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八条学園怪異譚

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第二十九話 神社の巫女その三

「一人の男をゲットするのにそれこそバーゲンセールのおばちゃん達の如く」
「修羅となってですか」
「行かなくてはいけないんですね」
「そうよ」
 三人の未来だったりする、関西では既にかも知れない。
「北斗の拳の修羅になりなさい」
「ううん、何か凄いですね」
「怖くすらありますね」
「恋愛は戦いよ」
 先輩は言い切る。
「じゃあいいわね」
「ううん、何かかえって」
「そこまで凄いと」
 二人は先輩の言葉に首を捻る、二人にとって恋愛はまだ縁の薄いものだった。
 しかし先輩も諦めない、その二人にまだ言う。
「そうね、どうしてもっていうんなら神社に行くといいわ」
「神社ってうちの学校の神社ですよね」
「学園の中にある」
「そうよ、そこよ」
 まさにそこだというのだ。
「あそこ恋愛成就の神社でもあるから」
「学業とか健康じゃないんですか?」
「そういったのもあるけれどね」
 恋愛成就もあるというのだ。
「学校の中の神社だからね」
「だからですか」
「そう、恋愛成就のお守りでも買ってきなさい。うちの学生には割引もあるわよ」
 神社も商売だ、ちゃんとお金は取られる。
「それにあそこの巫女の娘がね」
「あっ、うちの学生さんですよね」
「高等部の」
「そう、二年の娘よ」
 つまり二人の先輩である。
「私の友達なのよ、青木茉莉也っていってね」
「神社なのに茉莉也さんですか」
 愛実はこのことに突っ込みを入れた。
「宗教違いますよね」
「それ私も思うけれどね」
「それでもですか」
「何か先代の神主の彼女のお祖父ちゃんがお友達の神父さんに名前を相談してね」
「それでなんですか」
「そう、その名前になったのよ」
 神社の娘としてはどうかという名前にだというのだ。
「その神父さんはうちの学校の中にある教会のね」
「あそこの人だったんですか」
「教会の中でお酒飲み合いながらお話して決めたらしいのよ」
「何か料亭での会合みたいですね」
 最近は企業のお偉方も政治家もそこで話をすることは少なくなった、赤坂の料亭もそれで困っているらしい。
「それって」
「もっと酷かったらしくて神父さんがへべれけになった状態でそれならって言って」
「で、その先輩のお祖父さんもですか」
「滅茶苦茶に酔っててそれでいいって決めてね」
 その結果その名前になったというのだ。
「宗教は違うけれど構うかってなってね」
「酷い話ですね」
「その娘今でもそのことに怒ってるから」
「それは怒りますよ」
 愛実は眉を顰めさせて先輩に言った。
「普通に」
「まあね、神社だからね」
「神社の娘の名前で聖母っていうのは」
「やっぱりないわよね」
 聖花も愛実のその言葉に頷いて返す。
「普通はね」
「あくまで普通は、だけれどね」
「お酒飲みながら決めるっていうのも」
 このことも問題だった。 
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