霊から見たセカイ
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霊から見たセカイ~1
前書き
僕は一生歳をとらない
急に視界が明るくなった。
ご臨終様ですと医者は言う。
母や妹が泣いている。
その横には血まみれの人・・・僕。羽鳥るい17歳。
そうだ、僕は死んだんだ・・・
悲しみとか後悔とかは無くて、
ただ、心が空で。
僕はこれからどうしよう。
葬式は?
このまま成仏するのだろうか。
僕の体は霊安室に運ばれていった。
こんなに真っ暗じゃなくてもいいのにと思った。
しんみりとした空気にたえられなく、僕は外に出た。
次の日、僕の葬儀が行われた。
クラスメイトが式場の中に集まっていた。
泣いてる子、ボーッと僕の遺影を眺めている人、
真っ青な顔をした担任の先生。
責任を感じているのだろうか。
そんな様子を僕は棺の横で見ていた。
葬儀も始まり、お経を唱えられる。
僕は、本当にこの世界ともお別れなんだな。
僕はじっとしていた
……が、成仏しなかった。
少し安心する。
自分が無くなってしまうのは怖いから。
消えなくてよかった。
肉体はなくても、心はあるんだ。
そして、次の朝がやってきた。
家の中は活気がない。
テレビもついていない。
家族も無言。
僕は学校にも向かう。
教室の僕の机の上には花束。
僕といつも仲良くしてた三島や一樹、遠藤からは次々に思いで話が出る。
「あいつ、よく俺のタオルかりてさ。泥だらけのまま返したり。」
「俺んちの猫、大好きだったよな。」
「授業中に飯食ったり」
一樹なんか泣きはじめて。
謝っても声は届かない。
今まで当たり前だったことができない。
食事も、人との会話も、友達にも僕の姿は見えない。
ここにいるのにいない。
複雑な気持ちだった。
一緒に歳をとることもできない。
僕はいつかやって来る皆の死を幽霊のまま見続けるのだろう。
親しかった人たちとも会話もできない。
勉強が苦しかったから死んだんじゃないのか?
勉強から逃れられたのはよかったはずなのに、苦しかった。
じゃあ、僕は何のために死をえらんだのだろう
つづく
後書き
暗い感じになってしまいましたが、よろしくおねがいします!
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