リリカルなのは~優しき狂王~
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第三十四話~R2・決戦~
前書き
作者的には削りに削ってやっとここまでって感じです。
では本編どうぞm(_ _)m
シャーリーの死。それを聞いたとき、ライは何を言われたのか一瞬分からなかった。
「……何故?」
なんとか平静を取り戻し、そう問いかけるライ。それにルルーシュが答える。
「ロロがシャーリーの記憶が戻ったことを知り、口封じのために殺した。奴は誇らしげにそう言っていたよ」
いつものように冷静な口調でそう言うルルーシュはその目に憎しみを宿していた。ルルーシュはシャーリーが死んですぐにその真実をロロ本人から聞いていた。その時、彼はロロに対して「よくやった」と本心を殺してそう言った。その時のルルーシュの気持ちは筆舌につくしがたいものであった。
どこか吹っ切れた表情をしたルルーシュはその場でロロに告げる。
「ギアス嚮団を潰す」
シャーリーという大切な日常を失ったルルーシュはもう止まることを知らない。その為、行動は迅速であった。
国としての力と仲間になったジェレミアの協力で、ギアス嚮団の本拠地はすぐに判明した。
その制圧の際、ギアスに関わる作戦の為、限られた部隊しか使うことができなかった。そこでルルーシュが使うことを決めたのは、ゼロの親衛隊という位置づけであるゼロ番隊である。ルルーシュは彼らに作戦の大まかな概要を説明はしていたが詳細までは説明しなかった。それほどまでに今の彼は頭に血が上っていた。
ライはルルーシュに代わり、ゼロ番隊のメンバーに言葉を送る。
「今回の作戦はハッキリ言えばドブさらいのような汚れ仕事だ。この作戦に対する不平不満は多くあると思う。だけど、それでも僕たちについて来てほしい。そして今回の作戦で奪った命を悲しみ、そして憎みたいのなら僕を憎んでくれ」
ライはそう言って頭を下げる。最初はそんなライに困惑するゼロ番隊メンバーであったが、これまでの活動でライの人柄をよく知っていた彼らは「貴方を信頼します」と言い、ライはそれに感謝と笑顔で答えた。
そしてギアス嚮団の殲滅作戦が始まった。そこにはゼロとC.C.にライ、ゼロ番隊の他にジェレミアとロロの二人もこの作戦に参加していた。始め、黒の騎士団側の一方的な殲滅作戦が展開され、それはまるでかつてのブリタニアが日本人を虐殺していた頃のような光景であった。
しかし、現嚮祖であり、C.C.と同じ存在、そしてライを神根島の遺跡で眠りにつかせ、さらにはシャルル・ジ・ブリタニアの兄であるV.V.がナイトギガフォートレス、ジークフリートに乗って現れる。その機体のでたらめな防御力にルルーシュたちは苦戦する。
防戦一方の中、ライは蒼月を巧みに操りジークフリート相手に善戦する。
「往生際が悪いぞ、V.V.」
『狂王、君は今の世界を作った原因だろう。そんな君がこの世界を憂いて世直しかい?』
「そんなことをする資格は僕にはない。僕は失わなくてもいい人たちをこれ以上増やさないためにここにいる」
『今更だね』
「僕にしても君にしても、そしてギアスもこの世界には不要なモノだ。だからV.V.君はここで退場してもらう」
『よく言ったよ、狂王“ライ・ズィ・ブリタニア”』
最後のセリフには若干の苛立ちと怒りを感じさせた。
このままでは埒があかないと判断したルルーシュは、ロロにジークフリートに取り付くように指示を出す。ルルーシュは事前にロロの乗機に爆弾を取り付けておいたのだ。今更であるが、彼はシャーリーを殺したロロを許す気はさらさらなかった。
そのことを知らないロロはなんとかジークフリートに取り付くことに成功する。そして爆破スイッチをルルーシュが押そうとした瞬間、いきなりジークフリートが着弾を受ける。その場に居合わせたコーネリアがその砲撃を行ったのだ。
彼女はブラックリベリオンの原因となったユーフェミアの汚名をすすぐため、ギアス嚮団に足を運んでいた。
結局、ロロを殺すことなくジークフリートは撃墜され、作戦は終了すると思われた。だが、ここでルルーシュもライも予想しないことが起こる。
姿を消したV.V.を追い、ある大きな扉の前にきた2人。そこには確かに瀕死のV.V.の姿があった。しかし2人が到着した瞬間、その扉は開かれ2人はナイトメアごと扉の向こう側の世界、Cの世界に引きずり込まれる。そこにいたのは現ブリタニア皇帝、シャルル・ジ・ブリタニアであった。
ルルーシュはギアスを使い、彼を殺す。―殺せたように見えた。だがシャルルはV.V.から“コード”というものを受け継いでおり、今の彼はC.C.と同じく不老不死であった。
シャルルを殺せないことに一瞬絶望を覚えるルルーシュ。しかし、ライは心を折ることなくシャルルと睨み合う。一触即発の空気の中、その場にC.C.が姿を見せる。
彼女はそこで2人に自分の願いを打ち明ける。それは不老不死である自分の経験という名の終わらない人生を終わらすこと。つまりは自らの死。
その願いを叶えるためには、ある一定までギアスを使い込み続けなければならない。それを既に満たしていることと、コードを受け継いでいるシャルルがいるため、もう2人に用はないとC.C.は言い切る。
そしてライとルルーシュの2人はCの世界を通して彼女の過去を知る。彼女が手に入れたギアスが『愛されるギアス』であるということ。そして彼女が本当の愛が解らなくなったこと。彼女が不老不死の原因である“コード”という呪いを押し付けられたこと。
それらを知った2人は自らの意思でC.C.に叫びかける。
「C.C.!何故俺を代替わりにして死ななかった!俺を哀れんだのか?!」
ルルーシュは叫ぶ。彼女が隠している本音を指摘するように。
「死を望むなら、そんな悲しそうな顔をするんじゃない!それに君の本当の願いはそんなものではないだろう!!」
ライも叫ぶ。コードの存在の為とは言え、自分を忘れないでいた彼女の真意を受け入れようとするように。
「C.C.!君は諦めているだけだろう!!変わらない自分を!廻らなくなった自らの歯車を!」
「!」
ライのその言葉にC.C.はハッとした表情を浮かべる。
「君はそんなに弱い女じゃないだろう!最後まで求め続けろ!!」
その言葉を聞いた瞬間、C.C.はシャルルを拒んだ。シャルルが彼女の行動に動揺した隙を突き、ルルーシュとライは自分のナイトメアを使い、Cの世界に攻撃を加えC.C.を取り戻す。
「これ以上、奪われてたまるか!」
「これ以上、失わせるものか!」
2人はそう叫びながら、Cの世界を脱した。しかしそれと同時にC.C.に一つの変化が起きていた。
脱出の際に気絶していた彼女が目を覚ます。そして近くにいたライとルルーシュを見ると怯えながら言う。
「あ、新しいご主人様ですか?」
「「え?」」
「で、できるのは料理の下ごしらえと掃除……水汲みと牛と羊の世話。文字は少しなら読めます、数は20まで。あ、死体の片付けもやっていましたから……」
彼女はこれまでの記憶を失い、かつての奴隷と同じ扱いを受けていた頃に戻っていたのだ。このことに2人はひどく動揺したが、彼女があの場で命を落とすよりも良かったと割り切った。
一部始終を見ていた六課の面々はライのその自己犠牲とも言える一連の行動に悲しみを覚えた。ライはどんな時でも自分を優先しない。今を生きる誰かのために行動している。その為、元来過去の人間である自分を自分で使い潰そうとするのだ。
そのライの行動はミッドチルダに来てからもしばしば見られたものである。そこに思い至った六課メンバーは改めて彼の危うさを知った。
それから少し経ち、ルルーシュはブリタニアの国の動きを調べ、シャルルが未だCの世界に残り、こちらの世界に帰ってきていないことを知る。これを機に彼は自分にとっても、世界にとっても大きな行動を起こす。
『超合集国の建国』
中華連邦という大国を筆頭に近隣諸国の小国を統一し、ブリタニアに匹敵する大国を立ち上げたのである。その立ち上げの際に超合集国は一つの絶対の取り決めを発表する。それは『超合集国に参加する国、団体は保有する全ての軍事力を全て永久に放棄する』というものである。
それを聞いた機動六課のメンバーは全員首を傾げる。
「そんなことしたら……」
「弱肉強食を国是としているブリタニアに即座に占領され、かつての日本よりもひどいことが起こる」
シャマルとザフィーラが全員の代弁をするような形でその意見が述べられた。だがその懸念事項はその次に発表された内容により、問題とはならなかった。
超合集国は黒の騎士団という、“どの国にも所属しない組織”に契約を依頼する。この場合の黒の騎士団というのは元レジスタンスであるメンバーだけでなく、各国が放棄した軍事力を吸収し更に巨大化した組織としてのものであった。
単純に言えば、黒の騎士団という組織が超合集国と言う後ろ盾を得るという形をとったのだ。こうすることで、ブリタニアが下手に黒の騎士団に干渉することもできなくなり、更には超合集国の参加者である日本人の故郷であるエリア11の解放のための大義名分が立つ。全てがルルーシュの予定通りに進もうとした。
しかし、ルルーシュにとっては悪夢とも言える事態が起こる。シャルル・ジ・ブリタニアがブリタニア帝国に戻ってきていたのである。エリア11解放のための戦闘行動を発表した後、彼はブリタニア皇帝としての回答で正々堂々受けて立つとまで答える。
だが、ルルーシュにはそんな言葉はどうでも良かった。彼の脳裏に過るのは、自分にとっての人質になっているナナリーのことである。ゼロの正体が既にバレているため、彼は焦った。このままではナナリーを人質に使われてしまうのだ。それはルルーシュが最も恐れていたこと。
彼は焦り、戸惑い、ある決意をする。
そして黒の騎士団が日本解放の為の戦闘が開始される。
その最初の戦闘は九州地方で行われていた。その戦場にはナイトオブラウンズも参加し、その苛烈さを極めていた。しかしそこにはゼロ率いる、ライや初代黒の騎士団とも言えるメンバーの姿はなかった。
その頃、ルルーシュはある神社を訪れていた。そこで待っていたのは親友であり、敵であり、そして最もお互いを知る相手。スザクであった。
ルルーシュは自分を代償にスザクにナナリーのことを頼み込んだのだ。スザクはその話し合いでルルーシュに確認していく。
ユーフェミアにギアスをかけ、日本人を虐殺させたことを。
シャーリーが死んだのはルルーシュが原因であるのかということを。
その全てを肯定したルルーシュは罪を裁かれる罪人の目をしていた。スザクはそんなルルーシュにありったけの怒りをぶつけ、そしてルルーシュにその責任としてこれ以上戦いを広げないようにすることを約束させる。
そしてそのまま2人が手を取り合おうとした瞬間、予想外のことが起きる。2人の密会を事前に察知していたシュナイゼルが、一方的にルルーシュを拘束したのである。
結局、ルルーシュはスザクに裏切られたと思い、2人は再びすれ違いを繰り返すことになった。
それを見ていた六課メンバーは複雑な想いを抱いた。友として、そして人として今のルルーシュとスザクの2人のすれ違いは起こってはならないことと感じる。だが、管理局という組織としては正しい選択をしたのはシュナイゼルであるという考えがあるのだ。
この戦争の原因であるゼロの捕縛。それを優先するのは当然のことである。
心情的にはしたくないが、規則を守るためにはしなければならない。そのことに気付いた彼女たちは今度こそ、この世界で本当に何が正しいのかわからなくなり始めた。
その後、ギアスを使ってブリタニアの拘束から逃げ出したルルーシュはそのままトウキョウ租界に向かう。そしてそれを合図として海中に待機させておいた、戦力を投入。そこから東京決戦の火蓋が切って落とされた。
ルルーシュはその戦場を見ながら悲しげに嗤う。
「“友”などと言う存在を信じた自分が愚かだった。この世で頼れるのは自分とライだけだ。そして俺が心から信じるのはナナリーとライだけでいい」
そう言うルルーシュの目には涙が溜まっていた。そこにスザクはランスロットに乗り現れる。
「答えてくれ、ゼロ!自分が原因でこの戦闘が始めたのだとしたら!」
焦った声を隠すこともなくスザクは尋ねる。
「自惚れるなよ、お前は親を、日本を裏切ってきた男だ。だから友情すら裏切る」
ルルーシュのその言葉はどこまでも冷徹で容赦がなかった。
その頃、東京決戦に参加していたライの元に2機のナイトメアが接近する。その機体はトリスタンとモルドレッド。ジノとアーニャの2人であった。
ジノはどこか楽しそうに宣言する。
「ナイトオブラウンズの戦場に敗北は無い!」
「ッ!」
これまでの戦闘よりも激しい戦いが繰り広げられる中、ライは内心舌打ちしていた。
(蒼月の反応が!)
ここに来て、ライの扱いに蒼月がついて来れなくなっていたのである。いくら量産機と比べて高性能とは言え、ライの突出した操縦技能はどんどん成長している。ある意味、これは当然の結果と言えた。
そんな中、モルドレッドが蒼月の背後を取り取り付く。
「クッ!」
思考を最大限働かせ、この状況に対応できる方法を考えていたときにその通信はつながる。
『……ライ?』
それは接触通信であった。
「……」
『ライなんでしょ?』
いつもの声で自分を呼ぶのはアーニャ。彼女はそこにライがいるのを確信したようにそう語りかけていた。
「……いつから気付いていた?」
渋々、アーニャの通信に答えるライ。
『……ライと話すようになってから』
「そうか……なぜ僕を捕まえなかった?」
『まだライと思い出を作れてなかった。それにライは私の恋人だから』
「……アーニャ、僕は君の恋人になる資格なんかない。そこをどいてくれ、僕にはやることがある!」
『ッ……いや』
ライの言葉に反発するアーニャの瞳には強い意志が宿っていた。
ライとアーニャが通信している頃、トウキョウの政庁ではカレンが救出されていた。彼女はブリタニアに改造された紅蓮に乗り込む。新しき紅蓮の名は『聖天八極式』それは現時点で最強の機体であった。
戦場を縦横無尽に、引き裂くように鋭敏に、そしてどこまでも力強く羽ばたくその機体に六課の面々は釘づけになる。
「あれって……エナジーウイング?」
事前にライから説明されていたため、その単語がすぐになのはの口からついて出た。
戦線に復帰したカレンはその力を十全に発揮し、即座にナイトオブテンを討ち取る。そしてそのまま、ルルーシュはカレンにスザクを倒すように指示を出す。
スザクの乗るランスロットは決して弱いわけではない。だがそれでも今回は相手が悪すぎた。
「ち、違いすぎる………マシンポテンシャルが……」
愕然とスザクはそう口にする。スザクとカレンの操縦技術はどちらも飛び抜けていると言ってもいい。だが、今のランスロットと紅蓮の性能は複葉機と戦闘機程の差があった。
両足と左腕をもがれたランスロットに止めをさそうとするカレン。
「さようなら、スザク」
自分の死を確信した瞬間、スザクの中に残る呪いが発動する。“ギアス”という名の呪いが。
「俺は……俺は“生きる”!!!」
紅蓮の一撃を避けたスザクはランスロットが搭載していた核兵器、フレイヤ弾頭を使用する。そしてトウキョウは破壊という名の光に包まれる。
「ナナリィィィィィーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」
フレイヤに気付いたルルーシュは未だ、政庁にいる妹の名を叫ぶ。しかしその叫びも虚しく、フレイヤの光は政庁をまるごと飲み込み、トウキョウ租界に半径数キロの大型のクレーターを穿った。
たった一発の弾丸により、東京決戦は終わりを迎えた。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ラ「前回、言うのを忘れていましたが、このコーナーの司会進行のライです。そして――」
カ「今回のギアス側代表の紅月カレンよ」
ラ「えーと、そしてリリなの側からはこの人」
な「こんにちは、高町なのはです」
カ「いきなりすごい人、というか主人公が来たわね」
ラ「なんでも作者曰く『砲撃を撃ちまくるあたり似てる』らしいから、今回は2人を選んだらしいよ」
カ・な「「え?!」」
ラ「まぁその話は置いておいて、前回の話での疑問点が来ているからそれについて」
な「たしか、シャーリーちゃんが記憶が戻ったのにライ君のことについて全然触れてなかったことだったっけ?」
カ「それであってるけど、シャーリーは実際に目の前にライがいない限りはその事については言わなかったと思うんだけど」
な「そうなの?」
カ「シャーリーは記憶が戻ったことを言ったのは死ぬ間際でしょ?そんなときに目の前に最愛の人がいて、しかも自分の心からの想いを打ち明けるときに違う男の話する?」
な「……しない、かな?」
カ「でしょ?」
ラ「あとはフリートークのコーナーだけど、なにかある?」
カ「そう言えば最初に言ってた砲撃のことだけど、私はなのはみたいにバカスカ撃ったりはしてないつもりなんだけど」
な「私もそこまで――」
カ「撃ってないとでも?」
な「……ゴメンなさい」
ラ「全体を通してR2での紅蓮の可翔式や聖天八極式の初登場シーンで派手に撃ってるからそう感じたんだと思うよ?」
カ「そう言われればそうね」
ラ「じゃあ、そろそろ締めとして次回予告を」
な「次回はR2のどの当たりまで?」
ラ「作者的には次回でR2編を終わらせるつもりらしいよ。だから次回が終わると、しばらくの間はギアスキャラの出番は無いみたい」
カ「え、ちょっ!」
ラ「では、また次回」
後書き
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