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ヘタリア大帝国

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TURN69 遅かった復帰その六

「まずいな、あの方は人類史上最高の天才だ。その方を失ってはならない」
「それはその通りですが」
 小澤がその宇垣に述べる。
「日本とドクツでは離れ過ぎてますから」
「助け出すことは無理か」
「祖国さんが大使館から官邸まで行くこともできますが」
「そうした状況ならもう惑星にソビエト軍なエイリス軍なりが降り立っているかと」 
 その日本が言う。
「私か明石大佐の忍術で総統官邸に辿り着いて行くにしても」
「大使館が若し破壊されていれば出来ませんね」
 小澤は言った。
「ソビエトもそれはわかっていますから私達の大使館を攻撃してきますよ」
「幾ら何でも大使館員は犠牲にはできん」
 宇垣は外相としてそれは駄目だとした。
「若し連合国軍がモスクワに迫れば大使館員達は中立国に避難させるしかない」
「スイスかリヒテンシュタインに」
「そうするしかない」
 その場合はだというのだ。
「だからそれはだ」
「出来ないですね」
「うむ、大使館を使っての救出は無理だ」
「ではやはり」
「無理か、あの方をお救いするのは」
 連合軍にベルリンが包囲される状況になった時点ではだ。
「出来ないな」
{最後の最後の時点までは亡命をお勧めすることすらできないですね」 
 日本妹は早期の行動も出来jないと述べた。
「とても」
「その時点でも。実際は絶体絶命の状況でも国を捨てる方ではない」
 宇垣はそのことも的確に見抜いていた。
「難しい話だな」
「ですがそれでもですね」
「何とかしたい」
 宇垣は今度は日本に述べた。
「人類の為にな」
「そうですか」
「願うなら今のうちに復帰され勝ってもらいたい」
 宇垣は己の考えを切実に話した。
「ドクツの勝利を願う」
「本当にそろそろドクツが勝利を手に出来るタイムリミットです」 
 東郷はまたこの言葉を出した。
「遅れれば手遅れになります」
「その通りだな」
「私もドクツの勝利は願っていますが」
「こちらは何とかなりそうだしな」
 太平洋側はガメリカ、中帝国への勝利を決定的なものにしていた。彼等はどうにかなってもだというのだ。
「しかし欧州で枢軸軍が敗れれば」
「それは残念なことです」
 東郷もそう思っていた。戦線は当初の予想とは異なり太平洋では枢軸軍が、欧州では連合軍が有利となってきていた。
 そしてその欧州戦線ではドクツ軍は劣勢のままだった。
 カテーリングラードでも彼等は戦いにならず撤退に移ろうとしていた。もうソビエト軍は彼等の目の前まで来ていた。
 そのソビエト軍を見てベートーベンは苦渋の決断を下した。
「撤退しかない」
「それしかないずらな」
「うむ、それしかない」
 こうルーマニアに言うのだった。
「とてもではないが戦える状況ではない」
「こちらの艦隊はまだ修理も補給も不完全ですし」
 ブルガリアはダメージを回復してきれていない自軍を見ていた。 
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