ハイスクールD×D ~銀白の剣士~
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第11話
Side 渚
堕天使を討伐した次の日。
「あら、ちゃんと来たわね」
兄さんと一緒に部室に行くとそこにはリアス先輩しかいなかった。
まだ学校は始まっていない。昨日、朝から集まりがあると言うことで早朝からここに来たわけだ。しかし、他に人がいないところを見ると、早過ぎたようだ
リアス先輩は、ソファーに座って優雅にお茶を飲んでいる。
「おはようございます、部長」
「おはようございます、リアス先輩」
「ええ、おはよう。もう朝は大丈夫みたいね」
「はい、おかげさまで」
兄さんは悪魔になってしばらくは朝がつらかったようなのだが、もう慣れたみたいだ。しかし、僕は悪魔でもないので夜に強いと言うわけでもない。そう言うわけでちょっと眠かった。
「堕天使にやられた傷は?」
「アーシアのおかげで完治しています」
兄さんが笑顔で答えた。あの力は本当にすごい。怪我がみるみる回復していくのだ。
「そう、あの子の治癒能力は無視できないものね。一堕天使が上に黙って勝手に動くのもうなずけるわ」
僕と兄さんはリアス先輩と対面になるように座る。
「あの部長、チェスの駒の数だけ『悪魔の駒』があるなら、俺のほかにも兵士があと七人存在できるんですよね? いつかは俺と同じ兵士が増えるんですか?」
兄さんがリアス先輩に質問する。あの時に僕が言ったことはあまり意味がなかったらしい。
「いえ、私の兵士はイッセーだけよ」
リアス先輩は首を横に振りながら言った。
「兄さん、僕が悪魔にならないかって言われた時に兵士はなかったんだ。つまり、兄さんは兵士の駒八個を全部使っているんだよ」
「渚の言う通りよ。チェスにこういう格言があるわ。『女王の価値は兵士九個分。戦車の価値は兵士五個分。騎士の価値は兵士三個分。』悪魔の駒でもそれは同じなの。あなたを悪魔として転生させるときにそれを知って、絶対下僕にしようと思ったの。神滅具を宿していたなら納得だわ。つまり、あなたは駒の消費で言えば朱乃の次に価値があるのよ。だから、イッセー、とりあえず最強の兵士を目指しなさい。あなたならそれができるわ」
兄さんは最強の兵士と言う響きに酔っているようだ。
「これはお呪いよ。強くなりなさい、イッセー」
「ヒュウ♪」
兄さんの額にリアス先輩がキスをした。僕は思わず口笛を吹いてしまった。兄さんの顔は真っ赤になっている。
「僕、お邪魔ですか?」
茶化すように僕は肩をすくめる。
「あら? そんなことないわ。羨ましいの?」
「そりゃあ、リアス先輩みたいな美人に額とはいえ、キスされていたのは男として羨ましいですよ」
「そ、そう・・・・・・(ナギは恥ずかしいことを平気でいうわね)」
僕の返しに、少し顔を赤くしながら動揺した様子のリアス先輩。
「ええと、それにイッセーにこういうことしていたら新人に嫉妬されるかもしれないわ」
動揺を取り繕うようにリアス先輩が言った。
「と、言うことは・・・・・・・彼女が?」
「ええ」
兄さんは何を言っているのかわからないようだ。頭の上に?が浮かんでいる。
「イ、 イッセーさん・・・・・・・・・?」
おお、なにを言っているのかわかるぞ! 後ろから聞こえた声がわかったことがうれしく感じる。
「紹介するわ。新しく私の下僕になったアーシア・アルジェントよ。駒は僧侶だわ」
兄さんはビックリして固まっている。どうやら、アーシアさんはリアス先輩が兄さんの額にキスしたところを目撃したようだ。
「な、なんで・・・・・・アーシアが悪魔に・・・・・?」
「そこはいいじゃない、イッセー」
兄さんはわかっていないようだが、大方リアス先輩が「悪魔になればイッセーとずっと一緒にいれるわよ」とか言ったに違いない。これは確信できる。
「そ、そうですよね・・・・・・。リアス部長は綺麗ですから・・・・・・・」
あーあ。落ち込んじゃったよ。まあ、自分の好きな人が額とはいえ、キスされている姿を見ればそうなるのもわかる気がするが。
「兄さん、何か言いなよ(服、服を見て!)」
最後の方は小さい声で言って、アーシアさんの服装に目を行かせるように言った。
「アーシア、その格好・・・・・・」
そう、アーシアは今、駒王学園の制服を着ているのだ。
「に、似合いますか?」
恥ずかしそうに、兄さんに尋ねるアーシアさん。
「すげぇ! かわいいよ! アーシア、最高だ! あとで俺と写真を撮ろう!」
「え、は、はい」
ちょっと反応に困っているアーシアさん。顔が少し赤い。なんか二人の周りにピンク色のオーラが見えるんですけど・・・・・・・・・。
「(リアス先輩、なんか二人だけの世界に入ってません? あの二人。僕はピンク色オーラを二人が出しているのが見えますよ)」
「(ええ、そうみたいね。見事に蚊帳の外だわ、私たち)」
「(どうします?)」
「とりあえず、私が何とかするわ」
「(おお、さすがリアス先輩! そこに痺れる、憧れるぅ!)」
「(ナギ・・・・・・・それで褒めているつもり? ・・・・・・・まあいいわ)」
二人で、密談をする。内容はこの状況をどうするかだ。
「ごほん! アーシアにもこの学園に通ってもらうことになったわ。イッセーと同じクラスよ」
リアス先輩が咳払いをして、二人だけの世界から連れ戻した。
「よろしくお願いします。イッセーさん」
「ああ、俺こそよろしくな」
そう言った後、兄さんは何か妄想しているようだ。
「アーシアは今日から私の下僕としてイッセーと一緒に走り回ってもらうわ」
「はい! がんばります!」
元気よくアーシアさんが返事をした。
しばらくして、祐斗、小猫ちゃん、朱乃先輩が部室に入ってくる。
「おはようございます、部長、イッセーくん、ナギ、アーシアさん」
「・・・・・・・・おはようございます、部長、イッセー先輩、ナギ先輩、アーシア先輩」
「ごきげんよう、部長、イッセーくん、ナギくん、アーシアちゃん」
それぞれが挨拶をした。みんな、兄さんのことを「イッセー」と呼び、アーシアさんを一員として認めていた。自分もその中にいることに思わず笑顔になる。
「さて、全員が揃ったところでささやかなパーティーを始めましょうか」
そう言ってリアス先輩が指を鳴らす。
すると、テーブルの上にケーキが出てきた。おお、この魔法は教えてもらいたい。
「た、たまにはみんなで集まって朝からこういうのもいいでしょ? あ、新しい部員もできたことだし、ケーキを作ってみたから、みんなで食べましょう」
リアス先輩が照れくさそうに言った。
そして、みんなでケーキを食べる。楽しい朝だった。言わなかったが、朝からケーキはつらいものがあった。
Side out
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追記
朱乃先輩が僕にケーキを「あーん」をしてきたので、お返しに僕もケーキを「あーん」してあげたら、兄さんが「百合の花が咲き誇って見える」とか言い出し始めたので、どこぞの魔法少女がするようなO☆HA☆NA☆SHIをした。具体的には中身がスカスカで形だけの威力ゼロの神討つ剣狼の銀閃を何発も打ち込んだのだ。しばらくの間「銀色怖い、銀色怖い、銀色怖い、銀色怖い、銀色怖い、銀色怖い」としか言わなくなってガタガタ震えていたのは仕方ないだろう。ドSの朱乃先輩以外、周りはドン引きだった。そんな兄さんをアーシアさんが必死に慰めていた。兄さんはある意味、役得だっただろう。
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