DQ4 導かれちゃった者達…(リュカ伝その3)
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第4章:モンバーバラの姉妹は狼と行く
第7話:馬鹿ッスか!?
(キングレオ城)
ウルフSIDE
結論から言おう…
結局『魔法の鍵』は出来なかったよ。
だって彼奴馬鹿なんだもん!
一生懸命鉛の塊を溶かし、鍵型に流し込んで固め、用意した城にある扉と同じ扉を使って試すんだけど…ムリだよね!
だって、それは鉛なんだもん! 魔法とか関係ないんだもん!!
錬金術師の端くれって…誰にだって出来るからねそんな事は!
終いには失敗した事にブチ切れて、用意した扉を蹴り壊しちゃったから。
正真正銘の筋肉馬鹿決定です。
マーニャさんもミネアさんもガックリ気落ちしてましたよ。
だからね…俺は言ったんだ。
『それだけの馬鹿力があるのなら、鍵に頼らず扉をぶっ壊せばいいじゃん!』って…
そんな訳で、意気揚々とお城へ乗り込む気満々でやって来ましたキングレオ城。
力尽くで扉を壊して進入したら、3秒で衛兵に見つかり捕らえられちゃうんだろうなぁ…
きっと城レベルの衛兵クラスじゃ大して強くないだろうから、やばくなったらオーリンを囮にして逃げよう。
俺が二人を守らないと、敵討ちどころか生き延びる事も出来ないだろうな……
しかし、俺の予測は大きく外れる。
と言うのも、大きな音を立てて扉を壊し、城内に侵入しても誰も気に留めないんだ!
ここ……お城だろ!? どうなってんのさ!?
グランバニアも一般人が出入り自由で堅苦しさは無いのだが、それでも城内で大きな音を立てたり、重要な場所へ入ろうとする人間は掴まり注意される。
場合によっては牢屋へ入れられる事もあるのだが………でも、ここの状況は違う!
だって扉を壊し入り込んだのを見ても誰も何も言わないんだもん!
城内で兵士達よすれ違っても、全然気にされず普通に会話が出来るからね!
コイツ等仕事する気が無いの!?
ウルフSIDE END
(キングレオ城)
オーリンSIDE
このスカした男も、オレ様の凄さに唖然としている。
当然だな! キングレオ城に入る事が出来たのは、オレ様のお陰なのだから。
オレ様の鍛え抜かれたこの筋肉があってこその結果だ! この男には真似出来ないだろう。
何やらお嬢さん二人を狙っている様だが、オレ様がそうはさせない!
オレ様が先に狙っていたのだ……後から現れたクセに、図々しく二人の好感を得てるんじゃねー!
師匠の敵を見事討ち、オレ様が一番頼りになるところを見せつけてやる。
「お? お前等、新しく入った女共か?」
暫く城内をウロウロしていると、突然兵士の一人がお嬢さん二人に話しかけてきた。
どうやら無断侵入者だとは気付かれていない様子。
「バルザックにヤられちまう前に、俺達と楽しい事をしようぜ!」
「バ、バルザック!? やっぱりこの城にバルザックが居るのね!?」
兵士はマーニャお嬢さんの身体を舐める様に見渡しながら、重要な事を吐き出した。
「何処に居るのよ! バルザッ「申し訳ございませんが、私どもはバルザック様の為にこの二人を連れて参りました。バルザック様より先に二人をご賞味したいのでしたら、王様の許可を得てからにしてください」
マーニャお嬢さんが慌ててバルザックの居場所を聞き出そうとしたが、それを遮りスカした男ウルフが兵士と話を纏めだした。
何でバルザックの居場所を聞き出す邪魔をするんだ……馬鹿なのか!?
「へ、陛下に……いや…それは……」
「そうですか…では勝手にお手を出されない方がよろしいかと思いますよ。……で、バルザック様はどちらに居られるかご存じですか?」
「さぁな…アイツはこの城内に居るのだが、何かの研究中で大臣しか居場所を知らない」
手を出す事が出来ない女と判った途端、手の平を返す様に我々から興味を無くし、ウルフの質問に適当に答え去って行く。
「ふぅ~………頼むよ。ここは城内で敵陣の真っ直中なんだよ! 迂闊な発言は控えてよね……バルザックを見つける前に、城内の兵士達と一戦を交える事になっちゃうよ!」
兵士が立ち去り、周囲に誰も居なくなった事を確認したウルフが、呆れ口調で話しかける。
「だって……バルザックの居場所を……」
「居場所を知りたい気持ちは解るけど、不用意すぎるんだよ! どうやらこの城の兵士共は、忠誠心と勤勉さが皆無の馬鹿者達で、城内の変化に対応する気が無いみたいだけど……城に匿われている客の敵だと知れたら、一斉に襲ってくるんだよ!」
「大丈夫よ! 城の兵士ぐらいだったら私の魔法で瞬殺にしてやるんだから!」
その通りだ。
こんな腑抜け共が大挙して現れても、オレ様の鍛え抜かれた筋肉で全員倒してやるんだ!
ビビッてんじゃねーよ。
(パァン!)
「何が瞬殺だ馬鹿者!」
マーニャお嬢さんが大きな胸を反らしやる気を見せていると、突然ウルフが彼女の頬をひっ叩き怒鳴り出す。
「な、何よ……!?」
「お前等が捜しているバルザックは、お父さんを殺した憎い敵かも知れない……だが、この城の兵士が関係あるのか? バルザックが独断で父親を殺し、キングレオ城に逃げ込んだだけだろう! そこで働く兵士に何の罪もないだろう! もし先程馬鹿な事を言ってきた兵士に、娘が居たらどうする…敵を匿った城の兵士と言うだけで、殺すのか!? 父親を殺された娘の気持ちを知らないワケじゃ無いだろう!」
マーニャお嬢さんは叩かれた頬を押さえ驚いている…
オレもミネアお嬢さんも同様だ。
我々の邪魔をする者は皆敵だと考えていた……それが当然だと思っていた。
「ご、ごめんなさい…そこまで考えてなかった…わ……ごめんなさい」
マーニャお嬢さんはミネアお嬢さんに支えられ、か細く呟く様に謝る。
くそっ……お嬢さんの綺麗な顔を叩きやがって……許せねー!
今回は的を射た事を言っているから我慢するが、何時かギャフンと言わせてやる!
オーリンSIDE END
後書き
サマンオサで大きく学んだウルフ君。
頑張って師匠に近づいてほしいね……女癖以外は!
年齢設定
マーニャ:18歳
ミネア:18歳
ウルフ:17歳
オーリン:24歳~28歳(作者的にどうでもいい)
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