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ヘタリア大帝国

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TURN67 ドクツ軍壊走その一

                  TURN67  ドクツ軍壊走
 ドクツ軍は東部戦線においても快進撃を続けていた。宇垣はその彼等について小躍りせんばかりにこう東郷達に言っていた。
「素晴らしい進撃だな」
「確かに凄いですね」
 山下は冷静な口調でその宇垣に返した。
「おそらくこのままでは」
「モスクワを攻略できるな」
「不可能ではありません」
 山下はあえて抑えて宇垣に答える。
「ですが外相」
「はしゃぎ過ぎだというのか、わしは」
「ご自身でわかっておられるのならいいのですが」
 山下はそれならとまた山下に答えた。
「しかしそれでもです」
「ドクツ軍は勝つか」
「それこそ急に大怪獣でも出ない限りは」
 山下は富嶽やエアザウナを念頭に置き言った。
「大丈夫でしょう」
「あの辺りに大怪獣はいない」
「とりあえずわかっている限りは」
「ならまず大丈夫だな」
「実際に私もそう思っています」
「しかしか」
「希望的観測は危険です」
 山下が今懸念しているのはこれだった。
「そこから戦略を立てることは」
「そうだな。だがその為にだ」
「我々は太平洋を掌握しなければなりません」
 こう宇垣に強く言う。
「ガメリカとの戦いは今のところ順調ですし」
「そちらは予想以上に上手くいっているな」
 宇垣はここでやっと東郷も見た。これまでは山下との話に専念して彼との話はしてはいなかったのである。
 だが今は東郷にこう言うのだった。
「貴様も頑張ってくれているな」
「正直一戦ごとに薄氷を踏む思いですがね」
 東郷は表情自体はいつもの飄々としたものだ。
 だがここで現実をあえて言ったのだった。
「作戦が少しでも乱れれば」
「それで終わりか」
「ガメリカとの国力差まだ大きいです。とりあえずは」
「USJを陥落させなければか」
「こちらが有利に立ったとは言えませんね」
「ではそちらは頼む」
 宇垣の艦隊はインド洋方面にいる。だからガメリカ戦には向かえないのだ。
 だから今はこう言ったのである。
「何としても勝ってくれ」
「ドクツとソビエトの戦いが終わるまでにカタをつけたいですね」
 つまり短期決戦で終わらせるというのだ。
「そうしますから」
「それではな」
 太平洋軍はドクツとソビエトの戦いを見ながら太平洋で戦っていた。そしてエルミーは毎日夜になれば身体を清めてからベッドで連絡を取った。だが。
 モニターに出るのはグレシアだった。エルミーは怪訝な顔でそのグレシアに尋ねた。
「あの、総統は」
「今は一人で考えてるのよ」
「これからのことをですか」
「そう。だから人前には出られなくてね」
 グレシアは必死に演技をしながらエルミーに話す。
「私が代理でお話させてもらうわ」
「わかりました。それでは」
「それでそちらの状況はどうかしら」
「予想以上です」
 太平洋軍の進撃はだというのだ。
「アラスカも掌握しゲイツランドに軍を向けています」
「あの星域ね」
「今そこに向かっています」
「ではゲイツランドの後は」
「USJになります」
 ドクツ側でもこの星域の重要性はよく認識されている。ガメリカ西部の最重要星域であるのだ。 
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