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ハイスクールG×D 黄金に導かれし龍

作者:ユキアン
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第14話




レーティングゲームから週末の休みを挟んだ月曜日の放課後、私達オカルト研究会、正確にはリアス・グレモリー勢に色々と制限がかかった。

「私とイッセーにレーティングゲームでの使用制限ですか。禁止じゃなくて良かったですね、部長」

「フィールドを崩壊させるとは思っても無かったけど、やっぱりやり過ぎだったかな?」

「貴方達、反省って物は無いの!!」

「反省する点が無いですから。自由に思う存分やれと言ったのはグレイフィア、つまりは舞台を用意した魔王様方に責任があるのですから。私達はそれに従ってやっただけ」

「……レイヴェル、ライザーの妹が未だに氷付けなんだけどその事に関しては」

「溶かせなかったんですか?それは申し訳ない。都合が合う時間に向かいましょう。今からでも大丈夫ですか」

「向こうも出来るだけ早くと言っているから問題無いわ」

「分かりました。では転移の準備をお願いします。さすがに知らない場所には飛べないので」

「朱乃、一緒に行って頂戴。双葉一人だと問題が出てくるだろうから。しっかり手綱を握っていて頂戴」

「付いていくのは構わないのですが、手綱を握れるかどうかは保証出来ませんよ」

「失礼な。場を弁える事位出来ますよ。レイヴェル様に関してはこちらが一方的に悪いのですからお詫びの品も持参するつもりですよ」

アナザー・ディメンションの異空間から箱に入ったワインを取り出して部長達に見せる。

「先日、四大魔王様に値段の方を決めていただいたので失礼にならない品だと判断しています。リアス部長の顔に泥を塗らない様に気をつけておきますよ」

「いつの間にそんなことを。まあいいわ、くれぐれも変な事はしない様に」

「分かってますよ。それでは朱乃さん、お願いします」

「では部長、行ってきます」

朱乃さんと共に転移した先は大きな屋敷の目の前でした。空は紫色ですが、空気は良いみたいですし、土も中々物ですね。少しばかり研究を行いたい所ですが、今回は止めておきましょう。

「ここがフェニックス家のお屋敷です。話を通してきますので少し待っていて下さいね」

「分かりました」

さて、とりあえず小宇宙で場所の確認を行ないながら周りを見渡す。植物は地上にある物と、全く見たことの無い物、その中間らしき物と環境自体はあまり変わらないみたいですね。むしろ全く見たことの無い物はおそらく自然淘汰されてしまった物の様な感じがします。環境破壊で消えていった種がこちらでは残っていたのでしょう。まあ、動物の方は独自の進化を辿ったのでしょうね。ほとんど原形をとどめていないようです、あっ、鶏らしき物がいました。サイズが二周り程大きいですけど。卵は普通のサイズですから品種改良していった結果でしょうね。

「お待たせしました。こちらになります」

しばらく待っているとようやく確認が終わったのか朱乃さんが戻ってきた。案内されて屋敷に入ると一組の男女と執事が私達を出迎えてくれました。

「よく来てくれたね。私がフェニックス家現当主だ」

「お初にお目にかかります。リアス・グレモリー様の元で使い魔として仕えています、神代双葉と申します。レイヴェル様に関しては大変申し訳ない事をしてしまい、治療と謝罪に参りました」

「君が気に病む必要はない。ゲームでの出来事なのだから仕方ないことであるし、我々が出来なかった事を恥を忍んで内密にお願いしているのだから」

「そうおっしゃられるとありがたいです。ですが、私としてはそれでは納得出来ぬ事ですのでこちらをお納めください」

箱に入ったままのワインを差し出す。それを執事が受け取り中身を開けて当主方に見せる。

「これは?」

「先日、四大魔王様に賞讃されたワインです。サーゼクス・ルシファー様はこちらのワインの為に37年産のガープ領のワインと42年産のダンタリオン領のワイン、そして44年産のパイモン領のワインの三本と等価であると認めた上で、契約の元でお譲りした品です」

「なんと!?その三本と等価だと」

「はい。他の方々も後日、これに見合うだけの対価を元にお譲りする予定です。量自体が余り無く、新たに生産するにも最低でも5年は掛かる故、市場に出る事はほとんど無いと思われます」

「良いのかね?本当にこのような物を貰っても」

「はい。私としても差し出した手前、返されるとなるとそれはそれで困ってしまいますので」

「そうか。ならありがたく受け取っておこう。さて、これからレイヴェルの元に案内するが、何か必要な物はあるかね」

「いえ、特にありません。ただ、ゲーム中に凍らせたのでレイヴェル様は今もゲーム中だと思われて襲われるかもしれませんので、傍に居ていただけるとありがたいのですが」

「それ位構わんよ。では、行こうか」

朱乃さんは手続きが他にも在るらしく奥方と一緒に他の場所に案内されていく。フェニックス卿に案内された部屋ではあの日のままのレイヴェル様がベッドに寝かされていた。私はレイヴェル様の氷柱を担ぎ上げて部屋の真ん中に丁寧に降ろす。

「では、これより治療を始めます。一瞬で終わりますので」

少しだけ離れてから右手で手刀を作り、小宇宙を集中させる。右腕を振り上げ、全力で振り抜く。

聖剣(カリバーン)!!」

よし、ちゃんと氷だけを切る事が出来たな。再び近づいて軽く叩くと、氷柱に綺麗な切れ目が入っていき、崩れ去る。

「……こ、ここは?」

「おお、レイヴェル。無事だったか」

「お父様!?どうして、いえ、その前にここは、屋敷?」

「どこまでのことを覚えているかね」

「えっと、急に私とお兄様以外がリタイヤになって、私も何がなんだか分からない状態で再生だけしていて、そのあとに一瞬だけ黄金が目に映って」

「おや、一瞬とは言え見られていましたか。中々に才能が有るようですね」

「貴方は?」

「お初にお目にかかります。リアス・グレモリー様の元で使い魔として仕えています、神代双葉と申します。リアス・グレモリー様とライザー・フェニックス様のレーティングゲームの際には終盤のみ参加させていただいておりました」

「そうだ、ゲームの方はどうなりましたの!?」

「我らが主リアス・グレモリー様の勝利で終わり、この度の婚約はご破談となりました」

「……そうですか」

気落ちするレイヴェル様に頭を下げる。原因が私にある以上は当たり前の事である。

「お父様、お兄様はどうなさっていますか?」

「それがだな、その」

何やら言い難そうだな。

「フェニックス卿、私は席を外しておきましょうか?」

「そうだ、いや、もしかしたら君ならどうにか出来るかも知れんしな。そのままでいてくれて構わないが、部外秘でいて欲しい」

「分かりました」

「ありがとう。実はライザーなのだが、ゲーム後からトラウマを二つ抱えてしまってな。片方はまだ問題無いのだが、もう片方が問題なんだ」

「トラウマですか?」

「そうなのだ。片方はドラゴンなのだ。これは、まあ問題無い。そこまで数が多い訳でも無いし、元から強い存在である以上、恐がりだとでも言えば多少の問題があるにしてもまだマシだ。多少顔を引きつらせたりする程度と言う事もある。問題なのはもう片方なのだが、星を恐れているのだよ」

「星ですか?あの夜に空に輝く」

レイヴェル様がフェニックス卿に確認し、フェニックス卿は首を縦に振る。

「そうなのだよ。何故、そこまで星に怯えるのか分からない上に、正気を失う程に怯えるのだ。何か知らないかね」

「あ〜、大体予想は出来ます。あまり詳しくは話せないのですが、魔力とはちょっと違う物を使う時に使用者の背後に星の様に見えることがあります。こんな風に」

小宇宙を適当に燃やしてフェニックス卿達に見せる。

「これを形にまとめて、こんな風にすると」

手のひら大の廬山昇竜覇を出して拳先に待機させる。

「ライザー様に止めを刺した技はこれをもっと大きく、大量に放つ技でしたので、それが原因だと思われます。大きい技を使う際には星そのものが技を形成する様が見られますから」

明らかにイッセーの小宇宙が原因だ。星空なんて見上げたら空が落ちてくる感覚に囚われるのだろうな。なんだかんだでイッセーが最後にはなった廬山百竜覇は対神奥義の域にまで上がっていた。つまりはフェニックスすらも殺せるだけの威力だった。それに曝されて、初めて死の恐怖を味わってしまえば錯乱してもおかしくはない。

「一応、治療の案といたしましては記憶を操作してゲームの内容自体を忘れさせるという段階から、ある程度の記憶を操作しつつトラウマを克服してもらうなどの提案が出来ますが」

「メリット・デメリットはどのような物かね?」

「そうですね、ゲームの内容自体を忘れさせた場合、ライザー様本人が納得しないでしょう。最後の部分だけを忘れさせると言うのも無理です。圧倒的有利な状況から一転して負けまで直行してしまっていますから。ある程度の記憶を操作しつつトラウマを克服してもらう場合、時間がかかりますし、克服出来ない事もあります。こればかりはライザー様ご本人が努力をなされるしか」

「ふむ、ではそれらの折衷案を頼んでも良いかね。一定期間内にライザーが立ち直らなければ記憶を完全に消去する方向で頼みたい」

「さすがに私も顧客や日常の生活がありますので三日に一度程度の訪問になりますがよろしいですか?」

「うむ、それで構わない」

「では今日から数日を掛けて錯乱しない程度にライザー様の記憶を調整します。準備の方があるので後ほどまた伺いに参ります」

「分かった。こちらでも君の部屋の準備をさせておく。よろしく頼むよ」

「分かりました」


 
 

 
後書き
というわけで次回は閑話「ライザートラウマ克服編」をお送りします。
来週中には投稿予定です。
3巻以降に関してはこれから読み始めるので少々お待ちください。 
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