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八条学園怪異譚

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第二十六話 植物園その十一

「ミニスカートの下は黒スパッツでしょ」
「それがおかしいっていうのね」
「だからね、特撮でもせめて白いアンスコで」
 かつてはそうだった、それで話題になった女優もいる。
「そういうのはないんだね」
「それもどれだけ目立つか、悪い意味で」
「変な意味で話題になるわよ」
「ううん、本当に夢のない時代になったよ」
 今度は腕を組み言うコロポックルだった。
「もうね、特撮を見てもそれっていうのは」
「だから時代が変わったから」
「諦めてね」 
 二人はコロポックルにそっけなく告げる。
 それで二人の方から精霊とコロポックル達に話した。
「それで十二時になったけれど」
「お花よね」
「ああ、それねそれ」
「日課のね」
「日課だったの」
 聖花は精霊達の言葉に目をしばたかせて問い返した。
「お花を咲かせるのって」
「うん、寝る前のパーティーでね」
「それでしてるんだよ」
「そうだったのね」
「そうそう、じゃあね」
「今からはじめるわよ」
 精霊達もコロポックル達も陽気に言ってだった、そのうえで。
 それぞれロンドの様に踊りだした。すると広場に様々な花が咲きだした。
 薔薇に菊に椿、梅もあれば桜もある。
 菖蒲や菫もありどの花達も綺麗に咲いている。その百花繚乱の中でだった。
 小さな妖精達は踊り続ける、そしてだった。
 踊りながら飲み食いをはじめた、花と花の間で。
 その彼等を見ながら送り犬が二人に言った。
「ねえ、、いいかな」
「いいって?」
「何がいいの?」
「だから。今からパーティーだけけれど」
「あんた達も参加するよな」
 猫又も二人に言ってきた。どうするかというのだ。
「それはどうするの?」
「今日は帰るの?」
「何か面白いお料理一杯出てるし」
「お酒もね」
 コロポックル達が鍋を、そして精霊達が花びらを入れた酒を出してそれぞれ飲み食いしている。その鍋はというと。
「北海道名物石狩鍋よね」
「それを出すなんて」
「しかも雲丹にイクラに蟹に烏賊」
「豪華海鮮丼まで」
「北海道だからだよ」
 猫又もそういったものを見て目を暗がりの中で宝石の様にきらきらとさせている、そのうえで舌舐めずりをして言う。
「コロポックルさん達がね」
「だからよね、北海道だから」
「それでよね」
「そう、北海道なんだよ」
「それならね」
 送り犬はジンギスカンを見て尻尾を横にぱたぱたとさせている。そしてへっへっへ、と楽しそうに声をあげている。
「こうした美味しいものもあるんだよ」
「花びらを入れた粋なお酒も」
「私達生粋の神戸人だけれど」
 このことは否定しない、生まれも育ちもまさにだからこそ。
「北海道ね」
「それなのね」
「メロンもあるし」
「とうもろこしまで」
「うわ、ジャガイモもいいわね」
「チーズもどっさり」
「北海道は寒いけれど食の楽園なんだよ」
 猫又はそのきらきらとしている目で言った。 
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