ガールズ&パンツァー もう一人の転校生
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決勝戦ですよね?梨華の過去?
『ただ今より大狩流派祭予選トーナメント決勝戦を始めます。まさかの大狩流派祭初出場でここまで上がってきた大洗女子学園。対するは例年通りここまで上り詰めてきた鹿島女子学園。両校とも茨城県の公立校と言うことで期待の一戦になると思います。本日の審判は主審夏村未来。副審を北本州学園です。』
今回の試合に携わるの未来君を除いて全員が茨城県に関係している人じゃないの。
いくらなんでもここまで茨城県で統一する意味も無いのではないかな。
それに見知った顔がありそうでなんだか怖い。
相手の隊長は鈴木さんのお姉さんらしいから少しは鈴木さんに似ててくれると助かるけどそうではないみたいだからヤりづらそう。
「両校隊長、副隊長。前へ。」
未来君の合図と共に私たちは中央に向かって歩いた。
隣を歩くみほなんて緊張感が溢れていた。
これくらいで緊張するなんてだらしない。
私は緊張感なんて小さい頃に克服したよ。
あれはジュニア大会の事だった。
私は他の人より緊張することが多かった。
だから人前で発表したり、チームの隊長を務めたりした。
その成果は中学校の戦車道部に入って実感した。
中体連の全国大会に出場した際にインタビューされたことがあった。
ジュニアの頃の私では緊張してしまって何も話せなかったであろう。
しかし中学校生になった私はどんなことにもしっかりと答えることが出来ていた。
これで少し成長したのだと思った。
戦車の中体連では熊本代表校に勝って世界大会に出場した。
世界大会はアジア予選を一位で通過して本選に駒を進めた。
多くの国を持つアジア地区とヨーロッパ地区からは4ヵ国、他の地区からは2ヵ国の計16ヵ国で競われた。
そんな世界大会は一回戦にイタリアのチームと当たった。
私は世界大会に来たことで満足してしまった。
私たちの実力ならば3位以内を目指すことは可能だった。
しかし私は準決勝で決定的なミスをしてしまった。
ミスと言うのは簡単な囮にまんまと引っ掛かってしまったのだ。
そのせいでチームは士気が低下してしまい3位決定戦までも敗れてしまった。
これはかなりのプレッシャーだった。
今の私はなんだかその状況に似ている気がした。
緊張感はないものの何か別のものを恐れている気がした。
「両校。挨拶。」
私はみほと一緒に
「「よろしくお願いします。」」
と声を張り上げた。
これには鹿島女子学園の選手も驚いていた。
しかし主審を務める未来君だけは
「元気がいいね。」
と褒めてくれた。
いつ見ても未来君が同い年には見えない。
「こちらこそお願いします。」
鈴木さんのお姉さんは私たちに丁寧に挨拶をした。
案外まともに見えた。
「それでは移動してください。五分後に開始致します。」
未来君は副審をつれて審判台に向かっていった。
去年の審判とは違いかなり緩い審判のように思えた。
去年の審判は両校の戦車の中まで規定違反がないか確認をしていた。
しかし今年はそれがない。
多分だけれども苦情があったのであろう。
「みほ。私たちは囮になる。だからみほたちで倒してね。」
「うん。任せて。」
そうして私たちは自分の戦車に乗った。
「最後にりかりんはなんて言ってたの?」
戦車に乗った私にさゆりさんが聞いてきた。
さすがに極秘の作戦だから言えないけど誤魔化す方法が思い付かなかった。
さゆりさんは不安そうな顔をしていた。
「言えないことなの?」
言ってはいけないことだけどどう説明すればいい。
先攻するとでも言えばいいのかな。
私はかなり悩んでいた。
「言えないならいいけど。みぽりん。無茶はしないでね。」
「うん。心配してくれてありがとう。」
無茶をするのは梨華たちの方だけどね。
頑張ってね。
梨華。
「みんな。今日は私たちが囮だからね。白河女子高校だった頃の実力を見せつけるのよ。」
「はい。」
「任せて下さい。」
「もちろん。」
「了解です。」
今日ははやたちが出ていない。
はやたちには決勝トーナメントに向けて色々な準備をしてもらっている。
だからはやたちの分まで頑張らないといけない。
絶対に負けたなんて報告したくない。
笑顔で勝利報告をする。
それをはやたちは待っているはず。
『それでは試合開始。』
無線から未来君の声が聞こえてきた。
主審だから当たり前なのだけどね。
「本隊から離れるよ。さやね。」
「了解。」
私たちはゆっくり直進する本隊を抜かして敵(鹿島女子学園)陣営目指して進んだ。
もちろん敵(鹿島女子学園)陣営近くに着いたら隠れながら攻撃も加えるけど。
「梨華。武部さんが文句言ってるけどどうする?」
私は武部さんが何に対して文句を言っているのかわからなかった。
だってこの作戦はみほも知っている。
つまり隊長公認の行動なのだから。
それに私たちは遊撃隊。
本隊とは別行動をするのが基本。
「梨華。相手の偵察だと思われる戦車を発見したよ。」
偵察ならここで叩いておかないとめんどくさくなりそう。
しょうがない。
「一旦停止して。装填は?」
「済ませてあるよ。」
毎回行動が早い。
「発射。」
撃った砲弾が敵に向かって飛んでいった。
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