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転生とらぶる

作者:青竹
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機動戦士ガンダムSEED
  0232話

 コンテナ爆弾を使った奇襲。それをまともに食らったにも関わらず、PS装甲のおかげで殆ど無傷と言ってもいいプロヴィデンスが爆煙の中から現れる。

「……今のコンテナはどこから出したのかな? あんな物を持ってるようには見えなかったのだが」

 オープンチャンネルでクルーゼがそう尋ねてくる。よし、今の攻撃でこちらを不審がらせる事が出来たな。これで奴は次から俺がどんな手を使ってくるのかに注意を払う必要が出て、より慎重な態度を取らなければならなくなる。

「さて、どうだろうな。もしかしたらお前からは見えなかっただけで、どこかに隠し持っていたのかもしれないぞ?」
「フフッ、全く君は興味深い存在だな。しかし、いくら興味深くても悉く私の邪魔をする君という存在は障害以外の何ものでもないのだよ」
「悉く邪魔、か。そんなに人類が憎いのか?」
「……どうやら君は、私以上に私の事を知っているようだな。だが、それならば私が人類を憎むこの気持ちが分かるだろう?」
「アル・ダ・フラガ、か」
「そうだ。私は己の命すら金で買えると思い上がった、あの愚物のクローンなのだからな!」
「クローンでも、お前はアル・ダ・フラガではなくてラウ・ル・クルーゼだろうに。……最後に一応聞いておく。俺の所に来る気はあるか? 俺達シャドウミラーには人造人間を作る技術がある。もしかしたらお前のテロメアに関する問題も解決するかもしれないぞ」
「……」

 己の命を縮めるテロメアの問題。それを解決出来る可能性を示唆されて思わず黙り込むクルーゼだったが、それは数秒だけですぐにまた口を開く。

「もっと前に……そう、この戦争が始まる前に聞いていたのなら君の申し出を受けたかもしれないな。だが、既に遅い。時は流れ、事は既に始まったのだから!」
「……そうか。なら……」
「ああ、始めよう! 君を倒し、破滅の日を迎えてみせる! 創り出してみせる! この私が!」

 プロヴィデンスの背に装備されていた大型のドラグーンが2機に、腰に装備されていた小型のドラグーン6機が狼の狩りの如くグロウセイヴァーを包囲しようとこちらへ向かって来る。

「ファントムっ!」

 そうはさせじと、こちらもT-LINKシステムによりファントムを発射する。先程とは違い、今度はグロウセイヴァーに装備されている12機とクロノスに装備されている16機の全28機だ。
 ファントムとドラグーン。似て非なる物同士の戦いに意識を集中しながらも、既に反射的に出来るようになった操作で武器ラックから右手にハルバート・ランチャー、左手にガン・レイピアを取り出してその銃口をプロヴィデンスへと向けた。

「集中」

 精神コマンドの集中を使って集中力を上げ、プロヴィデンスの一挙手一投足へと意識を集中。こちらが両手にそれぞれ武器を持っているのに対処する為だろう、プロヴィデンスもまた右手に専用ライフルを、そして左手の複合兵装防盾のビーム発射口をこちらへと向けていた。極限まで増した集中力により、発射されたビームを視認。実際に操縦するのではなく、T-LINKシステムによる機体制御で思考のままにグロウセイヴァーのバーニアを噴射して機体の位置を動かす。一瞬後、つい今までグロウセイヴァーがいた場所をプロヴィデンスのビームライフルから放たれたビームが貫き、回避した先へと複合兵装防盾のビームが放たれる。

「やらせるか!」

 右手のハルバート・ランチャーから放たれた光線が、こちらへと向かって来ていたビームを呑み込み、殆ど威力を落とさずにプロヴィデンスへと向かう。

「!?」

 だが、クルーゼの取った行動は俺の予想外のものだった。なんと左手をこちらへと振り下ろし、複合兵装防盾を飛ばしてハルバート・ランチャーから放たれた光線の盾としたのだ。
 当然そんな真似をして複合兵装防盾が無事で済む筈もなく、プロヴィデンスの目の前でハルバート・ランチャーの光線を一瞬にしろ防いだものの、すぐに光線に呑み込まれて消滅する。だが、クルーゼに取ってはその一瞬があれば十分だったらしく、プロヴィデンスはハルバート・ランチャーの射線軸上からの回避を既に完了していた。それを確認しながらも、T-LINKシステムにより背後に回り込んだドラグーンを感知。後ろ手にガン・レイピアを背後へと撃ち込み、グロウセイヴァーの背後からクロノスを狙おうとしていた小型ドラグーンを1機破壊する。

「さすがザフトのエースパイロットだけはあるな」
「ふん、君こそ背後から迫るドラグーンを迎撃するとは、本当にナチュラルかね?」
「さて、それを言うならお前こそナチュラルだろうに」

 お互いに距離を取り、向き直る。今のクルーゼの手は上手かった。ハルバート・ランチャーの攻撃をただ回避しただけならガン・レイピアで追撃をするつもりだったのだが、複合兵装防盾を放り出すという奇手を使い、こちらの意識を一瞬引きつけ、その隙に自分は安全圏へと移動したのだ。
 尚、この攻防をしている間にもお互いのファントムとドラグーンは周囲で素早く動き、ビームを発射し、レーザー弾を発射し、レーザーブレードを突き立てんと目まぐるしく動き回っている。今のやり取りの流れで小型ドラグーンを1機破壊したので、残るのは大型2と小型5だ。

「ふぅ……」

 深呼吸を一つ吐き、ハルバート・ランチャーとガン・レイピアを武器ラックへと仕舞い、使い慣れた武器を取り出す。

「アダマン・ハルパー、起動」

 いつもの大鎌へと変化したアダマン・ハルパーを構えて、神経を研ぎ澄ます。

「液体金属の武器とは、また面妖な物を。だが、物理攻撃である以上PS装甲に効果が無いというのは分かっているだろう?」
「さて、それはどうか……なっ!」

 T-LINKシステムを通して俺の意志に従ったファントムが5機、レーザーブレードを展開して鋭く宇宙を斬り裂きながらその牙を突き立てようとプロヴィデンスの周囲を飛び回る。少しでも隙があればレーザーブレードごと猛スピードで突っ込んでくる為に、クルーゼとしてもそちらへと意識を割かざるを得ない。
 あるいはドラグーンを呼び戻せばファントムに対応出来たのかもしれないが、プロヴィデンスに向かわせた5機を除いてもドラグーン7機に対してファントム23機とその差は3倍以上になっているのだ。……もっとも、大型ドラグーンの対処に手こずっている事もあり、ファントムとドラグーンの戦いはファントムがやや優勢といった所なのだが。

「加速、集中、直撃」

 精神コマンド3つを同時に使用し、加速の速度を活かしてプロヴィデンスへと急速に接近していく。その姿が近づいてくるのを見ながらアダマン・ハルパーを振りかぶり、それを確認して回避しようとしたプロヴィデンスの機先を制するかのように周囲を飛び回っていたファントムがレーザーブレードを突き立てようと、より速度を増しながら襲い掛かる。
 それ等を回避するのはさすがクルーゼと言うべきだが……

「はあああぁぁぁぁっっっっっ!」

 雄叫びを上げながら、アダマン・ハルパーの巨大な刃を振り下ろす!
 金属を斬るというよりは大根か何かの野菜を切ったようなサクッとした感覚、とでも表現すればいいのだろうか。精神コマンドの直撃の効果により不思議な手応えと共に、プロヴィデンスのPS装甲ごと左肩とドラグーンのコントロールユニットでもあるバックパックの一部を切断する。

「馬鹿な、PS装甲が効果を発揮しないだと! ええぃっ!」

 殆ど直感的にだろう、危険を察知したクルーゼがコントロールユニットの一部が壊れているというのに、無理を承知でドラグーンを使いグロウセイヴァーへと攻撃してくる。だが……

「甘い!」

 精神コマンドの集中を使った効果と人外染みた俺の動体視力、そしてT-LINKシステムにより発生した念動力の結界により、素早く動くドラグーンの行動は全てが手に取るように認識出来ている。
 小型ドラグーンのビームをバーニアを小刻みに噴射させる事で回避し、その隙を狙ってきた大型ドラグーンから放たれた複数のビームによる一撃もまた機体をロール回転で回避しながら前方へと進む事で大型ドラグーンとの距離を詰め、その横を通り抜け様にアダマン・ハルパーで一閃する。その爆発を後方に感じながらも、大鎌という長物の武器相手という事で懐に潜りこんでからの近距離射撃を試みる小型ドラグーンが2機。ビームを発射する前に、アダマン・ハルパーの柄の部分で弾き飛ばした所をバルカンポッドやファイア・ダガーで破壊する。

「集中、アダマン・ハルパー、ナイン・テールモード!」

 精神コマンドの集中を使い、9条の鞭と化したアダマン・ハルパーをこちらの周囲に近寄りつつあったドラグーンへと振り下ろす。
 不規則に動く9条の鞭相手ではドラグーンと言えども回避する術も無く、その1撃により残りの大型ドラグーン1機に、小型ドラグーン3機が斬り裂かれ、破壊され、叩き潰されて爆発する。

「これでお前の切り札であるドラグーンは全て無くなった。それに対して俺のファントムはまだ全機が健在だ。……まだやるか?」
「当然だろう! 私は既に終末への道を歩み始めたのだから!」

 クルーゼがそう言った時、ヤキン・ドゥーエを中心にしたこの戦場へとある通信が響き渡る。それは俺達が待ち望んでいた知らせであり、こちらの最後の一手が成功したという証明だった。

『この宙域にいるザフト全軍、並びにオーブ軍、シャドウミラー軍へと告げます。現在パトリック・ザラを始めとした急進派の者達に代わり、私、アイリーン・カナーバを議長とするプラント臨時最高評議会が組閣されました。そして、私達プラント臨時評議会はオーブ、並びにシャドウミラーに対し敵対行動を行わない事をここに宣言します。ザフト全軍に告げます。戦いは終わりました。以後はオーブとシャドウミラーの下、地球連合軍との終戦協定を結ぶ事となるでしょう。以降は戦いではなく、負傷している兵達の救助に全力で取り組んで下さい。オーブとシャドウミラーに敵対行動を取る事はプラント臨時評議会の名の下に決して許しません!』

 アイリーン・カナーバからの通信がこの戦域中へと響き渡る。それは、実質的にプラントが俺達に対して無条件降伏をすると宣言した内容だった。

「……馬鹿なっ!」

 それが信じられないのか、クルーゼは尚も残っているプロヴィデンスの右腕でグロウセイヴァーへと大型ビームライフルの銃口を向け、ビームを放ってくる。

「やめろ! 今の放送を聞いただろう。この戦いはもう終わりだ。世界を破滅させようとするお前の企みも全て終わったんだ!」
「それでは、何も変わらないではないかね! 私は、私はそんな世界を認める事など断じて出来ない!」

 既にドラグーンは全機が撃墜されており、複合兵装防循に関してもハルバート・ランチャーで消滅している。左腕と共にバックパックも一部がアダマン・ハルパーによって切断されており、プロヴィデンスは満身創痍といってもいい状況だ。それでも尚、世界の破滅を諦められないクルーゼは、ビームライフルの銃口をグロウセイヴァーへと向ける。

「世界が滅びるか! 私が滅びるか! そのどちらかしかないのだよ!」

 止める事は出来ない、か。いや、止まる事が出来ないと言うべきか。

「……そうか。なら、せめて俺がお前のその絶望を消し去ってやる」

 世界の破滅だけを望み、この戦争の裏で暗躍してきた目の前の男に対して憤りを感じているのは確かだ。だが、同時にどうしようもない運命に翻弄されたその姿に微かに哀れみを感じるのもまた、事実。なら、せめてその憎悪と絶望を俺が消し去ってやろう。

「愛、直撃」

 精神コマンドの愛と直撃を使用し、身体中にいつもの不思議な力が漲ってくるのを感じる。その力の導くままに、T-LINK装置を通してグロウセイヴァーの背後へとファントムを全機集結させる。

「これがこの戦争、最後の戦いだ!」

 精神コマンドの愛のうち、加速の効果を利用しグロウセイヴァーのバーニアを全開に。同時にクロノスに装備されている追加ブースターも全開にする。今までの戦闘機動とは桁違いの速度を叩き出しながら、急速にプロヴィデンスへと近づいていく。

「T-LINKシステム、フルコンタクト! グレイプニルの糸、起動!」

 バックパックに損傷を受けている為に機動力の落ちた機体では当然グロウセイヴァーの動きに付いて来れる筈もなく、プロヴィデンスの横を通り過ぎる一瞬でその機体へと念動力によって作られたグレイプニルの糸が絡みつく。得体の知れない何かが自分の機体に絡みついたと悟ったクルーゼがなんとかそれを外そうと藻掻くが、俺の念動力で作られたグレイプニルの糸はその程度で外れる程に脆くはない。
 グレイプニルの糸により強制的にグロウセイヴァーと繋がれたプロヴィデンスは、当然の如くこちらの速度に引っ張られる事になる。グレイプニルの糸とグロウセイヴァーの速度の2つに身動きを封じられたプロヴィデンスだが、それでも尚、右手に持っているビームライフルの銃口をこちらへと向けようとしていた。

「アダマン・ハルパー、起動! ナイン・テールモード!」

 プロヴィデンスを引きずったままの状態から素早く反転。当然こちらへと突っ込んでくるプロヴィデンスへと9条の鞭を叩き付ける! 鞭の威力によってピンポン球のように弾き飛ばされた結果、バックパックは完全に破壊され、同時に右脚と頭部が吹き飛んだ。

「ゴルゴンの瞳をその身で味わえ!」

 俺の言葉と同時に、プロヴィデンスの向こう側へと置いてきたファントム28機がレーザーブレードを展開して猛スピードで突っ込んで来る。グレイプニルの糸とアダマン・ハルパーによる一撃で既に碌に動けないプロヴィデンスは、その名の通りゴルゴーンに魅入られたかの如く動けずにファントムの抱擁を全てその身で受け止めた。
 28本のファントムによるレーザーブレードにより串刺しにされたプロヴィデンス。その背へと向けてクロノスから伸びている4つの砲門を展開する。

「終劇だ!」

 ビームガトリング砲から放たれた細かいビーム弾がプロヴィデンスに僅かに残っていたバックパックの残骸をも砕け散らす。リニアレールガンから放たれた弾丸が右腕を付け根から吹き飛ばし、ランツェ・カノーネから放たれたビームはプロヴィデンスの下半身を唯一残っていた左脚諸共に消滅させる。

「T-LINKシステム、フルコンタクト! SPブースト、斬!」

 そして最後に未だにプロヴィデンスへと絡まっていたグレイプニルの糸がSPブーストにより発生した切断力でその身を瞬時に斬り裂く。
 一連の攻撃が終わった後に残っていたのは、既にコックピット周辺の部分だけとなっていた。そしてそれもまた、すぐに核分裂エンジンの爆発で消滅するだろう。

「……アクセル・アルマーと言ったな……見事だ」

 これ程までに機体を破壊されてもまだ通信が可能だったらしく、クルーゼからの通信が聞こえて来る。映像に映し出されたクルーゼは既に顔を覆っていたマスクも千切れ、テロメアの影響で目元に現れた深い皺が見えている。また、内臓かどこかにダメージを受けて血を吐いたのか、口の周りには血の跡が残っていた。

「ラウ・ル・クルーゼ……せめて安らかに眠れ」
「フ、フフ……君のような規格外を敵に回した事が、私の最大のミス、か……ぐふっ!」

 最後まで言葉を続ける事も出来ないままに、口から血を吐き出す。

「だが、私は後悔していない。これもまた、私が望んだ結果の……1つなのだから。……それよりも、今際の際の頼みを、聞いてくれるかね?」
「言ってみろ」
「プラントに、レイ・ザ・バレルという少年が、いる。彼は、私と、同じ……存在。もし、君……達の、力で彼を、治せる……のなら……」

 既に限界なのだろう、クルーゼは言葉の合間合間に口から血を吐き出しながらもう1人の自分の事を頼んでくる。
 レイ・ザ・バレル。アル・ダ・フラガのクローン……というよりは、このラウ・ル・クルーゼのクローンだったか? 確かにまだこのクルーゼのように憎悪に塗れていないというのなら、救いの手を伸ばすのは可能だろう。だが、しかし……

「いいのか?」
「あ、ああ……彼には、私と同じ道を……歩ませたくは……」
「……いいだろう。保護者であるギルバート・デュランダルが了承するのなら、レイ・ザ・バレルをシャドウミラーの技術を使い、治療すると約束しよう」
「あり…が……これで…自由……」

 感謝の言葉を最後まで言う事無くクルーゼの命はこの世から消滅した。

「せめて、幸福な来世であらん事を」

 軽く祈り、機体をその場で反転する。アイリーン・カナーバからの広域通信から結構時間が経っている。先に戻ったムウから、俺がクルーゼと戦っている事を聞いてはいても、心配しているだろう。
 プロヴィデンスのコックピットブロックと動力炉である核エンジンの爆発を背に、俺はアークエンジェルへと、愛しい恋人達が待っている艦へと帰還する。 
 

 
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:38
PP:615
格闘:262
射撃:282
技量:272
防御:272
回避:302
命中:322
SP:462
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:374 
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