八条学園怪異譚
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第二十八話 ご開帳その四
「そうよね」
「はい、スーパーで色々買ってます」
「どれだけあるの?」
「その時によって違いますけれど」
飲めば減る、だからだというのだ。
「いつも二十種類はあります」
「二十位なので」
「セイロンティーとかアッサムティーとか」
具体的な茶の葉の名前が出される。
「そういうので。あと普通のティーパックもあります」
「本当に多いわね」
「お父さんもお母さんも紅茶大好きでして」
それでだというのだ。
「いつも一杯あってそれ飲んでます」
「紅茶ね、うちじゃあね」
愛実は聖花の話を聞いて考る顔で述べた。
「食堂だからね」
「食堂はお茶よね」
「うん、洋食もあるけれどね」
何しろトンカツが売りの店だ、洋食は否定出来ない。
「それでもね」
「定食とかだからお茶よね」
「日本のね」
「そうよね、けれどここもお茶の種類多いわよね」
聖花も聖花でこのことを言う。
「お抹茶もあるし」
「あれね」
「そう、玄米茶も昆布茶もあるわね」
「梅茶も煎茶もあるわよ」
日本茶と言っても色々だ、愛実の家もそれはそれでなのだ。
「多いわね、確かね」
「愛実ちゃんのお家もお父さん達がなの?」
「確かにお父さんもお母さんもお茶好きだけれど」
「私なの」
名乗り得たのは愛子だった、聖花ににこりと笑って話す。
「私がお茶好きだからなの」
「愛子さんがなんですか」
「そうなの、お抹茶も好きだし」
その抹茶の話もする。
「結構揃えてね」
「お姉ちゃんお茶いつも飲むわよね」
「身体にいいのよ。ビタミンも多いし」
愛子は妹の愛実にも話す。
「それでなのよ」
「あっ、そういえばお茶って」
「そう、凄く身体にいいから」
「ただお水飲むよりずっといいですよね」
「紅茶もだけれどね」
「いいわよね、お茶って」
愛実もその麦茶を実際に飲みながら話す。
「美味しいし」
「ううん、けれど愛実ちゃんが言うと」
「何?」
「いや、おばさん臭く思えるけれど」
愛子よりもだというのだ。
「何かね」
「ううん、最近特によくそう言われるわね」
「おばさん臭いってよね」
「どうしてかしらね」
「全体的な雰囲気がそうなのよ」
「おばさん臭いのね」
「何かそんな感じがするのよ」
麦茶のコップを両手で持つ愛実を見ての言葉だ。
「妙にね」
「おばさんねえ」
「嫌・やっぱり」
「微妙ね」
嫌ではなくそちらだというのだ。
「嫌って言われたら違うけれど」
「いいかって言われてもなのね」
「また違うのよ」
「だから微妙なのね」
「生きてると絶対におばさんになるしね」
このことは避けられない、人間は生きていれば絶対に年齢を重ねるからだ。それで成長するかどうかは別であるが。
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