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ヘタリア大帝国

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TURN66 過労その八

「それで仲良くやれるなんていいよね」
「だから共有主義は素晴らしいの」
 カテーリンはそのロシアに力説する。
「皆お友達で同じだから」
「階級も貧富の差もない社会で」
「皆お友達だからね」
 カテーリンはこうロシアに言ってまたポスターを見る。そして。
 そのポスターで笑顔で手を握り合う人々を見てそして言ったのである。
「レーティア=アドルフともよ」
「あっ、カテーリンちゃん」
 真面目な顔のカテーリンにミーシャはまた言ってきた。
「ロリコフ博士だけれど」
「私あいつ嫌いなの」
 カテーリンはロリコフの名前を聞いてこう返した。
「だってあいつ気持ち悪いから」
「何か変態みたいだよね」
「変態なんてソビエトにいらないから」
「けれどあの人も天才だよ」
 ここでまたこの単語が出た。
「科学者としてね」
「それはわかってるけれど」
「それにカテーリンちゃん好きだし」
「私変態嫌いなの」
 有無を言わせない口調だった。
「ロリコンなんていなくなればいいのに」
「トリコフさんはお友達じゃないの?」
「どれはそうだけれど」
 一応友達とは言う。だが、だった。
「気持ち悪いから」
「ううん、難しいね」
「けれど会うから」
 それはするというのだ。
「今からよね」
「うん、来てるよ」
「じゃあ連れて来て。話するから」
 痩せた飄々とした感じの薄い赤紫の長い波がかった髪に変態的な目の白衣の中年に見える男がカテーリンの前に来た。そしてだった。
 彼はにこにことしてカテーリンに言うのだった。
「こんにちは、書記長」
「今日は一体何の用なの?」
 カテーリンは嫌悪感を隠さず彼、ロリコフに尋ねた。
「私貴方と会いたくないけれど」
「いえ、実はですね」
「実は?」
「クローンのことですよ」
「ちゃんと研究は進んでる?」
「万全ですよ。このままいけば実用化できます」
「提督も士官も下士官も兵隊さん達もよね」
 軍のあらゆる立場の者達だった。
「皆増やせるのね」
「はい、それも多く」
「軍人って専門職だからおいそれと増えないから嫌いよ」
 徴兵をしても専門職だから役に立つ将兵にはならない。銀河の時代の軍人とはそうしたものになっているのだ。
「農民や労働者と違うから」
「ですね。軍人適正は貴重なものです」
「けれどクローンなら」
「適正のある人の細胞から作りますから」
 それでだというのだ。
「すぐに多くの軍人が誕生します」
「なら増やすから」
 カテーリンの決断は早い。彼女は少なくとも優柔不断ではない。
 だからこそ今すぐにこう言ったのである。
「ドクツにもどんどんぶつけていくから」
「間に合わせますね」
「間に合うの?」
「暫く時間がかかりますよ」
 クローン技術の完成と実用化にはだというのだ。 
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