と安心しながら
私も朝食を食べ進めて行ったのですが、途中でお父さんからこんな一声が有りました
「なのは、昨日の事で話があるから食後に居間に来てくれ」
「は、はい……」
声に怒気がある訳ではないのですが、お父さん声に私の体は”ビクリ!”と反応します。
あまりにもいつもと変らぬ朝のひと時だったので、昨日の失態を忘れていました……
私は家族の誰にも告げずにユーノ君を助ける為とはいえ、夜の街に出かけたのです。
そして、在ろう事か気絶して帰ってきたのです……。
ユーノ君の話では神田君が助けてくれたと言っていたので、恐らく彼が私を運んだのでしょうが……。勝手に外に出て、そして運ばれてくる……怒られるには十分すぎる理由です。
迷惑と心配を掛けた申し訳なさで、私の目線は自然と下の方へと向かう……
「あはは、そんなに不安にならなくてもお説教とかじゃないから大丈夫だよ、なのは。
大体の事は美由希と恭也から聞いてるけど、なのはからも直接聞いておきたいだけだからね。」
「……え?……あの、その……お、怒ってないの?」
お父さんの言葉に反応するかの様に、私は顔を上げ、お父さんの顔を見ます。
その顔はいつも私に向けるような優しい顔でした……本当に怒ってない様だけど…何で?
「んー、確かに無断で夜の街に出たのは問題だけど……」
「うぅ、ご、ごめんなさい! あの、私!」
結果的にユーノ君を助ける行為だったとしても、家族に心配を掛けたのは事実です……
お父さんは怒ってはいない様ですが……それでも自分のした事に罪悪感が芽生えます。
「ははは、確かに良くない行動だったけど、そのフェレットの為だったんだろ?
神田君も一緒になって、そのフェレットに会いに行ったそうだし……。
最初は心配してたけど……彼と行動してたと美由希から聞いて安心できたからね」
「ふぇ? 一緒に……?」
お父さんの発言に思わず言葉が出る……。というのもお父さんの発言がおかしいのだ
『神田君と一緒にフェレットに会いに行った』とお父さんは言っているが……どういう事なのでしょか? 私の記憶では一人でユーノ君に会いに行ったのですが……。
『あ、なのは、ゴメン……神田君から伝言があったんだ…"裏を合せろ"って……』
突如聞こえてくるユーノ君からの念話……。裏を合わせろ? 今のお父さんの発言と私の記憶の食い違いの事を指しているのでしょうか?
意図がつかめないので私は、ユーノ君に視線で『どういう事?』と首を傾げる。
『えっと……そこのお姉さんと神田君が会話していたとこまでしか分からないけど……。
神田君は自分がなのはを呼び出したって言って、謝ってたんだ』
「―――え?」
ユーノ君からの念話に思わず耳を疑ってしまった……。
というのも、神田君が私を庇う様な行動をするとは思っていなかったからである
まぁそれを言えば、私を家まで運んでくれた事もそうなのだが……。
『彼……なのはの家族の人に必死に……”高町さんは悪くない”って泣きながら(多分、嘘泣きだったんだろうけど……)謝ってたよ……』
「…………」
ユーノ君から届く念話を聞いて、私は自然と顔を伏せる……。
私は……一体、神田君の何を見てきたのだろうか……?
『巻き込んでしまった僕が言うのは何だけど……神田君って良い人だね、なのは……』
ユーノ君の言葉を聞き、お父さん達に抱いた罪悪感以上のものを私は負った……。
普段人を見る目が厳しいお父さんが認めて……。
気絶してた私を運んでくれて……。
そして、私を庇ってくれて……。
他人の為に泣いて……。
ユーノ君の言うとおりだ……良い人ではないか……。
私はそんな彼を今までどう見てきただろうか? 会話すらせずに、勝手に彼の表面上の事しか評価せず……挙句の果てに下した評価は『不良で不真面目な子』……最低だ…。
「……ん? どうしたんだ、なのは?」
隣に座っているお兄ちゃんから声が掛かっている様だが、私には届かった……。
今は彼に対する罪悪感が私の心を満たしていく……。
「おい! なのは!」
「はにゃ!? な、何? お兄ちゃん」
体を揺さぶられ、先ほどよりも大きなお兄ちゃんの声が私の耳に届く。
「何じゃないだろう、急に黙り込んで……どこか具合でも悪いのか?」
「だ、大丈夫なの! 病気とかじゃないから、心配しないで」
どうやら知らず知らずの内に、心配を掛けてしまったようです……
「士郎さん……もう昨日事は止めましょうよ。……なのはも反省しているようですし」
私の元気の無さを昨日の事が原因と判断したお母さんは、私を庇うかのように昨日の話を切り止める事をお父さんに促しています……。
「……そうだね。じゃあ、この話はもうお終いだ。
なのは、さっき言った食後に話が有るというのは無しにするよ」
「……うん、心配掛けて…ごめんなさい……」
こうして、私の今日の朝の時間は過ぎていった……。
昨日の事についての家族への対応は、お父さんから一目置かれている神田君と一緒に行動してた事と彼の弁解によって、私は怒られる事も無く終った。
全ては彼の御かげでなんとかなった……、そう……彼の……神田君の御かげだ……。
一度彼と面と向かって話そう……まだ彼とは会話を……お話をしていない…。
だが出来るだろうか?……私は常に彼と距離を置いていたのだ。それは交友関係に止まらず、彼が近づきそうになる度に距離を自然と離したりもしていた……。
ひょっとしたら……彼は私のそういった行動の意図を察しているのかもしれない……。
もしそうだとしたら……いきなり話しかけたりする私を嫌がるかもしれない…
『何で話しかけてくるの? 高町さん俺の事嫌ってるんでしょ?』と罵られるかもしれない。
もしそうなれば、謝って許してもらうしかない……今まで彼にそのような接し方をした私に責任が有る。だが……もし、そんな私でも良いというなら、お話をして……ただのクラスメイトという関係ではなく、お友達になってみたい!
私は強く決心し、自分の両手に力を込め、気合を入れるのでした―――
Side out なのは
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