| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

転生者拾いました。

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

蒼風の谷
  ハーレムも楽じゃない

 先日の盗賊退治からパーティーメンバーにエリザが加わり我がパーティーが華やかになった。そしてこれは、オレにも春が来たということなのだろうか。

「うふふ。」
「ふふふ。」

 右腕にセリナ、左腕にエリザ。
 西部王国の入り口で一大交易都市カターパに着く前からこうして二人はくっ付いていた。はっきり言って重い。
 そして両腕が彼女らの柔肉に沈んで気持ちいいんだけど落ち着かないし、周囲の目も痛い。ハーレムに憧れている紳士諸君、ハーレムの楽じゃないよ。

「ねぇカズヤ、蒼風の谷に行く前にあそこでお茶しない?」
「ねぇカズヤ様、こちらのお店でお茶しませんか?」
「「む……。」」

 左右で違う方向に行こうとするなんてハーレムなんてもう求めませーん。だから許してくれー。

「むむ……。」
「うう……。」
「平和に行こーぜ……。」

 この街に入ってからずっとこの調子だ。
 しかしお茶する前にやることがある。

「すまないが二人だけで行ってくれ。オレは情報屋と会う約束がある。」
「「えー。」」

 両方からブーイングが出る。さらに腕が沈む。

「えーじゃない。あいつは俺以外にいたら何も喋らないんだ。だから先に宿でくつろいでおいてくれ。」
「ぶー。」
「わかりました。出来るだけ早く帰ってきてくださいね。「あたくし」のもとに。」
「何言ってるのよ、私の所でしょ。」
「「む……。」」
「わかったわかった、ちゃんと帰ってくるから締めるな!」

 これ以上は青少年の正しい欲求で某一か所がヤバくなる。これ以上されると理性が……。

「ちゃんと帰ってきてね。」
「わかっている。ところで解放してもらえませんか?」
「ではセリナさん、先にお離しいただけますか?」
「あら、エリザさんから離していただけますか?」
「「む……。」」
「おいおい……。」

 仕方ない。無理やり引っこ抜くか。

「ソーイ。」
「ひゃぁっ!?」「きゃっ!?」

 なんと言うことか、引き抜くどころか盛大に彼女たちの柔肉をすりあげ、そのまま持ち上げてしまった。
 
「良い物を見せて貰った。」

 仕舞いには通りすがりの人にチップを貰った。
 ひとまず彼女たちを下ろし片方ずつ抜く。

「ちゃんと帰ってくるから待っていろよ。」

 無駄に疲れた。どうしてこうなった……。
 二人を引きはがし宿に放り込みオレは予定の店に足を入れる。
 店はどこの町にもあるような酒場で予定の情報屋は店の影になっているところからこちらを見ていた。

「趣味が悪いな、レイ。」
「あんなもの、見せられて、興味を、持たない、はずが、無い……。」

 独特なしゃべり方をするこの男こそが少し前に紹介した情報屋だ。ほら人買いどもを改心させたやつ。去年ぐらいだったかな。

「連中は?」
「心配、ない。ちゃんと、見え、てる。谷に、入った。」
「そうか。」

 こいつの能力(オリジナル)遠視(テレスコープ)。遮蔽物が有ろうと無かろうと何処までも見通すことが出来る。反面攻撃力など皆無で自ら戦場に出ることはない。

「連中は、谷の、最奥部、だ。」
「ありがとよ。」
「それで、あの、女どもは、なんだ?」
「え?」
「なんだと、訊いて、いる。」

 何って、ただのパーティーメンバー、じゃないな。片方はすでに関係を持ってしまっているらしいし。んー、なんなんだろ?

「言えない、関係、か。くくっ……。」
「売るなよ?」
「さて、何の、こと、だ?」
「また痛い目を見たいようだな。」
「くくっ…。ここで、あれを、放つ気、か?」

 確かにここでやるのはよくない。仕方ない。ならば……。

「Dunkelheit・Magier、Alptraum(悪夢)」
「うっ……。」

 さあ、夢の世界へ。余計なコトをしゃべらせないために少しトラウマを植え付けてやる。
 情報屋の処理した後は約束通りパーティーメンバーが待っている宿に向かう。 
 

 
後書き
Dunkelheit・Magier…読み方「ドゥンケルハイト・マギーア」、意味「闇魔法」

眠ってもらった情報屋は夢の中で無数のゴブリンに襲われるムリゲーを体験しましたとさ。

男に戦いがある。女にも闘いはある
愛を語るに足る者は

次回 スキなら 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧