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ヘタリア大帝国

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TURN69 遅かった復帰その八

 その彼等に新鋭隊員達は口々に叫んだ。
「ジークハイル!」
「ハイルアドルフ!」
 この叫びが彼等の最後の言葉になった。
 包囲されていた親衛隊は一人残らず戦場から消えた。だがこれによりドクツ軍は何とか撤退できた。だが。
 リトアニア、ロシア平原、そしてウクライナにもまともな補給と修理が出来る状況は整ってはいなかった。彼等は遂にソビエト領から撤退するしかなかった。 
 グレシアはその報告を総統官邸で苦々しい顔で聞いていた。そして苦渋に満ちた顔でこうスタッフ達に漏らした。
「親衛隊は全滅して」
「はい、ヒムラー隊長以下全員が戦死です」
「東部戦線に参加している新鋭隊員はいなくなりました」
「ええ、そして我が軍はソビエト領から完全に撤退したわ」
「ソビエト軍はシャイアンに迫っています」
「我が軍が集結しているその星域に」
「シャイアンを奪われたら終わりよ」 
 グレシアは言った。
「いえ、もうね」
「ドクツはですか」
「このまま」
「北アフリカも奪還されてナポリに迫って来ているわ」
 アフリカ戦線でもそうだった。
「これではね」
「あの、総統は一体」
「本当にどうされたのですか?」
 報告をする官邸にいる官僚達もいい加減そのことを言わずにはいられなくなっていた。
「まさかお身体が」
「どうかされたのですか?」
「それは」
 言えない、グレシアの口が閉じられる。
 だが彼等はそれでもグレシアに対して問うた。
「これはもう総統しかおられません」
「この状況を打破できるのは」
「その総統は一体」
「どうされたのですか?」
「そうね。もう言うしかないわね」
 グレシアは最早隠せないと悟った。それで意を決して再び口を開いた。 
 真実を言おうとした、だがここで。
 そのレーティアが来た。そのうえで言うのだった。
「待たせたな、諸君」
「総統!」
「来られたのでスカ!」
「少し眠っていた」
 過労で倒れたことを自ら認める。
「済まない。本当に」
「レーティア、貴女は」
「グレシア、心配をかけたな」
 レーティアは申し訳ない顔のグレシアを攻めなかった。それどころかsの彼女に対してこ告げたのだった。
「私はいない間よく頑張ってくれた」
「いえ、私は」
「これからは私がやらせてもらう」
 ドクツの全てをだというのだ。
「心配は無用だ」
「何とかできるのね」
「してみせる」
 これがレーティアの返答だった。
「私がな」
「じゃあいいわね、これからは」
「ああ、やらせてくれ」
 こうしてレーティアは復帰した。だが。
 最早戦局はどうしようもなくなっていた。ソビエト軍はその圧倒的な数でドクツ軍、そしてドクツ本土に迫っていた。
 その頃戦死した筈の男は悠然と銀河を旅していた。その彼に周りの者達が影の様に寄り添いながら言っていた。 
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