宇宙を駆ける一角獣 無限航路二次小説
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第一章 六話 ギリアス
前書き
ギリアスは今回ようやく登場。
カシュケント 宇宙港
フー・ルートンがクルーに加わってから一日、遂にユニコーンの装甲修繕が完了した。
『フフフ……遂に出来ましたよ。艦長、これをみてくださいな。』
何やらやつれた整備士のハル・バークがフラフラしながらやって来て、白野を捕まえると修復されたユニコーンの装甲を指差した。
『特に何も……む?鱗状の装甲配置……ディゴマ装甲か?』
ディゴマ装甲、カルバライヤ発の装甲加工技術で鱗状に配置された装甲がレーザー被弾時に電子ディスロケーター現象を起こし、被害を軽減させる技術である。
バークは夜を徹してユニコーンの装甲を改造したのだ。
『見事な物だな。この短時間でディゴマ装甲を仕上げるとは。』
『フフフ……給料、上がりますかね……』
以外に図太い整備士であった。
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ユニコーン 砲撃管制室
『おお!こいつはすげえ!』
ユニコーンの砲撃管制室では、フー・ルートンが快哉の声を上げていた。
『最新の砲撃管制システムだ。どうだ?……コイツはだいぶすげぇぜ?』
『いやー、まさか大マゼランの艦にのれるとはな。人生わからんものだ。』
因みにゲイケットがルートンを管制室に連れて来た。何でもとっととユニコーンに慣れてもらわないと後々面倒いからだそうだ。
『プラズマ砲か。てこたあ大マゼラン、ロンディバルドの艦か。』
『ご名答。ゼスカイアス級戦艦、ユニコーンだ。ようこそ、フー・ルートン。』
後に、フー・ルートンは銀河で名を知らない者はいないほどの伝説級の砲撃手となるが、それはまだ先の話である。
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ユニコーン ブリッジ
『艦長、出港準備完了だ。何時でもいける。』
カシュケントで補給を終えたユニコーンは今まさに出港しようとしていた。
『ン。ユニコーン、出港。』
ユニコーンの後部に搭載された大出力ブースターが起動し、ユニコーンの巨体を再び星の海に送り出した。
『マゼラニックストリームはまだ半分だ。気を抜くんじゃないぞ。抜けるまでレーダー監視は厳で固定だ。』
『了か……おいおい、早速か。』
『どうした?』
『レーダーに反応あり。……単艦?艦種照合…………大マゼランの艦だ。早いな……相当改造されてるみたいだ。』
『………………(まさか)』
大マゼラン製で相当改造されている艦。心当たりがあった。
『不明艦、間も無く戦闘距離に到達。どうします?』
『通信を繋いでくれ。』
『了か……まただよ……人の仕事とるなし。』
ゲイケットが通信を繋ぐ前に不明艦から通信が入った。
モニターにはバンダナを頭に巻いた若い男が表示される。
『お前がランカーの白野秋人だな。』
『そうだ。お前は一体誰だ?』
『俺はギリアス。お前を倒して名をあげる!覚悟しやがれ!』
通信が切れ、ギリアスの乗艦が砲門を開口する。
そういや武者修行の旅の途中だったんだな。白野はそう考えながらゲイケットに指示をだす。
『反撃準備。軽くあしらえ。』
『沈めなくていいのか?』
『……奴はまだ若い。』
『そうかい。わかった。』
ユニコーンの砲門が開き、ギリアスの乗艦バウンゼィを狙う。
『相手の砲門を潰せばそれでいい。撃て。』
先に衝撃が来た。バウンゼィが放ったレーザーが着弾し、ユニコーンを揺らす。が、それだけだ。バークが改造したディゴマ装甲はレーザーをかなり軽減させた。
『誤差修正右15度。プラズマ砲、発射!』
今回がユニコーンのおいて初の実戦であるフー・ルートンは張り切っている。しかし、その砲撃は正確だった。
放たれたプラズマが正確にバウンゼィ左舷の副砲を貫き破壊する。
『敵艦左舷副砲破壊。やるな、ルートン!』
ゲイケットはフー・ルートンの腕に快哉の声をあげる。待望の名砲撃手加入である。
しかし、ギリアスの方もやられてばかりではない。残ったレーザー砲がきっちり反撃を加えてくる。
『レーザー、来ます!』
『APFフィールド展開しつつ回避だ。』
ユニコーンが巨体を傾け、レーザーを回避するための軌道をとる。
直後、ユニコーンを大型レーザーが掠めるが展開したAPFフィールドとディゴマ装甲により被害はゼロだった。
だが、バウンゼィの攻撃はこれで終わりではなかった。
『熱源接近!ミサイルだ!』
ミサイルのような質量弾には対レーザーバリアであるAPFフィールドは意味をなさない。一応ユニコーンには対質量弾用バリアのデフレクターユニットが積んであるが、回避直後で展開する時間はない。
熟練者なら、対空砲や拡散プラズマ砲、もしくはパーティクルリデューサーでミサイルを叩き落すらしいが、生憎ユニコーンにはそのての兵装は搭載されていない。
ミサイルはユニコーンの左舷前方に着弾した。
『うおっ!?……やるじゃないか。』
『被害報告。』
『左舷前方に着弾。第一装甲板損壊なれど損害軽微。』
『反撃準備。ルートン、五秒後に最大斉射。』
『了解!』
ユニコーンの砲門にエネルギーチャージの赤い光が集中する。
が、ギリアスにこれを放置する義理はない。すぐにバウンゼィの砲門が再びユニコーンを狙う。
『敵艦からエネルギー反応!第二波、来ます!』
ここで白野は艦船指揮官としての本領を発揮する。
『…………よし。限界起動だ。』
これぞ白野の本領。適性がある者が扱えば艦船の機動性を大幅に上げることができるシステム。それが限界機動である。
『限界機動システム起動!』
システムの起動と同時にユニコーンの両舷から大型ブースターがせり出し、点火。
ミサイルは僅かにユニコーンを逸れた。
『目標、敵艦砲門!全砲発射!』
ユニコーンから大量のプラズマ弾が放たれ、それは狙いたがわずバウンゼィの砲門を全て破壊した。
続く
後書き
今回は用語解説は無し。
次回、ギリアス、白野に弟子入りするの巻き。
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