ソードアート・オンライン 〜槍剣使いの能力共有〜
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GGO編ーファントム・バレット編ー
50.支える人々
前書き
第50話投稿!!!
死銃が何者なのか知ってしまったシュウ。
それが頭から離れずにいるシュウを支える人々。
早朝、いつものように俺はスグと朝稽古で桐ヶ谷家の道場で稽古中だ。
「どうしたの、集也くん?」
心配そうな顔でスグが俺の顔を覗き込む。
「いや.......ちょっとな.....」
俺は昨日のことを思い出していた。
昨日の奴のことを.........
沈黙があたりを包むがそれをスグの明るい声が直ぐに消し去る。
「ねぇねぇ、集也くん。さっき、ネットでこんな記事を見つけたんだけどね?」
スグは俺の鼻先にA4の紙を突きつける。それは、国内最大級のVRMMOゲーム情報サイト、《MMOトゥモロー》のとあるページがプリントされている。A4の紙には、【ガンゲイル・オンラインの最強者決定バトルロワイヤル、第三回《バレット・オブ・バレッツ》本大会出場プレイヤー三十名決まる】とプリントされている。
その下の全出場者のリストを人差し指の先に、【Cブロック一位:Siu(初)】という文を指差す。
「まぁ、似たような名前の人もいるんだよ。なっ!」
するとスグは、さらにその下の文字列を指差す。
【Fブロック一位:Kirito(初)】
「あっ.......」
もう言い逃れができないような気がする。
「まぁ、いいけどね。お兄ちゃんに聞けば白状するだろうし」
ぷいっと、顔を逸らしたので観念して全てを話そうとすると俺の体に上体を預け俺をそっと抱きしめてくる。
「す、スグ?」
「何も言わなくてもわかるよ。集也くんがあたしに何も言わなかったってこと何かあるんでしょ?」
「.....全部お見通しかよ」
「まぁね。あたしは集也くんの彼女だもん」
彼女の温もりが伝わってくる。心配で冷え切った心が彼女の温もりで温まっていく。
俺もそっと抱きしめ返す。
「......絶対帰ってくるよね?」
少し小さな声が耳に届く。
「あぁ、絶対に帰ってくるから」
スグには、あぁ、言ったが俺は内心、あの男.......死銃のことで頭がいっぱいだった。
死銃が言ったあの言葉、『まだ終わってない、何も終わっていない。......イッツ・ショウ・タイム』あのセリフは間違いなく......殺人ギルド《ラフィン・コフィン》だ。
「クッソ.......何であいつらが」
頭を抱え考えていると家のチャイムが鳴る。玄関に行くとそこには、赤をベースとした服装の茶髪のポニーテールの少女、玲那がいた。
「ちょっと早すぎたかな?」
「いや、大丈夫だ。先に寄ってもらいたいとこもあるしな」
今日の玲那は、バイクで俺を送ってってくれるということで来てもらった。玲那は、死銃や《ラフィン・コフィン》のことは話してはいないが、バイトとコンバート、GGOのことは話してある。
案外、玲那は普通に受け入れてくれたが、俺が実は危険な目にあってると知ったら俺が病院に行くのを阻止するだろう。
玲那のバイクにまたがり、連れてってもらったのは........墓地。
俺はいつものように《北野》と彫られた墓の前で止まる。
「また来ちまったか」
何かあるとここへと来てしまうのが癖になっている。俺がSAOで共に戦い、友情を育み、初恋をした少女の元へと。
墓石の前で頭に手を当て考え込む。
(......結局、どうすればいんだよ、ミサキ。教えてくれよ)
すると背中から俺を包み込むような温もりが伝わってくる。
「れ、玲那!?」
玲那が俺を背中から抱きしめ、耳元で囁く。
「何かあったら相談してよね。あたしもシュウの力になりたい」
背中から玲那の脈打つ鼓動が感じる。スグの時同様に、レイナの言葉が脳内を駆け巡り、安心する。
「ありがとな、玲那」
墓石の前から立ち上がり、立ち去る際に思いついた言葉を口にした。
「ミサキ.......決着つけてくるよ」
玲那に病院に送ってもらう。玲那は病院の中にはついてこようとは、せず、終わったら連絡してね、と言い残しバイクにまたがり病院をあとにした。
昨日の病室にはいるともう、安岐ナースと上半身に心電図用の粘着ゲル電極を貼り、頭にアミュスフィアをかぶりベットに横たわるキリトの姿がある。
俺もベットに横たわり、上半身を脱ぎ、安岐さんが俺の体にキリトと同じ心電図用の粘着ゲル電極を貼りながら喋りかけてくる。
「如月くんも何か重荷を抱えてたりしてない?」
「何でですか?」
少し微妙そうな笑顔をしながら口を開く。
「さっき桐ヶ谷くんからいろいろと聞いたんだけど、あなた達も《ソードアート・オンライン》の中でいろいろあったみたいだったから」
「......そうですか」
少し沈黙が広がると安岐さんが笑顔で口を開く。
「でも、私には桐ヶ谷くんの抱えた重荷を取り除くことも、一緒に背負うあげることもできないけど、君ならできる。逆もそう。如月くんの重荷を桐ヶ谷くんが一緒に背負うことはできる」
(......今日は助けられてばっかりだな)
俺はアミュスフィアをかぶり、安岐さんの方を見る。
「ありがとうございます。あと俺たちの体にお願いします」
安岐さんは、任せなさい、と笑顔で指を突き立てる。それの映像を脳に染み込ませ、ぎゅっと眼を閉じる。
「リンクスタート!」
叫ぶと、いつもの光景が目の前に広がり俺を飲み込む。遠くなる意識の中、安岐さんのこえがかすかに聞こえる。
「行ってらっしゃい、《英雄シュウ》くん」
後書き
テスト週間で更新が遅れてしまい申し訳ありません。
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