最強の爆弾
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第3話 ある一人の女性の物語
前書き
少々おかしな所があるかもしれません
早乙女未来。カメチェーン店勤務、25歳で26歳の夫と一人の子供がいる。
仕事はテキパキとこなし、人間関係は良好である。だが家庭内事情は悲惨でほぼ夫と喋らず、子供とも喋らない。
そんな冷めた家庭なのだが、何故そんな男と結婚したかと言うと『子供』である。5歳になる息子の早乙女俊太郎の出産により半強制的に結婚したのである。
未来は夫を面白くない男と罵り毛嫌いしており仲は最悪。息子の俊太郎は何を考えているのか分からなく、恨んでもいる。『こいつのせいで私はつまらない男と結婚する事になったと』
未来はそんな家庭にウンザリしており、唯一の楽しみは『仕事』である。
仕事をしている時は嫌な事を忘れる、それに好きな人がいるから更に仕事に依存をしている。麻薬中毒者のように、一回だけ会社が休みになった時がある。その時の未来は狂ったかのように暴れた。その時は精神病院に強制入院をするまでの大事になった。
いつものように会社に出勤、そして仕事をする。その何気ない事が未来には『幸福』であった。
未来はいつも弁当を持参しているので売店でお茶などを買うと外に出て、近くの公園のベンチで食べるのが日課になっている。
ベンチに座り暑くもないちょうどいいぐらいの暖かさの陽射しを受けながら弁当を頬張る。公園で食べるのが日課のようになっている未来は今日も何も『刺激』は無いのかと自分でも不思議に思うような感情が湧き上がった。
未来はなぜそのような感情が湧き上がったのか理解出来なかった。だがすぐに湧き上がった感情は次に起きた事によって『掻き消される』と同時に『満たされる』事となる。
公園のベンチで食事をしていると向かい側のベンチに一人の『男』が座った。未来はその『男』を見るなり誰だか瞬時に理解する。
『男』の名は『吉良吉影』会社の同僚である。会社内では特に目立つ事も無い、そして誰からもこの男の陰口などを聞いた事が無い。今まで未来は吉良の事を自分の夫と同じタイプの男だと思っていた。
この次の瞬間までは。
吉良と目が合った瞬間に未来の背中に電撃のようにも似た痺れが流れる。そして同時に胸が何か幸福な物で『満たされる』。
未来は最初に背中に流れた雷にも似た痺れの意味が分からず戸惑る、そして何故自分は最高に幸福なのか理解出来ない、今胸を満たしている『幸福』と今までと感じてきた『幸福』は天と泥のように比べる事さへ愚かしい程に桁違いだ。
そして自分の頬がリンゴのように赤い事に気付く。そして未来はやっと自分の状態に気付く。
…あぁ、これが『恋』か。
今、自分は『恋』に落ちている。それも一目惚れでもなく、言うなら千年の恋。ちょっとやそっとや冷める事の無い、例えるならマグマである。ちょっとやそっとや消える事のない恋である、いやもしかしたら一生消える事の無い『恋』かもしれない。
そんな現実逃避にも似た考えを頭の中で何回もしていると、自分の目の前、さっきまでは数メートルの距離があったとゆうのに気付くとほんの三十センチとゆう至近距離になっていた。それも真っ正面で顔を見られている。
「ふぇっ!?」
口からそんな情け無い声が漏れるのと体が後ろに倒れる感覚に気付いたのは同時だった。
体が後ろに倒れている時の時間はスローであり、自分だけ時間に取り残されたかのような錯覚さへ覚える。
…服をクリーニングに出さなきゃ。
後ろに倒れば服の結末は泥まみれ。
嫌だなぁ泥まみれ。
そんな事さへ考えられる程に時間が遅い。だが次の瞬間。吉良が背中を手で抑える事によって未来が泥まみれになる事は回避された。その代わりに未来を落とさぬように固定するために片方の膝が泥で汚くなったが。
それに気付いた未来は慌てて立ち上がろうとするが立ち上がれない、いや立ち上がろうとする力を更に強い力が抑えているのである。
「あ、あのすいません。立ち上がりたいのですが…」
そう言うと体が浮く。
「えっ? ふぇぇ!!」
吉良は未来の言葉を聞くと、未来が倒れないように支えていた体勢からその立ち上がったのである。立ち上がった体勢を一般的に言うならお姫様抱っこと言う。
「ちょ、は、恥ずかしいです//」
顔から炎が出ない方がおかしい程顔が熱い。真っ赤な顔を見られたくないため手で顔を覆う。死ぬ程恥ずかしいが同時に少しながら幸せだったのは秘密である。
―――――
その後ベンチに降ろされ少し喋っていると、お昼タイム終了まで残り僅かになり、吉良は先に帰ると言い会社に先に行った後である。
未来はベンチで何もする事無く座っていた。
吉良はカメチェーン店の入口近くで立ち止まりブツブツと1人で呟いている。
「あの女はどうやら『スタンド使い』になる才能があるらしいな、『もしも』のためにアプローチを取っておこう。ある程度しておけば、あっちが勝手に思うだろうしな」
そう呟くとカメチェーン店の中に入る。その時の吉良の顔は何の感情も感じさせないまるで氷のように冷たい表情だった。
後書き
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