新機動戦記ガンダムW -星間戦争記-
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勝利と平和 ~希望の翼編~
前書き
国語の成績が絶望的な少年が書く超読みにくい小説の題2章1話ですw
ビクトゥーリアは静かだった。
鍵のかかった部屋でサユイラは一人うつむいていた。
横には点滴や健康状態監視モニターなどがあり、静寂のなか電子音を響かせている。
サユイラはキッドとエルヴの事を頭に浮かべていた。その口元は何かを噛み砕こうとでもしているかのように強張っていて、時々ギリッという音が聞こえる。
サユイラは無言のまま壁を殴った。
(キッド艦長?それと…サユイラ!!)
暗闇のなかに唯一確認できる一筋の光のなかにその2人の姿があった。
(サユイラ!!たす…け…て…)
視界に入った自分の手が何かに飲み込まれていく。光が…2人が遠くなっていく。
(サユ…イ…)
「はっ」
エルヴは目を覚ました。そこは見覚えの無い場所だった。とても寒い。裸…?
状況を確認しようとして、体を動かそうとするが、動かない。拘束されているのだ。その拘束具はまるで芸術作品を飾る額縁のように装飾されていた。
「お目覚めかな?ガンダムのパイロット」
窓に隣接したカウンターから血のように赤いワインを手に話しかけてきたその男は全身を黒いマントで覆っていて、茶色い髪のアジア系の男だった。
「貴様は…何者だ」
エルヴは冷静に問うた。すると、男はエルヴの方に醜い傷跡がある顔を向け、少しニヤッとして両手を広げた。
「我が名はヒイロ・ユイ、人類の指導者となる男だ!!」
その言葉は力強く、自信に満ち溢れていた。
「ヒイロ…ユイ!?」
「あぁ、まぁそう名乗っているだけだがな…」
ヒイロはそういうとカウンターに置いてあるリモコンを取った。
「君には特別に教えてあげるよ…私の正体を」
「何!?」
ヒイロがリモコンのボタンを押すと、エルヴの前にモニターが下りてきた。そこには、金髪の上品な15歳前後の少女が映っていた。
「これは…リリーナ・ドーリアン…彼女がどうした!!」
ヒイロはエルヴ近づいた。顔と顔の間は1~2cm程度。エルヴは少し退いた。
「私の叔母にあたる人物だ」
その一言にエルヴは仰天した。
リリーナ・ドーリアン。本名、リリーナ・ピースクラフト。
彼女はかつて完全平和主義を唱えたサンクキングダムのプリンセスで、AC195年の戦争でも平和へと大きく貢献した人物である。
「貴様…まさか!?」(ゼクス・マーキスの…ミリアルド・ピースクラフトの息子!?)
「そう、私の名はビリオ・ピースクラフト」
ヒイロは本名を名乗るとエルヴに背中を向けた。
「ようこそ、我がサンクエンパイアーへ」
OZ火星軍宇宙戦艦ビクトゥーリアの作戦会議室でテーブル型のモニターを挟んでミシェルとサユイラが作戦会議をしていた。モニターにはこれからの進路と作戦内容が表示されていた。
「やってくれるな、サユイラ」
「あぁ…やってみせるさ」
ミシェルの問いに淡々と答えたサユイラはモニターを見つめたまま微動だにしない。
「この役目は君にしかできない事なんだ」
「あぁ…」
「サユイラ…こんな事は言いたくなかったが…」
ミシェルはうつむき、悲しげに言った。
「君はサユイラとしてではなく、ミリアルド・ピースクラフトの面を使ってこの作戦を成功させてくれ」
予想外の言葉にサユイラは仮面の下の目を見開いた。
「エルヴは助ける…しかし今作戦をもって私はOZから去ります」
サユイラはそう言うと、ドアを開いた。
「すまない、サユイラ」
「あなたにだけは言われたくなかった」
その一言を言い終わるか終わらないかのところでドアが閉まった。
(サユイラ…!!)
ミシェルはドアの向こうを見つめた。
数分後、艦内にアナウンスが流れた。
「総員に告ぐ、20分後に作戦を開始する。作戦終了後、地球に攻撃を仕掛ける。各自全力で戦うように!!」
アナウンスの声はミシェルのものだった。その声を聞きながらサユイラはエピオンⅡが格納されている格納庫に向かった。
エピオンⅡに乗り込むとヘルメットをかぶり、システムの確認をはじめた。
サユイラがコードを入力すると左右からアーマーのようなものが装着された。
「大気圏突入用装備に換装完了、輸送船およびカプセル射出完了。システムクリア、オールグリーン」
コックピットがモニターの光で満ち、電子音が響いた。
「これより、ファーストフェイズを開始する」
宇宙空間移動用補助ブースターを装着したカプセルが蒼く輝く地球へと飛び立った。
地球・JPNエリア053ポイント。そこはここ数十年間、人が出入りをしていなかった無人島である。そんな053に一軒の施設があった。施設というより、基地といった感じで、屋根に巨大なパラボナアンテナが付いていた。
基地内の部屋に4人の金髪の少年がいた。
「みんな!兄さんが地球に来るって!」
涼しげで凛とした声でコンピューターモニターをみながら言った少年は柔らかで、どこか貴族のような雰囲気をかもしだしている。
「本当か!?クアトロ!!」
「フアラの言ったとおりだな、デュアル」
後頭部から伸びた1本の三つ編みをいたずらに揺らし、無邪気な声で振り返る少年とハンモックで寝ていた中国系の顔の冷たい声の少年が言葉を交わした。
「五神、機体のメンテナンスを始めよう」
前髪が右目を隠した落ち着いた少年がそういって、席を立った。
「あ、トリントン、僕がさっきやっておいたよ」
クアトロと呼ばれた少年が笑顔で歩いてきた。
「早く見せてやりてェな、再誕した俺たちの死神を…」
いたずらに目を光らせたデュアルと呼ばれた少年が不気味な笑顔お見せながら言った。
地球軍月面基地の格納庫では、忙しく作業が行われていた。
「特尉のおっしゃったように、上層部には極秘で作りました」
「ご苦労だった、ドレット」
技術開発局月面基地技術長のドレット・ハンドと一緒にいたのはフアラだ。
2人は格納庫の一番奥に立っていた機体の前で止まった。そこに立っていたMSは、全身が白いカラーリングで、背中には大きな生物的デザインの翼が付いている。頭部には特徴的なツインアイの戦士的な装甲…ガンダムである。
「ウイングガンダムオメガ!コードネーム『最後の希望』」
「…ッ」
フアラは黙ってウイングオメガを見上げていた。
「最後の希望はミルキーウェイで充分かと愚考しますが」
ドレットの言葉を聞いていると脳裏にビジョンが浮かんだ。マーザスの大部隊の接近を写したビジョンだった。
(来る…!!)
フアラはすぐさまオメガのコックピットめがけて飛び上がった。
「と、特尉!?」
「すまないドレット、しかし敵が近い」
フアラはそう言いながら出撃の準備をすすめた。
「早速使わせてもらうぞ」
「は…はぁ」
フアラが出た頃には既に戦闘が始まっていた。どうやら火星軍の目標はMS工場らしい。マーザスとマゼラスの銃撃戦はお互い一歩も退かない激戦となった。
その様子をイブリースが少し離れたところで見ていた。
「リンクスタート」
ミシェルがイブリースのコックピットにいた。
「神経接続開始」
「シナプス正常」
「ロック037が拒絶反応!!」
ミシェルとイブリースのシンクロは困難だった。しかし、キッド亡き今、ミシェルがもっとも可能性が高かったのだ。
(こんなにも…辛い事を…キッドは)
ミシェルは目をつぶり、精神の宇宙をさまよっていた。
(辛くなんかない)
(キッド…!?)
突然ミシェルの頭の中に聞こえてきたのは、間違いなくキッドの声だった。
(僕を…僕とイブリースを、受け入れてくれ)
キッドの声が絶えると、ミシェルは目を開いた。
「異常解消!!いけます!!」
シンクロが成功した。
「巨大砲発射!!」
ミシェルはイブリースの腕を前に突き出し、両手から巨大なエネルギーを放った。巨大砲は、地球軍MS部隊の中央に穴を開けた。
「前方より、未確認MSが接近!!」
イブリース空けた穴から、1機のMSが飛んできた。そのコックピットにはフアラが乗っていた。その目は変色していて、もう既にZEROシステムを発動している様子である。
「存分に戦おう。Ω…俺を導いてくれ」
ウイングオメガは翼を広げ、真っ直ぐイブリースに突っ込んでいった。
「あ…あれは…!!」
ミシェルはモニターに映った機体をみて声をあげた。
「ガンダム!!」
ブリッジがざわついた。というよりパニックに陥った。
「イブリースと戦るつもりか!?」
ミシェルはすぐに気を引き締め、冷静になった。
イブリースが腕の巨大砲を回転させ、超振動白兵戦用ナイフ、通称『プログレッシブナイフ』に換装した。が、ウイングオメガはその場で止まり、背中の翼から、銀色の光を放った。
「ナノ・ディフェンサー展開…インパクト準備…」
フアラがつぶやいている時、イブリース内は報告が飛び交っていた。
「レーダー反応ロスト!」
「全機との通信が途絶えました!」
「映像では確認できます!!」
その報告を聞きながらミシェルはあの光を理解しようとした。
「何だ…あの光は…」
イブリースが構えようとすると、その光は後方に伸び、戦場にいた全てのMSを飲み込んだ。
「インパクト…」
フアラがそうコールすると、光に飲み込まれたMSが次々に爆発していった。地球軍も火星軍も関係なしに、ただそこにある全てを破壊していった。
ミシェルはその光景をみておもわずつぶやいた。
「悪魔だ…白い悪魔…」
間もなく、MSは全滅した。
「任務‐完了、これより地球に向かい、ヒイロ・ユイを殺す」
フアラはウイングオメガを操り、地球に飛び立たせた。
動揺していたイブリース内は機能不全に陥っていた。
「リンク終了…地球と距離をとれ」
ミシェルは力なく命令した。
後書き
書き方のスタイルを変えようと思ったんですが…あんまし変わってないっすねw
こんなaxですが、今後ともどうかよろしくお願いします。
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