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なのは一途のはずがどうしてこうなった?

作者:葛根
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第二十四章 過大評価の代償



カリム・グラシアは思う。
ミウラ・ケイタさんとは一体何者なのでしょうね。
八神はやてが紹介したい人がいると言って紹介されて数年の付き合いがあるが、実力の方は、話に聞くだけで、実際に戦ったところなど見たことはなかった。
どちらかと言うと、本当に友人としての付き合いばかりで仕事の話などは殆どしなかったわね。

「ミウラさんの実力の方は確かなのでしょうか?」

分からないことは聞く。
一線級の実力者である相手はどういう評価をするのだろう。

「……、客観的に評するなら、アイツは……、完璧ですよ。完璧なのに完成されていない……」

言葉を濁しながらも答えてくれたが、分かり難いですわね。

「えー、と。どういうことでしょうか?」
「二つ名の通り、アイツは、アイツが関わった事件で結果としてですが、負けたことがない。つまりは、犯人が逃げ切れた試しはありません。それに……」

続きを言いたくないといった感じで、しかし、

「アイツ一人でも厄介なのに、仲間がいるとなれば、アイツは無敵です」

断言した。



「ありました~」

キャロがレリックを見付け出した。
ここまで、大した敵が現れず、正直俺がいなくても十分だったと思う。
だが、ここらでそろそろ何かあるとビンビンと勘が警告を鳴らしている。
音。
壁を蹴ってこちらに急接近してくる。
やっぱりか。
思うのは、それだ。
新手の敵。
狙いは、恐らくレリックだ。
だとしたら、キャロが狙われる。
行く。
最大加速を持ってキャロを守る為に。
新人の訓練の時には訓練用の。
現場では現場用の力の使い方というものがある。

「――」

防ぐ。
同時に、

「デェヤァアア」

エリオが打ち込む。
ナイス判断だ。
成長している。
俺の動きに合わせたか、天賦の才か。
将来が楽しみだ。
紫の長髪。以前逃した、女の子だ。

「二度目ましてだな。さて、目的のレリックは俺が確保しているわけだが、どうする?」
「……」

人型の蟲は女の子を守るように佇んでいる。
状況的に、レリックは新人に渡して、俺がこいつらを足止めするのが良いと判断できる。

「ティアナ」

レリックを投げ渡す。

「はい。私達は、レリックを確保しつつ撤退よ!」

俺の判断を理解している。

「呼ばれてないけどぉ~、烈火の剣精アギト様登場~!」

無視だ。
ティアナ達はアギトと名乗ったミニチュアを無視した。
いや、まあ、良いんだけど。
少し、可哀想だ。

「皆まとめて、かかってこいやー!」
「アギト……、敵、一人しかいないよ……」

女の子は可哀想な物を見るように、言った。

「アギトと言うお前、スマンね。まあ、俺一人相手だけど、構ってくれよな」

魔力を戦闘の為に開放する。



ヴィータがミウラ・ケイタの元に辿り着いた時に見たものは、傷ついて倒れている人型の蟲と、謎の赤いリインのような奴が、バインドで捕まって泣いているのと、紫の長髪の女の子がうつ伏せに倒れて、今まさにバインドで捕まる所であった。
容赦ねぇな。
総合ランクは、隊長格や副隊長格に劣るが誰よりも、強いと思う。
敵に対する容赦の無さで言えば、シグナムや私よりもケイタは冷酷だ。
新人を撤退させたのは任務の目的の為でもあるが、この姿を見せるのにはまだ早いと判断したんだろう。
蟲の返り血か、指先にはべっとりと粘着性の水が染み付いていた。

「ヴィータか。ここは任せる。敵の狙いはレリックだろうが、あのエリオが見つけた少女が狙われる可能性もある。ヘリにはシャマルしかいねーからな」
「ああ……。ここは私に任せて、シャマルの方へ行ってくれ」

声色は普段通りだが、無表情であった。

「ルールー……。アイツ……、何なんだよ! バインドも、砲撃も、移動スピードも大したことないのに、どうしてあんなに、強いんだよ!」

アギトという貼紙を額に貼られた赤い奴が悲鳴に近い叫びを私に浴びせた。
くっ……。
人型の蟲を見ると、やはり額にハエと書かれた貼紙が貼られていた。
ぷっ……。
まさかと思い、紫の長髪の少女を起こしてみると、

「くそっ! ちくしょう! ククク……」

肉と書かれた貼紙がおでこに貼られていた。
私がキン肉マンにハマっているって知っててやったな。アイツ。
返り血と思ったのは、ノリかよ!
くだらないイタズラをしやがって……。
こりゃ新人には見せられないな。

「何なんだよ。アイツ。変なイタズラしやがって! 私達が、間抜けじゃんか!」

アギトの貼紙が叫んだ。



「ヘリを落とすとしたら、ヘリに何か仕掛けるか、狙撃だと思ったよ。遠距離砲撃するつもりだろ? その物騒なもんで」
「うっそぉ~」
「マジで?!」

驚き振り返る二人。同時にバインドで拘束する。
メガネの女の子と、ロングヘアーを後ろで縛って大きな砲撃武器らしきものを持つ女の子。
バレるはずないと思ってたんだろう。
その存在を探しだすのが、俺だ。
背後からの気配に気付かなかったのは、バレるはずないと思ったのと、狙撃しようとしていたからだろう。

「君達二人を殺人未遂で逮捕する」
「あら~、拘束プレイがお好み? だったら私と相性イイわよ~? もっとキツメがイイなぁ~」
「私は顔射というものを体験してみたいです」

……。
最近疲れてるんだな。
なのはとの愛し合いが激しいからきっと寝不足なんだろう。



イタズラと不敗。
心を折る簡単なお仕事です。
配点:(ミウラ・ケイタ)
 
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