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連邦の朝

作者:連邦士官
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第十話 学徒

 
前書き
最後までお付き合いください。 

 
ワイアットは14才になっていた。

あの外交館での一件以来、ワイアットは色々な貴族の社交界に呼ばれ、時にはアルビヨン一番の豪商のパーティーにも呼ばれていた。

ワイアットは、社交界の合間合間に絵などを描いたり、食器多くはガラス器を作ったりして、貴族の人々やアルビヨンの重鎮、豪商にばらまいていた。

尚且つ、バラ蒔きで、できた縁で、アルビヨン内外に諜報網を構築していた。

ワイアットは、紳士らしからぬ自分で何も動かず、出世の報を待つと言った部類の人間ではなく、自らが動いて、多くの人々に了承してもらって、栄光ある地球連邦軍大将の座に座った、人物なのだ。

この程度のことを2つ同時にやることが出来ないと連邦軍高官の座には着けない。

連邦軍大将の座は、軽くはないのだ。

ワイアットが、独自諜報網を構築しているとある情報が、彼の耳に入った。

「私の事をジェームズやチャールズに嫌っているだと!」
ワイアットが手にした資料(紙は高い為と情報漏洩の危険から、ワイアット自身の作品と誤魔化す事が出来る木製の暗号符)には、アルビヨン皇太子ジェームズと第一王子チャールズが、かなりワイアットを危険視する動きがあると知った。

「この際、私は王になる野望が無いことを本人達に知らせるか。」
今、ワイアットは言ったことを実現する為に、ジェームズとチャールズが鍛練している王宮の指揮官訓練室向かった。

Sideチャールズ

我が弟のグリーンが、やって来て早々に、王になる気はないと言いた。

内容は、即位妨害等も、何も心配するなと言うようなことを言われた。

私は余り王になる気はなかったし、兄とも対立する気もなかったので、兄が王で決定だなと思っていた。

だがどうだろうか、近くにいた兄が、赤い顔してから青い顔になって私に「グリーンはどうして私の気持ちを知っていたのだ?」 と言われた。

私はグリーンの事が、かなり怖くなった。

Sideジェームズ

私の弟は、私が言うのもなんだが、かなり頭がよい弟達なのだ。

一番目の弟チャールズは、理想家的な所と情熱家な考えを持ち、将来の為の直轄地の一部を借りた領地経営に、置いても高い資質を見せている。

風の魔法も、トライアングルで更には、優秀な部下も心から忠誠を誓うと言った自慢の弟だ。

だが、野心の欠片も感じさせずに、飄々としていて、誰も敵を作らない所に、不気味さを感じる。

もう一人の弟グリーンは、私達とは違う母親を持つが、その容姿はアルビヨン王家の血を感じるもので、幼少の時から素晴らしい絵を書いたりする芸術家気質の天才児だ。

魔法に関しても、全ての系統がラインであり、グリーンの年からすれば、かなりの才能だと言える。

私もグリーンの鍛練に一度付き合ったことがあるが、直後に口の中に、血の味が広がり、息が切れてしまった。

そんな事を続けているのを見ながら、私はやめた。

私は、二人の弟と比較してどうだろう?何か優れた点はあるか?残念ながらないとしか言えん無いのだ。

私が優れているのは、チャールズより、グリーンよりも、早く産まれて、グリーンよりも母親の家柄が良い事ぐらいだ。

チャールズが言えば南側の貴族が、グリーンが言えば、マーベリックか各地の商人と利権に繋がった中小貴族が、我が前に立つだろう。

その事を考えていた私にグリーンは、王にならないと言った。

何処から聞いたのかは知らんが、これで器でも負けた気がした。

その事をチャールズに伝えると、チャールズは、見事な臣下の礼を見せた。

どうしようもない敗北感を感じながら、グリーンとチャールズの背に、父上を見た気がした。

Sideワイアット

ジェームズとチャールズには話した。

更に私に、アルビヨン王家に未練がないと知らしめる為に、トリステインに留学しよう。

私の戦略も捗るかもしれないからな、貴族の令嬢方の中から、家柄等も考慮して我が戦略を更なる一歩を決めようか。

そうなれば、マーベリックと父上に相談だな。

「父上、マーベリック、私は外をアルビヨン以外の外を学びたいです。噂に聞きましたがトリステインに、トリステイン魔法学院と言うところがあるそうですね?」
ワイアットはマーベリックからジョージ二世の方向を向く。

「確かにあるが。グリーン、お前はそこに行きたいのか?」
ジョージ二世は驚きを隠せなかった。

「陛下、これは良いことです。もしかするとトリステインからの輸入品が、安くなるかもしれませぬ。それに、もしもの時は、あの税等の屈辱を晴らす事が出来る名目に、出来ますぞ。」
マーベリックは冷静にそう告げる。

「馬鹿かマーベリック!自らの子を差し出して、輸入品を安くしろとは王家の恥。威信の揺らぎになるわ!」
ジョージ二世は声を荒げる。

「だが、あの屈辱を晴らしたくもある。」
ジョージ二世の声が、震えた。

「父上がどう言いましても私はトリステイン魔法学院にいきますからね。私の可愛い我が儘と思って許可をください。」
ワイアットは、押しきろうとした。

「ぬぅ、気持ちは、わかったぞグリーンよ。ただし、条件がある。」
ジョージ二世は、そう言う。

「何でしょうか?父上?」
ワイアットは、条件を聞き逃さぬように、ジョージ二世の言葉を聞く。

「グリーンよ、アルビヨン王家であることを学院の中で隠し抜ければ良い。それだけだ、条件は。しかし、辱しめを受ければ、伝えよ。」
ジョージ二世は、ワイアットにそう言い放った。

「陛下それは……。しかし……。」
マーベリックは、驚きを隠せなかった普段のジョージ二世からは、とても信じられない条件だ。

「父上わかりました。その条件を果たさせて頂きます。」
ワイアットは、ジョージ二世そう言うとそそくさと謁見の間から、自室に帰るのだった。

こうしてアルビヨン王家第二王子グリーンは、トリステイン魔法学院に通うことと相成った。



「私の考えが、間違っているかな?」
ジョージ二世が、マーベリックに聞いた。

「王の何が、間違っておられますかな?間違っていたとしたら、私の演技ですかな。」
マーベリックの冷淡なまでの声色に、空気は凍った。

謁見の間は、伏魔殿の様相を見せていた。 
 

 
後書き
書き方を少し変えてみましたがどうでしたか?

どうぞ感想をよろしくお願いいたします。
 
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