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転生とらぶる

作者:青竹
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魔法先生ネギま!
  0247話

 目の前に立っているのは、まるで物語に出て来る魔法使いのような格好をした男が2人。どちらも俺とそう年齢は変わらないように見える。
 とは言っても、今の俺の年齢じゃなくて大人の俺の年齢だが。
 だが、今のは何だ? 光の槍? ……いや、違うな。周囲に漂う焦げ臭い匂いから判断するに、火か? 火炎放射器? だが、目の前に立ってニヤニヤとした笑みを浮かべている魔法使い然とした男達がそんな装備を持っているようには到底見えない。それに今何て言ったんだ? 召喚術、とか聞こえたが。それじゃあまるで魔法使いが本当に存在しているみたいな……

「今のは、一体?」

 千鶴が目の前にいる男達と俺を見比べて小さく呟く。

「全く、図書館島に侵入する護衛なんて面倒臭い仕事を放り出して正解だっただろ?」
「ああ。こんな上玉が、しかも2人も引っ掛かるんだからな」
「だが、それも……」
「ああ。あの餓鬼をどうにかしてからだな。餓鬼の癖に妙に場慣れしているような雰囲気を持っているし、それに何よりあの妙なスライムだ。どうやら召喚魔法の使い手らしいが、それにしても無詠唱で召喚術を使うなんてのは聞いた事も無いぞ。少なくても召喚術に関しては俺よりも腕が上と見るべきだな」
「となると、あの餓鬼は手足をへし折ってから呪文を唱えられないように猿轡でも噛ませて捕獲。雌2匹はお持ち帰りってトコか?」

 何やら相談をしているが、どう考えても穏便な内容でないのは明らかだ。話から察するに、千鶴とあやかを掠って、俺は捕獲、という感じらしいが。

「ちょっと貴方達! 先程から聞いてれば好き勝手に言っているようですが、そんな事が許されると思っていらっしゃるんですの!」

 あやかが気丈にも目の前にいる2人の男へと声を掛ける。
 スカートから伸びている脚が震えているのを見れば、恐怖を押し殺しているのだろう。それもこれも俺のような子供を庇う為、か。

「へぇ? なぁ、あの気の強い方は俺が貰ってもいいよな? ああいう女を滅茶苦茶にするのが好きなんだよ」
「そうだな……まぁ、構わん。なら俺はあっちの胸のでかいほうをもらうとするか」
「よし。話は決定だな。なら後はあの餓鬼を……」
「ああ。お楽しみはそれからだ」

 あやかの事をあからさまに無視し、持っていた杖を俺の方へと向けてくる。

『ラル・キル・サム 五の影槍!』
『アタィ・シミ・ラクリ 魔法の射手 炎の三矢!』

 まるで呪文を唱えるかのような動作の後、唐突に片方の男の影から槍のような物が伸び、もう片方の男の背後には炎の矢が出現する。

「ちぃっ! 加速!」

 未だ俺の手を握って呆然としていた千鶴を抱きかかえ、同時に俺達から離れて男達と相対していたあやかを引っさらってその場を素早く飛び退く。
 精神コマンドの加速の効果と俺自身の身体能力のおかげもあり、男達の放った攻撃は俺がいた空間を通り過ぎていくだけだった。

「何だ、この餓鬼。急に素早くなったが戦いの歌でも使ったか? それとも瞬動術か?」
「いや、呪文を唱えてる暇は無かった筈だから戦いの歌はないだろう。となると、瞬動術だと思うが……この歳であれだけスムーズに瞬動術を使いこなすとなると、あまり油断しない方がいいな」

 目の前の男達の会話を聞きつつも、千鶴とあやかの前へ出て2人を背後に庇う。

「ア、アクセル君、貴方一体……」
「あやか、その事は後回しよ。まず今はこの場を何とか切り抜ける方法を考えないと。このまま私達を見逃してくれそうな雰囲気じゃないようだし。……アクセル君、どうにか出来そう?」
「どうだろうな。奴等は俺の知らない戦闘技術を持っている。このままだと……いや。待て」
「アクセル君?」

 千鶴の戸惑ったような声を聞きながら、目の前に男達のステータスを表示させる。すると目論見通り、スキルの覧にそれらしきスキル名が表示されている。向かって右側の男の方に表示されているのが『魔法(影)』『魔法(召喚)』の2つ。そして左側の男は『魔法(炎)』のみとなっている。
 マジで魔法使いか。……魔法を使うロボット物と言えばデモンベインくらいしか思いつかないが、ここは日本でアーカムシティでないのは確定している。となると、俺が原作を知らない漫画やアニメ、ゲームの世界に来たのか?

「ま、何とかなるだろう。少なくてもお前達2人は俺が必ず守ってみせるよ」

 見知らぬ子供である俺に対して、とことん親切に接してくれた2人だ。恩人と言ってもいい存在を見捨てるなんて真似は出来そうにないし、するつもりもない。
 この世界の情勢が分からないが、少なくても魔法使いなり魔術師なりがいる世界であるのは間違い無い。一瞬Fateの世界である可能性も浮かんだが、あの世界には学園都市なんて物は存在しなかった筈。

「瞬動術を使えるんなら、まずは捕縛した方がいいな。俺が捕縛するから、お前が仕留めろ」
「あいよ。無詠唱の召喚術には注意しろよ」

 あからさまにこちらへと聞かせる目的で作戦を話している2人の男達。聞かれても問題の無い実力を備えているのか、あるいは俺が後ろの2人を見捨てて逃げる事は無いと確信しているのか。……まぁ、どちらにしろそのステータスを俺に見せた時点でお前達の命運は決まったも同然だがな。何しろステータス覧にスキルが表示されており、それがPPを使って覚えられないもの。いわゆる念動力と同じ扱いだ。つまりはスライムで吸収して俺のものに出来るという事になる。
 当然そうなると目の前の2人は死ぬ事になるが、こいつらの言動から見てどう考えても犯罪者、それも人を平気で殺すタイプのようだから問題にはならないだろう。……ならないといいんだが。
 どのみち、この男達の会話を聞いて作戦は決まった。まずはこちらを捕縛するのを最優先事項として、その後に強烈な一撃を放つつもりなのだろう。ならこちらはそれを逆手に取るまでだ。
 男達の様子を窺いながら、スライムを数mm程度の細さに調整して周囲へと広げていく。俺の横に空間倉庫の穴が展開しているが、幸い夜で周囲が暗い為に男達は気が付いていない。

「2人共、ちょっと惨いシーンになりそうなんで目を瞑っててくれないか?」

 魔法使い2人を睨みながら、千鶴とあやかへと声を掛ける。

「アクセル君、ですが……」
「あやか、今はあの子を信じましょう。あの子がいなかったら私達がどうなっていたのかは分かるでしょう?」
「……そうですわね、分かりました。アクセル君、私達の運命を貴方に預けますわ」

 一瞬言いよどんだものの、千鶴の説得を受け入れてすぐに納得するあやか。全く、これで本当に中学生だって言うんだからな。

「は、惨いシーンだってよ。自分に何が起こるか理解しているようだぜ」
「ま、目を瞑ってもお前とその雌共の運命は変わらないけどな。……行くぜ?」

 隣の男へとタイミングを合わせ、再び呪文らしき詠唱を始める男達。

『アタィ・シミ・ラクリ 風の精霊7人 縛鎖となりて敵を捕まえろ。魔法の射手 戒めの風矢!』

 男の呪文が完了すると周囲に浮かんだ矢がこちらへと向かい……速いっ! しかも、風だと!? あの男のステータスのスキル覧には魔法(炎)としか無かった筈だが。
 そんな風に思いつつも、意図的に千鶴とあやかの前へと立ち塞がりその敵の魔法をその身で受け止める。すると俺へと命中した矢は、瞬時に風の戒めへと変化しその場で俺を捕縛する。

「良し、捕らえた! やれ!」

 相棒の言葉を聞き、強烈な一撃を与える為の呪文を唱えようとしたと次の瞬間……空間に銀の波が走り、一瞬にして男2人を呑み込んで掠っていく。
 その様子を見ながらスライムをコントロールし、男達を物陰へと移動させ……

「SPブースト!」

 SPを最大限供給してスライムの性能を高め、速やかに男達を吸収していく。スライムに包み込まれた男達は叫び声を上げる事すら出来ず、数秒と経たずにこの世界から消え去った。
 同時に……

 ドクンっ!

 今までの能力を吸収した時と同じレベルのソレが身体の中へと流れ込む。

「ぐぅっ!」

 その違和感に、思わず口から唸り声が漏れ出て踞る。

「アクセル君!」

 こちらの様子を確認したあやかと千鶴が駆け寄ってくるが、ソレを押さえ込むので精一杯の俺は2人に構っていられる余裕は無い。
 それでも意識を保っていられるのはコードギアスの世界でマオを吸収した時程の衝撃では無いからだろう。
 額に脂汗を浮かべながらも、脳裏でチラリと考える。あの時はギアス1つを吸収するだけで気を失った。だが、今回は推定3つのスキルを吸収しているというのに違和感や衝撃はあるものの、あの時程では無い。

「ああっ、大変! 大丈夫ですかアクセル君!」

 あやかがハンカチで俺の額に浮いている脂汗を拭き、千鶴が踞った俺を抱きかかえるようにして近くに置かれてあったベンチへと移動する。

「あやか、自販機で何か飲み物を」
「分かりました。すぐに買ってきますわ」

 千鶴に言われて通路脇に置かれてある自販機へと走るあやか。その様子を半ば朦朧とした様子で眺めながらも、身体の中に入ってきたソレを押さえる事に専念する。

「一体何が起きているのか、後できっちりとお話を聞かせて貰わないといけないんだから早く良くなってね」

 ハンカチで額に浮いている脂汗を拭きながら、心配そうに呟く千鶴。1分も経たずにあやかも両手で数本ずつの缶ジュースを手に戻って来る。

「アクセル君はどうしたのでしょう?」
「そう、ね。あの魔法使いみたいな男の人達をどうにかした影響なのは間違い無いでしょうけど……」
「そう言えばそうですわね。アクセル君が目を瞑れと言って、目を瞑ったらすぐにいなくなってしまいましたものね」
「それに、あやかも見たでしょ?」
「……ええ。あの2人のやりとりを聞いた限りでは……」
「魔法、ね」
「そうですわね。召喚術がどうとか火の矢のような物や、自らの影を槍状に変化さてましたわね。まさにファンタジーそのものといった感じで」
「……そう、らしいな」

 ようやく落ち着いてきた俺は息を吐きながらあやかの言葉に同意する。

「アクセル君! もう大丈夫なんですの!?」
「ああ、心配を掛けた」
「あらあら、言葉遣いが随分と変わってるわね」

 千鶴の笑みと共に放たれたその言葉に、意表を付かれる。そう言えばこの2人の前では子供ぶった言葉遣いをしていたんだが、いつの間にか素の俺へと戻っていたな。

「……まぁ、この成りでこんな言葉遣いをしても怪しいだけだろう? 悪いが、子供の演技をさせて貰った」
「確かに何も知らないままでしたら違和感がありましたが、あの凛々しく戦う姿を見た後では特におかしな所など……いえ、逆にそのミスマッチさもまたアクセル君の魅力ですわ!」
「そ、そうか」

 何と言うか、ぶれないな。
 そんなあやかの様子に半ば圧倒されながらも、自分のステータス一覧を表示してスキルの覧を見る。そこにはあの男達を吸収して手に入れた『魔法(炎)』『魔法(影)』『魔法(召喚)』の3つがきちんと表示されていた。
 良し。無事吸収に成功したな。
 だが、疑問も残る。吸収した男の片割れが炎の魔法しか持っていなかったのに風の魔法と思しき物を使えたのは何故か。ざっと考えて思いつくとすればこの世界ではステータスに表示されるスキルは自分の得意とする魔法だけであるという可能性。例えば先の男2人で言えば片方が影の魔法と召喚術を得手としており、もう片方が炎の魔法を得手としていた場合だ。あるいは、風の魔法と言いつつも実はそれが炎の魔法の一種であったりする可能性も考えられる。

「アクセル君、冷たいのと暖かいのどっちがいい?」

 千鶴があやかが買ってきたジュースを数本、ベンチの上へと置く。
 数瞬考え、暖かい紅茶を指さす。

「はい、これね。……それで、アクセル君。事情を聞かせて貰えるかしら?」
「何があってもこの私と私の実家である雪広財閥がアクセル君を守って差し上げますので安心して下さい」
「いや、そう言われても……」

 幸か不幸か、俺があの男達に襲われる原因は何一つ思いつかない。と言うか、この世界に転移してきたばかりの俺が原因な訳は無いだろう。それにあの男達の台詞から考えるに、完全に行き当たりばったりの状態だった筈……だ……し……っ!?

「ちぃっ、またか!」

 念動力で感知するものがあり、ベンチから素早く立ち上がって素早く周囲を見回して警戒する。そんな俺の様子に再び男達が現れたのかと顔を強張らせる千鶴とあやか。
 だが……

「ほう、この距離で私に気が付くか」

 木々の暗がりから姿を現したのは、現在の俺とそう年齢が変わらないだろう金髪の少女の姿だった。

「結界に馬鹿でかい魔力を感じて来てみれば、お前達2人がいるとはな。出席番号21番那波千鶴に、29番雪広あやか」 
 

 
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:38
PP:625
格闘:262
射撃:282
技量:272
防御:272
回避:302
命中:322
SP:462
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    ???
    ???

撃墜数:376 
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