ヘタリア大帝国
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TURN65 快進撃その六
つまり日本がガメリカを倒せるかどうか、太平洋での戦いの要点はそこだった。
「そうなれば太平洋に連合軍の勢力はなくなります」
「そしてドクツがソビエトを倒せば」
「後はエイリスだけですね」
「エイリスに対しては再びアシカ作戦だ」
ロンドンを一気に攻め取るというのだ。
「今度は絶対に敗れはしない」
「はい、ソビエトの国力と戦力も手に入れていますので」
「確実に勝てる」
レーティアは断言した。
「今度はな」
「そして銀河は二分されますね」
太平洋と欧州にだというのだ。
「我々と日本に」
「日本に対してはどうするかまだ決めてはいない」
レーティアもそれはまだだった。
「私は銀河を統一するつもりだがな」
「統一ならばやはり」
エルミーは言葉の外にその言葉を出した。
「そうなりますが」
「それは後々考える。とりあえずはだ」
「はい、バルバロッサ作戦の成功ですね」
「それにかかる。ではそちらも検討を祈る」
「ジークハイル」
エルミーは最後にレーティアに敬礼をした。だがレーティアのその疲れを感じ取りそこに一抹の不安も感じていた。
そしてそのレーティアは今もだった。
エルミーとの通信を終えてそして仕事に戻る。莫大な量の書類を驚くべき速さで実に的確に処理していっている。
そのレーティアを見ながらグレシアは言う。
「何時にも増して凄い量ね」
「そうだな。作戦中だからな」
「今回はこれまでにない規模の作戦だから余計によね」
「軍は官僚組織だ」
レーティアはこう割り切っている。
「それならこうした書類仕事が多いのも当然だ」
「そうね。それでもね」
「多過ぎるか」
「手伝わせてもらっていい?」
グレシアは切実な顔でレーティアにこう切り出した。
「私も仕事を」
「グレシアはグレシアの仕事があるだろう」
宣伝相、ドクツのナンバーツーだ。それはドクツにおいてはただレーティアとドクツの宣伝をしているだけではない。
レーティアのプロデュースに官房長官的な仕事もしている。それに加えてドクツの実質的な首相でありそして副総統なのだ。
軍事のチェックもしている。彼女もまた多忙を極めているのだ。
レーティアもそのことを知っているからこそこう言うのだった。
「私には私の仕事がある」
「だからっていうのね」
「グレシアはグレシアの仕事に専念してくれ」
こう告げた。
「そうしてくれるだろうか」
「それでいいのね」
「そうだ。それにこれ位の仕事ならだ」
レーティアはさらに言う。
「全て処理できる」
「だからなのね」
「安心して欲しい。そしてこの仕事が終われば」
その時はどうかというのだ。
「昼食だな」
「大蒜にトマト、それにチーズをたっぷり使ったメニューを頼んでおいたわ」
グレシアのレーティアへの気遣いである。
「それでエネルギーを補給してね」
「そうさせてもらう」
「バルバロッサ作戦は何としても成功させないとね」
このことは絶対だった。
「だからこそなのね」
「今は休む訳にはいかない」
書類に次々とサインをしながら言う。
「ソビエトを倒すまではな」
「本当に無理をしないでね」
グレシアも次第に心配になってきていた。レーティアの披露が蓄積していっているのは明らかだったからだ。もっともそれは彼女だけではない。
カテーリンもカテーリンで多忙だった。自身の学校の生徒の机そのままの席に座ってサインをしながら怒っていた。
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