トーゴの異世界無双
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第十五話 こんなこともできるんだぜ
「は、はい。そんなに多いですか?」
一パーセントって言っただけだぞ?
闘悟は首を傾げて、周りに視線を動かす。
「…………ベアン」
「は、はい」
ギルバニアは説明をベアンに託した。
ベアンも放心していたのか、ギルバニアの呼び声に慌てて反応した。
「そ、そうですね。分かりやすく説明致しましょうか。通常魔力量は、誰でも多かれ少なかれ持っています。まあ、それを扱えるかはまた別ですが」
「はあ」
「一般魔法士(まほうし)の魔力量を一とすると、達人と呼ばれる魔法士は十~百くらいでしょう」
つまり凄腕は一般の十倍から百倍の魔力を持っているということだ。
それでもかなり凄いことだと思う。
というか、ここでは魔法士って呼ぶんだな。
「ここにいるミラニも、基準から言えば十倍以上は確実にあります」
「へぇ、やるな団長」
闘悟は褒(ほ)めるが、ミラニはプイッとそっぽを向く。
少し顔を赤らめている。
お、何か新鮮で可愛いかもな。
「問題なのは君です」
「……オレですか?」
「君は…………百万です」
「……はい?」
今何て言ったのかな?
気のせいだろ。
ミリオンて聞こえたけど、そんなバカな話があるわけがない。
きっと幻聴だ。
冷静になるんだ、ビークール、ビークール。
「ですから、百万です。君の魔力量は一般魔法士の百万倍ですね」
お~の~。
せっかく冷静に現実逃避してたのに、どうして二度も言うのさ……。
「あ、ちなみに今のその魔力量だけですからね」
…………うそ?
つうことは本気の魔力量はその百倍?
ん~~~~と、計算して…………一億?
ん? あれ? いやいや……おく?
ああ……そういやオレってば世界の崩壊止めたんだっけ?
それくらいあって当然なのか?
ん~分からん。
……よし、もう考えるのは止めとこ。
そういうものだと受け入れよう。
「それに、あくまでも目分量であり、本当のところはどうか分かりません。君がまだ全力では無いというのであれば、これほど驚異的なことはありません」
ま、そうだよな。
もう人外だもんな。
それにしても、一パーセントでもそれほど驚かれるとしたら、今度からはその万分の一くらいにまで抑えなきゃ目立ってしまうな…………ま、いっか。
目立ったら目立ったでその時考えればいいし。
「ま、そんなことは別にいいや」
「別にいいや!?」
闘悟の言葉に皆が声を出す。
「いやいや、貴様のその異常さは国の脅威だと言ってるんだ! わ、私の剣もたった二本指で……折ってしまうし……」
ミラニはシュンとなって俯(うつむ)く。
あ、そういや申し訳ないことしたな。
大事な剣だったのかもしれない。
闘悟はそう思い、柄をミラニから取る。
「な、何をする!」
「ま、黙って見てろって」
闘悟はそう言うと、折れた剣を持って刃が落ちてるところまで行くと、その刃片を手に取る。
そして、魔力を剣に行き渡らせる。
淡い光が剣を包む。
すると、折れていた剣が、再び一つになる。
その様子を見た者達は顎(あご)が外れんばかりに口を開ける。
「ほれ」
直った剣をミラニに渡す。
ミラニはまだ呆然としている。
「オレの魔力で補強しといたから、滅多(めった)なことじゃ刃毀(はこぼ)れもしないと思うぞ」
「……あ……ありがとう……」
ミラニは剣を受け取り、ぼうっとして闘悟を見つめる。
はいはい、説明しますよ。
そんな早く説明しろみたいな目で皆さん見つめてこないでくれるかな。
「これはさ、改変(かいへん)魔法って言ったらいいのかな。オレの魔力で覆(おお)ったものを望み通りに造りかえることができるんだ」
さっきのは、折れた剣を改変して、より強化した剣に造り変えたということだ。
身体強化に続く、闘悟の第二の能力だ。
「こんな特殊魔法は見たことも聞いたことも無い……」
誰もが口にして呟く。
その後、他の騎士達は話を聞きたがって詰め寄って来たが、ギルバニアがそれを制し、また王の間に戻って来た。
「どうやら、トーゴが異世界人で間違いねえみてえだな」
ギルバニアが嬉しそうに言う。
「ですが、ミラニの言ったように、国の脅威であることもまた事実です」
ベアンが付け足してくる。
「そ、そんな! 言い過ぎですベアン!」
クィルがベアンを叱るが、ベアンは意に返さない。
「なるほど、それで? オレを捉えて処刑でもしますか?」
闘悟の言葉に場が凍りつく。
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