闇と炎の蓬莱伝
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復讐ーrevengeー
act2
「おい!誰かいないのか!?」
暗い部屋の中、高齢の男が声を挙げた。
地元の有力企業の社長をやっている男だ。
ふと窓越しに誰かが部屋に入っていることに気付き、振り返った。
その時、侵入者は男に何かを放り投げた。
それは恐怖に顔をひきつらせた男の息子の首だった。
男が悲鳴を挙げようとした時、侵入者は逆とげの入ったピックを男の手に向けて投げた。
投げたピックは男の両手の平を貫いて、壁に磔にした。
男はもがくが、ピックの逆とげの所為で動けない。
侵入者は両手の短刀を逆手に持って近付いた。
月明かりに照らされ、侵入者の顔が見えた時男は目を見開いた。
「お、お前は…………」
それは10年前、息子の起こした強盗殺人の被害者家族の唯一の生き残りの少年だった。
「わ、私が悪かった!償いはする!君の生活の保障でもなんでもしよう!だから…………」
??「目には目を、歯には歯を、悪には光無き絶望を」
男の命乞いを聞く耳持たず、少年はその刃を振りかざした。
部屋に血の雨が降り注ぎ、男の首は鈍い音をたてて床に落ちた。
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