とあるIFの過去話
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一話
前書き
一通さんの過去捏造。
超電磁砲で保管されて意味をなくした。
幼い子供達が走り回っている
小学生になって直ぐくらいだろうか。公園の中を笑顔を浮かべ楽しそうに遊んでいる
学園都市といえば最先端の科学技術などで有名だが、子供の情操教育のため等で自然もあり、公園などの場所はたくさんある
そのうちの一つで走り回る子供達は希望で満ち溢れている
先日、能力開発の授業を受けたばかりなのだ、自分にどんな力が発現するかが楽しみでしょうがないのだろう
近くにいた友人と言い争いをしている黒髪の少年もその一人だろう
言い争いといっても、その顔に浮かぶのは怒りなどではなくどこか可笑しそうな顔だ
彼等からして見ればおふざけの様なものなのだろう
少年と話していた男の子が近づき、手を振り上げた
本気では無いのだろう。手を前にだして受けようと少年も困惑した表情を少し浮かべているだけだ
そして手が振り下ろされた
いつもならば、この後は仕返しとばかりにそのまま鬼ごっこでも始まったのかもしれない。そしてくたくたになるまで遊んで帰り、また明日と言い別れたのだろう
--振り下ろされた手が、ボキッ! という音とともに本来ありえない方向に曲がらなかったならば
何が起こったのか分からなかったが腕が有り得ない方向に曲がっているのに気づき、遅れてやって来た痛みに男の子が泣き出した
その泣き声に気づいた男の子の友人が未だ呆然としている少年の肩を掴もうとして触れると同時に彼の肩が外れた
泣き叫ぶ二人に近寄って来た年上の青年の腕から骨が飛び出してからその場は加速度的に深刻に成って行った
遣ってきた、正義感溢れる青年の腕が上下反対になった
通報を受けてやって来たのだろう風紀委員の能力は跳ね返され、行動不能に陥った
アンチスキルまで出動し、恐怖からか放たれた鎮圧用の特殊弾頭がそのまま弾き返され幾人もが倒れた
揚句にはまるで戦車の如く装甲で覆われた兵器まで出て来たが少年は傷一つ付かず周囲に更なる恐怖をばらまいた
少年が場を理解することが出来た頃には全てが遅かった
自分一人を中心に形成された包囲網
風紀委員にアンチスキルに装甲車
全員が装備を整え鉄鋼弾でさえ通さないであろう特殊なプレートを構えているが、そんな彼等の顔には一人残らず恐怖の感情が浮かんでいる
少し前まで遊んでいた友人達も皆同様の感情を浮かべこちらを見ている
辺りには血の跡が幾つも有り倒れている人が何人もいる
そんな惨状を作ったのは自分なのだと少年は理解する
周りの目に映る恐怖の相手は自分なのだと知る
そして見上げた少年の目に飛び込んできたのは、高層ビルの側面に写るニュース
そこに写る自分の姿。そして
化け物と呼ばれ扱われる、血まみれの自分の姿だった
「……」
目を覚ました一方通行は見なれた天井を見ながら、しばらくそのままの体勢でいて身を起こす
最低限しかない家具、元の色など分からないほどに変色した傷だらけの壁、割れた窓にその破片や石などが散らばった床
見渡す限り、おおよそ人が住んでいるとは思えない程に壊された居住空間
あの夢の後、一方通行が手に入れた日常がこれだ
「……くそくだらねェ」
いつもなら気にも留めない事が目に着くのは、夢を見たせいか。一方通行はそんな考えを抱き、ありえないと嗤う
ポケットに入れていた携帯を取り出すとメールがあったのでそれを開く。差出元は今自分が所属いている研究所。内容は新しい実験を始めるので所定の時刻にある場所まで来るようにとのこと
直接電話で伝えなかったのは、研究者が一方通行と会話することを恐れたのか別の理由か。そんなことはどうでもいいが、書いてある時刻は夕方なのでそれまで時間は大いにある。とりあえずまずは食事を取ろうと思いベッドから起き上がって玄関へと向かう
冷蔵庫ならあるが、荒らされていて中身などないだろうし、作るのも面倒なので近くにある店へと向かいながら思う
「絶対能力進化ねェ……。うさンくせェ名前だなァおい」
ファミレスで食事を終えた一方通行は、そのまま第十五学区へと向かう
時間はまだあるし、家に戻ってもすることなどない。それに、今日は自分が好むブランドの新作の服などがいくつか出るのだ。それを見るために大型ショッピングセンターへと向かうその道の途中おかしなものを見つけた
「何だありゃ?」
一人の少女が道端にいた。来ている制服から見て名門である常盤台中の生徒だろう。そんなお嬢様が額にでかいゴーグルをつけ、街路樹に抱きついて視線を上に向けている。そして樹への抱擁を止めると少し下がり、視線を上に向けたまま口を開いた
「ミャー」
「は?」
少女の口から出た言葉に、思わず声を出してしまうと、その少女は一方通行の方を向き、手を挙げて樹の上の方を指差した
「あの四足歩行をする動物の鳴き声です。とミサカは簡潔に答えます」
ミサカという少女の指さすを見ると、樹の上に一匹の黒猫がいた
「先ほど見つけた際、近づこうとしたら急に樹の上に逃げたのですが、どうやらそのまま降りられなくなった様なので何とかしようとしていました。とミサカはあなたが抱いているだろう疑問に先んじて答えを返します」
「ああそうかい。如何でもいいこと、ご親切にどうもありがとうございましたァ」
そういい、付き合っちゃいられねえとミサカの横を通り向けようとすると、ミサカが手を広げ道を塞いだ
「まあ待って下さい。とミサカはまるで自分には関係ねえぜ、とばかりに通り過ぎようとするあなたに非難の目を向けながら道を塞ぎます」
「……何がしたいンですかお前はよォ」
「手伝ってください。とミサカは上目づかいで頼みます」
「嫌ですー。オレは用があるから勝手にしてやがれ」
さっさとこの場から離れようとすると、腕に軽い衝撃を感じ、見てみればミサカが一方通行に腕をつかんでいた
反射ならば常にオートで働いているが、一定以下の力ならばその対象外に成っているのでそのためだろう
「離せ」
「女の子が上目づかいで頼んだというのに無視とは。まったく、最近の子供は冷たくなったものです。とミサカは目の前にいるあなたに見せつけるように、やれやれ、と溜息をこぼします」
「手前はオレに頼みごとがしたいンですか、それとも喧嘩売ってやがるンですかァ!?」
「子猫を助けたいのです、キリ。とミサカは決め顔で言います」
「ウザさが段々と殺意にまで変わってきやがりそうですよお前よォ。いいから離せ」
「そういいながら振り払わないところが優しいですね。 とミサカはどう考えてもそうは見えないあなたを持ち上げてみます」
「マジでぶち殺すぞおい」
「まあいいじゃないですか、人助けだと思えば。とミサカは諭すような口調で言ってみます」
その言葉で少し、言い淀んだ。確かにいつもの自分ならさっさと少女の腕を振り払い、無視して行ってしまっているはずだ
それなのに、今こうして自分んは目の前の少女と馬鹿馬鹿しい会話をしている。それは今朝見た夢がまだ影響しているのか。それとも、自分のことを怖がらずに腕をつかみ、久しく感じていなかった温かさを、掴まれている部分から伝えてくる目の前の少女のせいなのか
(下らねェ。だがこれ以上は時間の無駄だな)
「分かった。手伝ってやるからさっさと離せ」
「むむ、ミサカの絶え間ない努力によりとうとうデレが。ちょろいぜ、とミサカは拳を見えないように握り締めます」
こいつゼッテエ泣かす。と心に決め、一方通行は猫がいる樹を見上げ、気づいた
「おい、なンかもお居ねェンだけど」
「え?」
拳を握りしめ続けていたミサカは、一方通行の言葉に驚いて樹を見上げたが、確かにそこに猫はいなかった
周りを見回せば、二人が話している間に降りたのだろう、少し離れたところに件の猫がこっちをみながらいた
「自分で降りられたのですね。とミサカは安心し
「シャー!!」
ミサカが近づこうとした瞬間、言葉をさえぎるように猫が威嚇し始めた
それに驚いてミサカが止まっている間に、猫はさっさと去ってしまう
「あー、今気づいたけどよ。オマエ、エレクトロマスターか? 多分、オマエから出る微弱な電磁波に反応してンじゃねえか」
「……どういう、ことですか?」
「人間と違って猫とかは敏感だからなァ。要はオマエのせいで猫は降りられなかったってこった」
「―――」
「助けようとしてたオマエが原因とか、マジ受けるンですけどォ」
「――ううう」
「もう良いだろ。変なうめき声上げてねえでさっさと離せ」
「はあ、 あなたのせいでミサカは傷心中なのですよ。そのミサカにさらに追い打ちをかけるとは、あなたにはミサカを思いやる心はないのですか? とミサカは憤りを隠せずにあなたに尋ねます」
「あるわけねえだろ。いきなし絡ンできてよォ。オレは早く買い物に行きてェンだからさっさと離せって」
「嫌です。とミサカはあなたの意見を却下します。あなたのせいでミサカは傷ついたので、ミサカも買い物に付いていきます。とミサカはあなたの腕をつかむ力を強くします」
「は!?オマエは何を言ってやがるンですかァ!? いいから離せ!」
掴まれている腕を振り払おうと精一杯動かすが、振り払うばかりか絶対に離すものかとばかりに右腕に抱きつかれてしまった
ベクトル操作で振り払おうとは思うものの、こう腕を抱きすくめられているような状態では弾き飛ばすことに成ってしまう上、周りに少ないながらも一般人がいるところであまり大きく能力は使いたくない
周りに人が居るということを思い出し、慌てて辺りを見渡せば何人かの通行人が微笑ましそうにこちらを見ている
あらあら、痴話げんかかしら。若いわねー
見たところ中学生同士かな。ういういしいなーまったく
あの女の子常盤中? 男の子も方も髪は白くて目つき悪いけどカッコいいな。見せつけてくれるぜ
糞が、リア充もげろ。こんなところでイチャコラしてんじゃねぇよ
あきらかに自分たち二人がどんなふうに見られているかが分かり、一方通行は焦った
「テメェ、誤解されンだろ! いいから早く離せ!!」
「いーやーでーすー。 とミサカはあなたがミサカが付いていくことを許してくれるまで、断固としてこの腕を離さない気持ちを明らかにします」
離してなるものか。と無表情のままますますミサカはギュッと腕を抱きしめてくる
そのせいで、何やら小さいながらも自己主張している柔らかいものが腕に押しつけられる感触を強く意識してしまう
周りからの目、急な展開、そして腕に当たる感触が一方通行から正常な意識を奪う
(クソがっ! まずはさっさと此処を離れねと。さっきまでのことから考えるに、こいつから離すなんてことはぜってェねえ。これ以上変な噂をされる前にここを離れるには仕方がねェ!!)
もう一度言う。今まで経験したことがなかった自体に正常な思考が出来なかった。そのため、つい言ってしまった
「わかった! 付いてきていいから早く離せ!!」
「本当ですか?とミサカはあなたに確認をとります」
「ああ、本当だ! だからさっさとここから離れるぞ!!」
「了解です。とミサカは答え、力を緩めると同時に早歩きで歩き出したあなたに付いていきます」
周りからの視線にとうとう耐えきれなくなり、腕の力が緩むのと同時に、一方通行はミサカが腕を離すのも待たずに早足でその場を去った
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