ヘタリア大帝国
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TURN65 快進撃その八
「エイリスも同じだから」
「双方が敵ですか」
「けれど両方は相手にしないから」
二つの強敵を一度に相手にする愚は犯さないというのだ。
「まずは一方を叩くことにしよう」
「そうよね。どっちにしようかな」
カテーリンは仕事をしながら考えだした。
「その時は」
「まずはドクツを退けるかですが」
ゲーペは相変わらず機械的に述べる。
「しかしです」
「まずはそれに専念しないと」
「乗り切れません」
「ドイツ君も強いね」
ロシアも言う。
「それを何とかしないと」
「そうよね。私も出ようかな」
ミーシャは不意にこんなことも言った。
「艦隊を率いてね」
「首相がですか」
「うん、一応指揮出来るよ」
「それ言うと私もよ」
カテーリンも言った。
「艦隊指揮できるから」
「それはまだです」
二人は戦場に出ることについても言及したがそれでもだった。
それはゲーペがすぐに止めてきた。
「お二人が出られるには及びません」
「けれど私書記長だから」
「私もも首相だよ」
それぞれ国を預かる立場ということは自覚している。
「だから無責任なことは」
「出来ないわよ」
「お二人が出られるなら私が出撃します」
ゲーペはここでは言葉に感情を込めた。
「ご安心下さい、お二人の心配には及びません」
「先生、ううん長官がなの」
「はい、出ます」
そうするというのだ。
「ですからご安心を」
「だといいけれど」
「損害は多いですが将兵と兵器の補充は可能です」
これは事実だ。やはりソビエトの国力は大きい。
「ウラル以東から次々に補充しますので」
「シベリア方面軍も投入するの?」
「モスクワまで持って来ます」
ソビエトにとっては切り札とも言える精鋭部隊だ。
「今のところ太平洋から攻め寄せて来ることはありませんので」
「うん、じゃあそうしよう」
カテーリンもそれでいいとした。そしてだった。
再び仕事をするのだった。劣勢のソビエトも必死だった。
ドクツとソビエトの戦いは激しい。そしてこの戦いもまた銀河の趨勢を左右するものだった。
その戦いのことを聞いて柴神は御所においてやや深刻な顔で帝に言っていた。
「ドクツとソビエトの戦いだが」
「はい、ドクツ優勢ですね」
「私はドクツが勝とうとソビエトが勝とうと大した違いはないと見ている」
「えっ、そうなのですか?」
「問題はソビエトの動きだ」
それがだというのだ。
「そしてチェリノブイリだが」
「あの場所が何か」
「あの星域から何かが出た」
「何かとは?」
「あっ、いや」
柴神はここから先は言葉を濁した。
「何でもないが」
「何でもないのですか?」
「だがチェリノブイリには迂闊に近付くべきではない」
「ドクツ軍もソビエト軍もですか」
「あの星域はな」
「?チェリノブイリですか」
丁度二人と共にいた日本がここで怪訝な顔を見せて話に入って来た。
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