ハイスクールD×D ~銀白の剣士~
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第12話
Side リアス
最初の作戦は見事に成功した。一気に4人の敵を倒せすことができた。
『ライザー様の「兵士」3名、戦闘不能!』
しかも、その数分後にライザーの兵士3名が戦闘不能になったという放送が流れた。状況的に倒したのは祐斗かしら? これでこちらは残り7人。ライザーの方は残り9人。相手の数はこちらの約1.3倍。微妙な状態ね。
「クハハハハ! なかなか、善戦してるじゃないか」
「ライザー!」
炎の翼を生やし空を飛んでライザーが私とアーシアのもとにやってきた。
「リアス、思ったよりもお前の下僕は優秀なようだな」
「あなたに私の下僕を褒められてもうれしくないわ」
「手厳しいね。まあいい。俺も下僕どもの戦闘を見て気分が高揚してきてるんだ。どうだ? 一騎打ちで決着をつけようじゃないか!」
『ライザー様の「女王」戦闘不能!』
グレイフィアのアナウンスがフィールドに響く。思わず笑みが浮かんだ。
これで相手の数は8。しかも、一番厄介な女王が落ちた。ライザーを見ると、少し意外そうな顔をしている。
「まさか、ユーベルーナがやられるとはな。本当に優秀な下僕がいるんだな」
「部長さん、どうしますか?」
アーシアが、私に問いかける。最終的に私たちがライザーを倒さない限り、私たちの勝ちにはならないのだから、邪魔が入らない状況で私がライザーを倒すのがベストね。
「いいわ! その申し出、受けてあげる!」
Side out
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Side 小猫
(あの時、イッセー先輩の声はもう少し遅れていたら―――)
私たちは祐斗先輩と合流するために移動しています。
そんな中、思い出すのはナギ先輩に押し倒されるように庇われたあの時のこと。頬が熱い。男の人に押し倒されるなんて初めてでした。
私の目の前一杯に、ナギ先輩の顔が広がり距離もほとんどないような状況。
(―――キス・・・・・・していたんでしょうか?)
初対面の人は間違いなく女の子だと思うような容姿のナギ先輩。しかし、外見とは違いナギ先輩は男の人です。
気づくと、私の手は唇をなぞっていました。
(ナギ先輩と、キス・・・・・)
思わず想像してしまいました。顔がさらに熱くなります。あんな状況になったのですから仕方ないです。でも、
(なんで私は・・・・・・?)
ナギ先輩が庇ってくれたあと、すぐに“どいてください”と言わなかったのか。イッセー先輩でしたら、すぐに言ったと思いますが、ナギ先輩だと言えませんでした。
「小猫ちゃん、さっきから難しそうな顔してるけど大丈夫ですか?」
朱乃先輩が心配そうに私を見てきました。・・・・・・今の私の顔はそんなに険しいのでしょうか?
「・・・・・・大丈夫です」
「そう・・・・・・ですか」
いまいち納得してなさそうですが、ここは引いてくれるみたいです。深く聞かれても答えにくいので助かります。
(キス。ナギ先輩と・・・・・・)
もう一度想像しかけて、慌てて首と振ります。今はレーティングゲーム中です。今はあんまり深く考えないことにしましょう。
(私は・・・・・・ナギ先輩のことが・・・・・・?)
でも、最後に浮かんだ疑問だけは心の中に残っていました。
Side out
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Side 朱乃
ナギくんに敵の女王を任せて、祐斗くんと合流しようとしていると、アナウンスが入りました。
『ライザー様の「兵士」3名、戦闘不能!』
一瞬、ナギくんが負けたのかを思いましたが、祐斗くんが相手の兵士を倒したみたいですわね。
「祐斗くん!」
「木場!」
「・・・・・・祐斗先輩」
物陰にいた祐斗くんにイッセーくん小猫ちゃんとともに声をかける。
「朱乃さん!?」
私も来て驚いているようですね。
「ナギはどこに?」
当初の予定ではナギくんが来るはずでしたから不思議なのでしょう。
「相手の女王と戦闘中ですわ」
「そうですか・・・・・・。まあ、ナギなら大丈夫でしょう」
「なんたって、俺の弟だからな!」
「・・・・・・大丈夫です」
あらあら、心配するかと思いましたが信頼しているようですね。
「それより、どうしますか? ここには「騎士、「戦車」、「僧侶」が一人ずついますけど?」
なかなか、厳重ですわね・・・・・・。体育館を消し飛ばしましたから、仕方ないのかもしれませんが。
「このままいても、埒があきませんわ。思い切って行きましょう」
「わかりました。僕も誰も来なかったら、そうするつもりだったので問題ありません」
「・・・・・・私は念のため隠れて様子を伺います」
「そうですね。お願いしてもいいですか」
「・・・・・・はい」
ここから小猫ちゃんは別行動ですわね。さて、祐斗くんの賛成も得られたので、行きましょうか。
私たちは物陰から出て、グラウンドに向かっていく。
「こそこそとしないで、出てきたか・・・・・・。私はライザー様の『騎士』カーラマイン!」
「朱乃さん、彼女は僕がやります」
「それじゃあ、お願いしますわ」
祐斗くんが騎士の女性のもとへと歩みを進めた。
「僕はリアス・グレモリーの眷属、「騎士」の木場祐斗だ」
「リアス様の眷属におまえたちのような戦士がいてうれしく思うぞ。堂々と出てくるなど正気ではないからな」
あらあら、私たちはまともではありませんか。
「さて、やるか・・・・・・?」
剣を鞘から抜くカーラマイン。祐斗くんも剣を抜いた。どうやら、一対一の決闘みたいですわね。となると、私の相手は―――。
「あなたたち2人のどちらかですか?」
「いいや、その「僧侶」は観戦しているだけだ。その僧侶――—いや、その方はレイヴィル・フェニックス。ライザー様の実の妹だ」
あらあら、ライザーは実の妹もハーレムに入れるつもりなのかしら? これはますます、リアスをライザーと結婚させるわけにはいきませんわ。
当のその子は、こちらににこやかに手を振っていた。
「ライザー様曰く、『妹をハーレムに入れることは世間的にも意義がある。まあ、俺は妹萌えじゃないから形として眷属ってことで』だそうだ」
イッセーくんが激しくうなずいて同意してますわね・・・・・・・・。表情を見ればわかりますわ。とにかく、実あの子は戦わないみたいですから、よかったですわ。
「それでは、いくぞ! リアス・グレモリーの「女王」よ!」
相手の「戦車」が私の顔に向かって拳を鋭く突き出す。体を半身にして避けて、後方に距離を取る。魔力はそれなりに戦えるぐらいには戻ってきているので心配はないみたいですし、それに、ナギくんのこともありますから、さっさと済ませましょう。ちなみに、イッセー君は『僧侶』とお話し中です。
「受けよ! 炎の旋風を!」
祐斗くんが相手をしていた「騎士」から、炎の渦を作り出していた。こちらまで、巻き込むつもりでしょうか? 私の相手をしていた「戦車」も距離を取って私から離れた。
「止まれ」
祐斗くんの手に円状の特殊な刃の剣がある。その剣には不可解な渦ができていた。
「複数の神器所持者か?」
「いいや、僕の神器は『魔剣創造』。僕は任意に魔剣を創り出せるのさ」
そう言うと、祐斗くんは手を地面につける。すると、グラウンドから鋭い剣がいくつも生えてきた。相手の「戦車」は私から距離がある。
「な、なんだ、あれは!?」
「戦車」がそう言って、ある方角を指す。そこには銀色の閃光が地面に直撃し、爆発を起こしていた。
――ドォォォォォォォォォォォォォォォォンッ!!
『ライザー様の「女王」戦闘不能!』
ナギくんがやってくれたようだ。ライザーの下僕は自分たちの「女王」がやられたことに、驚いて動きを止めた。
「くらいなさい!」
「戦車」の周囲に雷を落とす。
「くっ! こんなところで・・・・・・」
「戦車」の人は避ける間もなく、直撃して倒れた。
『ライザー様の「戦車」1名、戦闘不能!』
「おい、木場と言ったか? アレはなんだ?」
「あ~・・・・・・。あれはうちの人間の必殺技? 的なものだよ」
「バカな!? 人間があそこまで強力な一撃を放てるわけがない!!」
ナギくんの規格外さに、騎士と僧侶は驚いているようですわ。イッセーくんはトラウマを刺激されたみたいで、敵から心配されていますわ。
「ここね」
「あれ? イザベラ姉さんは?」
「まさか。やられちゃったの?」
ライザーの下僕が続々と集まってきた。残りの下僕全員でしょうね。それに対し、私たちはたったの伏兵の小猫ちゃんを入れて4人。これは厳しいですわね。どうしましょうか・・・・・・・?
Side out
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Side 渚
ライザーの女王を倒した僕は、これからどうするか悩んでいた。
「うーん・・・・・・・。朱乃先輩の方に行くべきか、リアス先輩の方に行くべきか・・・・・・どうしようかな?」
『ライザー様の「戦車」1名、戦闘不能!』
お? どうやら、兄さん、朱乃先輩、祐斗、小猫ちゃんの4人がやってくれたようだ。あの4人なら大抵の事は大丈夫だろうし、リアス先輩のほうに行くとしよう。
『ナギさん! 聞こえてますか、ナギさん!』
そんなことを思っていると、アーシアさんから通信が入った。
「どうしたんですか? アーシアさん?」
『今、屋上にいるんですが、そこで部長さんとライザーさんが一騎打ちを――—キャァ!』
―ドォン!
爆音が響いた。音源を探すと、どうやら屋上でリアス先輩とライザーが戦っているのがかすかに見える。ライザーの方は無傷だが、リアス先輩の方は服も破れているし、息も上がっているように見えた。
「とりあえず、すぐに向かうよ!」
『お願いします!』
通信を切って、屋上に急いだ。
Side out
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Sideリアス
私は今、ライザーと対峙している。すでに戦闘を始めてから数分以上が経過しているが、ライザーは未だ無傷に対し、私は制服もところどころ破けていて、息も上がってきていた。
「そろそろ諦めたらどうだ? お前じゃ俺は倒せないのはこれでわかっただろう?」
「誰が、諦めるもんですか!」
私は手から魔力を放つ。グレモリーの滅びの魔力。触れたものを消滅させる魔力だ。
「フンッ」
ライザーはそれを、まともに受け止める。もちろん、当たったライザーは当たった部分が消し飛んでいるが、すぐにその部分から炎が噴き出して、元通りになってしまった。すでに私は、これを何回も繰り返しているが、ライザーは一向に倒せる気配がない。
「リアス、投了するんだ。これ以上はほかの場所で見られている君の父上にもサーゼクス様にも格好がつかないだろう。キミの下僕はそれなりに残っているが、キミはもうすでに詰んでいる。―――チェックメイトだ、リアス」
諭すようにライザーは言うが、私はそんなライザーを睨んで言う。
「黙りなさい、ライザー。私は私の為に戦ってくれている下僕の為にも諦めないわ!」
『ライザー様の「戦車」1名、戦闘不能!』
「聞いた? まだ私の下僕も諦めていないのに王である私が諦めるわけにはいかないのよ!」
まだ朱乃、祐斗、ナギ、小猫、そしてアーシアがいる。誰一人欠けていないのだ。そして彼らはまだ諦めていないのだから、王である私が先に折れていいわけがないわ!
「その通りですよ。まだ、諦めるには早いです」
その声に振り向くと、女の子のみたいな容姿の男の子が立っていた。
Side out
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