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久遠の神話

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第四十四話 不老不死その二

「まあ。とにかくね」
「この戦いはですか」
「首相よりも偉い方からのお話だよ」
 そうだというのだ。
「それも表の話ではない」
「そうなんですか」
「そういうことだからね。じゃあ」
「はい、工藤さんと高橋さんにお会いさせて下さい」
「丁度トレーニングの後の休憩中だよ」
「わかりました」
 上城は彼の言葉に頷きそれからだった。
 その部屋に入った。そこは白く落ち着いた感じの部屋だった。工藤と高橋はそのテーブルに向かい合って座ってお茶を飲んでいた。それは紅茶だった。
 紅茶を飲んでいる二人がだ。こう言ってきたのだ。
「ああ、君か」
「よく来たね」
 その上城を見てすぐにだった。
 二人は立ち上がり彼を部屋に案内してきた男にも敬礼した。工藤の敬礼と高橋のそれでは敬礼の形も違っていた。
 男も返礼するがそれは高橋と同じ敬礼だった。上城はその違いに気付いた。
「あれっ、何か」
「それではね」
 男が上城が言う前に穏やかな微笑みで言ってきた。
「後は君達だけで話をしてくれ」
「わかりました。それでは」
「後は我々で」
 工藤と高橋はきびきびとしているが穏やかな声で彼に応えた。そしてだった。
 今度は三人でテーブルに着く。それからだった。
 工藤が上城に紅茶を出した。そのうえでだ。
 三人で座り一緒に飲む。上城は紅茶を一口飲んでから二人に対して先程のことを問うた。
「あの、さっきは」
「あの敬礼か」
「あのことだね」
「お二人で敬礼が違いますよね」
 こう言ったのである。
「全く」
「俺の敬礼は海軍、海上自衛隊の敬礼だ」
「海軍の、ですか」
「そうだ。海軍の敬礼は肘を折る」
 実際に肘を折っての敬礼をしてみせる。それは先程彼がしたものと全く同じものだった。奇麗に膝を折った敬礼だ。
 そして高橋も敬礼をしてみせる。それは肘を折っていない横に広いものだった。それも先程と全く同じだった。
 上城もその二つの敬礼を見比べて言った。
「やっぱり違いますね」
「海上自衛隊は船の中で勤務する」
「船の中だからその敬礼ですか」
「そうだ。狭いからだ」
 スペースの問題だというのだ。この敬礼になったのは。
「海上保安庁でもこうだ」
「その敬礼ですか」
「海ではこの敬礼になる」
「そうなんですか」
「海と陸で敬礼も違うのだ」
「じゃあ空はどうなるんですか?」
 軍隊、自衛隊は陸と海だけではない。空もあるのだ。つまり航空自衛隊、日本の空を守る組織である。この組織のことを問うたのだ。
「あちらは」
「空は陸だ」
 工藤は上城の問いにこう答えた。
「陸自さんの敬礼になる」
「そうなんですか」
「陸自さんと空自さんは似ている部分が多い」
「へえ、陸と空ではですか」
「元々空軍は陸軍から生まれた」 
 工藤は空軍誕生の歴史についても言及する。
「陸軍航空隊がはじまりなのだ」
「だから航空自衛隊もなんですか」
「陸自さんの影響が強い」
 それが敬礼にも出ているというのだ。 
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