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インフィニット・ストラトス ~天才は天災を呼ぶ~

作者:nyonnyon
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第7話

 やぁ、みんなお待ちかねの最強系イケメンオリ主こと『御神(みかみ) 龍成(りゅうじょう)』だ。 みんな気がついていると思うけど俺は転生者さ。ファサァ

 前世の俺はキモデブヲタクと呼ばれる人種だった。 毎日家に引き籠もり、漫画、アニメ、ゲームの世界に没頭する日々。 ま、キモデブヲタクだったあの頃は別にどうでもいいんだ。

 そんなある日、朝おきたら真っ白な空間にいた。 テンプレだ。 絶対これは転生テンプレだと思ったね。 言っておくが、俺は各種二次創作小説(全年齢~18禁)まで全て読破していると自負している。
 明らかにテンプレのその光景を見ていたら、やっぱりテンプレの神様(じいさん)が現れた。

「お主には転生してもらう」

 テンプレ、キタ――――!!。 と思ってしまったのは仕方無いだろう?

「よし! じゃぁ色々転生特典をつけろ!! お前らが間違って殺したんだから問題無いだろう?」

 くっくっく、最強系イケメンオリ主になってやるぜ!!!

「は? 何を言うとるんじゃ、お主は高血圧による心不全で死んだんじゃ。 自業自得というやつよ」
「なに!? 心不全も神の手違いってやつだろう? つべこべ言わずに転生特典を寄こせ!!!」

 間違いを認めねぇ神だな。 テンプレ神のくせに誤りもしねえのか?

「はぁ、……なんじゃこの糞は。ボソ」

 なにボソッと行ってやがる。 さっさと俺を最強系イケメンオリ主にしやがれ!!!



 神のじいさんの言うことには、俺の魂は一定の周期で来る、前世の記憶を引き継いだ輪廻転生の周期に当てはまったのだとか。 そんなもん知るか!! 言い訳しやがって!!!

「それで、転生先と転生後の付与能力はどうするんじゃ?」

 これは神界テンプレらしく、死んだ魂には必ず聞いているのだとか。 そのあと、魂が浄化されてしまうので、付与能力などについては自分でも覚えていないことだ。 そこで選んだ転生特典により、運動神経のいいやつだったり、頭が極端にいいやつだったりになるらしい。
 と、そんなどうでもいい情報はポイだポイ!!

「転生先はISの世界!!! 付与能力はどれぐらいつけれる?」
「とりあえず言うてみぃ。 叶えられるかどうかは願い次第じゃ」

 くッ、能力限定型のテンプレか!!! しかし、数々の作品を読みあさった俺を舐めるなよ!!! こういうのはとりあえず言っとけばそれなりのもんが最低でもつくんだ!!

「なら、銀髪オッドアイのイケメンに。 あと、当然ISに乗れるようにしてもらい、千冬並のIS操縦技能と専用機。 ニコぽ、なでポの能力。 歴代英雄たちの戦いの勘と歴代英雄たちの格闘技能。 金に不自由しない暮らし。 それと、転生先は主人公たちの近く。 で、どうだ!?」

 こう言う転生でありがちなのが、強い力だけもらって、自身には何も戦闘能力を付与してもらわないことだ。 だから、結局強いけど格闘技術が伴わないアホが誕生する。 俺はそんな愚は犯さないぜ!!!

「う~む、最初のはええじゃろ。 じゃが、ISに乗れるようにするだけしか難しいの、世界の理を捻じ曲げないといけんでな。 じゃから千冬並のIS操縦技術は無理じゃな。 それなりの操縦技術程度じゃ。 まぁ、操縦技能は自分で磨けばええじゃろ。 専用機は無理じゃな。 ニコぽ、なでポは世界のバランスが崩れかねん能力じゃが本当に必要かの? 老婆であろうが、幼女であろうが強制的に自分に惹きつけてしまう能力じゃぞ? あと、相手が男であっても惹きつけるからの。 友達と楽しく過ごそうもんなら「ウホッいい男。 アッー!」な展開になること間違いなしじゃ。 それでもええならつけちゃる。
 歴代英雄の格闘技能と勘はつけちゃるが、ほんとに歴代の英雄じゃからな? ええか? 金に不自由しない暮らしはISに乗れるようになれば自然となるわい安心せえ。 主人公の近くに転生はさせたろう」

 おい、ちょっと待て、ニコぽ、なでポは、まて……。 あれってそんな能力だたのか……。

「ちょっとまて。 ニコぽ、なでポは、ちょっと威力を劣化させてくれ。 最低限男が釣れない程度には」
「まぁ、ええじゃろ、……オナゴにも効力が落ちるが言わんでええかの。ボソ」

 なにボソッと言ってんだ? さっさと能力を負荷してくれ。

「あと、物語の世界に転生させるので一つ注意事項じゃ。 お主の転生があった時点でその物語はお主が転生した物語に派生するからの。 まぁ、お主が主人公になれるかは努力次第じゃがな。 最近お主らの様な若者が増えて、やれ『原作ブレイク』じゃの、『原作知識総動員でハーレム』じゃのゆうとるからの。 希望を壊すようでなんじゃが、最早別ストーリーと思うておけ。 基本は原作に沿うがの。 まぁ、原作ブレイクじゃゆうとる奴らはうまれた時点で原作ブレイクっちゅうこっちゃ、……って、聞いておらんのぉ。 んでは、達者での」


 そうして俺は、ISの世界に転生したんだぜ!!


 転生して俺の意識が覚醒したのは3歳の時だった。 正直、赤ちゃんプレー等したくなかった俺にはちょうどいい。 これで母さんが美人だったらそのOPPAIにむしゃぶり付けなかったことを後悔もしただろうが、母さんは平凡な人だった。
 まぁ、OPPAIにむしゃぶり付けなかったことはチェリーだった俺にはどっちにしても後悔しかなかったがね!!

 意識が回復してすぐ、俺は主人公たちを探した。 近くに転生させてくれるとの事だったので、すぐに見つかるはずだ。



 しかし、一夏たちは見つからなかった。 詳しい町の名前や、位置等は原作では明かされていない。 必死に探したけど見つからなかった。 篠ノ之家の剣術道場すら見つけられなかったんだぜ?

 て訳で、一夏探しは断念した俺。 どうせ原作が始まれば関わることになるんだ。 今は色々転生特典の確認だな。





 スゲェとしか言いようがなかった。 ニコぽ、なでポの力はマジスゲェ。 通ってる幼稚園の女子をコンプリートしたぜ!! 物語の世界だけあって、ヒロイン以外も美少女がうじゃうじゃいるんだ。 ハーレム最高!!! そうそう、毎日、お昼寝の時間は俺の隣で誰がねるかでもめている。 ふッ、俺って罪な男だな。

「今日こそはあいつの隣で寝たくないの!!! 誰か変わってよ!!!」
「嫌よ!!! 全身からキモイオーラが出てるのよ!!!」
「公平にジャンケンで決めましょう!!!」
「でも先生は名前順だって……」
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 ふふ、俺のとなりを取られたくないと必死だな。 あんなに大声でとなりを変わりたくないってアピールするなんて……、かわいいやつだ。





 そうして迎えた『白騎士事件』。 やっぱり実際に見るとすげーな!!! 小説、漫画、アニメそのどれにも詳しい描写はなかったが、実際はこうなってやがったのか!! って感じだぜ!!
 多分、束であろうテロリスト総督が全世界に向けて宣戦布告。 それを束自身が止めに入るっていう、原作知識ありありの俺からしたら『エライ茶番だ』って感じの日本救出劇。
 まぁ、それによってISが認知され、世界に広まった。 世界初の男のIS操縦者になるため、ISに触れる機会を待ったが、一般にISが流れることなど全くなく、中学卒業を迎えた。
 だが、本番はここからだぜ!!! 待ってろよヒロイン達!!! 俺の魅力でメロメロにしてやるぜ!!!





 やっぱり現実世界になると色々と発見があるもんだ。

 先だってのヒロイン以外も美少女がウジャウジャいるってのもその一つ。
 それよりも、主人公『織斑 一夏』。 こいつがかなりのイケメンだった。 IS操縦できる二人目の男として顔合わせしたんだが、素でこのイケメンとは流石は物語の鈍感ハーレム王といったところか……。

 学園に入学が決まったあとも、何度か一夏と顔を合わせる機会があったので『五反田食堂』に連れて行ってもらった。 というより、政府からの説明会の後についていっただけだけどな。 まぁ、俺というイケメンのおかげで、一夏に集まる注目は皆無だけどな。

「なにあいつ……。 ニヤニヤしてて超キモいんですけど……」
「イケメンなのに気持ち悪いって最悪だねぇ」

 はっはっは!! 俺をたたえる女子の黄色い声が聞こえるぜ!!!







 今日が入学初日、一夏と同じクラスになるかと思ったら、別のクラスだった。 まぁ、あれだな、同じクラスに男を二人入れることに難色を示したとかそんなとこだろう。
 ふふ、感じる感じるぞ!! 女子の視線が!! このクラスの女子が総員で俺のことを見ているんだ。 クー!!! 超気持ちいいぜ!!! 一夏は何が嫌だったんだ!!? 注目を浴びるってすごく気持ちがいいのによ!!!
 それにしてもみんな俺を遠巻きに眺めているだけだな……。 ふッ、恥ずかしがることはないんだぜ。

「同じクラスに男のIS操縦者がくるって聞いてたんだけど……」
「あれはないわねぇ」
「ちょっとみんな!! もう一人の子、物凄くカッコイイよ!! それに、私たちを気にして、もじもじしちゃって可愛いし」
「見に行きましょう!!!」

 はっはっは、恥ずかしがって教室を出て行ってしまうなんて、なんて奥ゆかしい子達ばかりなんだ。






 放課後に一夏の元を訪れた。 案の定、一夏が頭から煙をだしていたが、帰るのか片付け始めた。 おかしいな? そろそろ真耶が来るはずなんだが……。

「イレギュラーか?」

 まぁいい、ココは主人公に勉強を教えるいい人になりきってやろう。 そういうところからハーレムに発生するんだゼ!! 皆覚えとけよな!

 一夏に声をかけたら、もう勉強を教えてもらう段取りをつけたらしい。 きっと箒だ!! 幼馴染特典をフル活用するとは中々あなどれんやつだな!! しかも参考書を捨ててないだと!? そうか、きっともう千冬からもらってたんだな。 原作にはそんな描写がなかっただけだろう。

 ちょっと一夏と話していたら真耶がやってきた。 おぉ、あれが学園最高峰のOPPAIか……やっぱスゲェな。 まぁ、すぐに俺のものになるだろうがな!!!





 事実は小説よりも奇なりってことがよくわかった。 それは二日目の放課後。

「よし! 一夏準備はいいか? 今からお前の実力を見てやる!!」

 剣道場で向かい合う、一夏と箒。 そう、一夏が中学3年間部活に行っていなかったことで弱くなったのを箒が知るあのイベントである。 当然、注目を浴びるイベントなので、剣道場の周りは大勢の女子が囲んでいる。
 一夏と箒の立会を見守るように俺と、もう一人女子がいる。
 ヤヴァイ、もう一人の女子が滅茶苦茶美少女だ。 OPPAIデケェ~!!! 流石物語の現実世界。 実際登場していなくてもこんな美少女が隠れているなんて!!! いや、これほどの美少女だ、もしかしたら俺が読んでいた巻より後で登場するヒロインなのかもしれんな。 こんな美少女が隠れていたなんて。 ホント、事実は小説よりも奇なりって感じだな。

「一夏ぁがんばれぇ、箒っちもカッコイイとこ見せてねぇ」

 どうやら既に一夏ラヴァズの一員らしい。 原作にはいなかった筈だが……。 そうか、描写しきれていなかったとかそんな所だろう。 ふふ、すぐに俺の魅力でメロメロにしてやるがな。 こんな美少女、『唐変木・オブ・唐変木ズ』の一夏にはもったいないぜ!!!

「なぁ君。 名前はなんていうんだい? あ、俺は『御神 龍成』。 一夏とは仲がいいのかな? 箒とも仲が良さそうだったけど」ニコッ
「おぉ、いきなり声をかけられたよ……。 ……あれだけ無視されたのに剣道場まで当然のようについてくるって何? 馬鹿なの? 死ぬの? すごくウザイんだけど……。 ボソ
 私は『友永 風音』だよ。 友永って呼んでね。 あ、さんもちゃんと付けること」
「ふ、わかったよ『かざn「友永さんね」……。 『かざn「友永さんだって」……。 ふぅ、仕方ないな。 『友永さん』。 ……別に恥ずかしがらなくてもいいのに」
「恥ずかしがってないよ。 名前を呼ばれたくないだけ」

 本当に恥ずかしがって……。 かわいいやつだなぁ。

「なんかムカつく空気を感じたんだけど……」イラッ

 ふふ、ツンデレってやつだな。 攻略のしがいがあるぜ。

 そんなツンデレな風音は、律儀に俺の問に答えてくれる。 かわいいやつだ。

「えぇっと、それで、一夏たちと仲がいいのかって? そうだね、今日一緒に朝食を取るぐらいには仲がいいよ。 あ、始まるみたい」

 まるで逃げるかのように目を逸らす風音。 ふふ、恥ずかしがってるんだな。

 そんなの気にしなくてもいいのに。 それにしても風音はいい女だなぁ。 美人だし、顔もちっちゃいし、何より体型が素晴らしい。 胸が大きく張り出している。 制服を押し上げるその双子山は素晴らしいな。 真耶ともまた違う素晴らしさだ。 それでいてバランスが崩れていないボディライン。 今現在はまだ、ちょっとツンツンした態度だが、それもいいな。 まぁ、風音も結局俺のハーレム入になるだろう。 その時にどんな甘え方をしてくれるのか、実に楽しみだぜ。

「そこまで!!!」

 お、勝負が終わったみたいだ。 次は俺の実力を見せてやるぜ。






 一夏と打ち合ってわかったことがある。 一夏、ちゃんと剣道を続けていたみたいだ。

 これでも私は全国で一位になっている。 それなりの心得はあると自負しているが、その私とまともに打ち合える一夏は相当な実力者だろう。 人のことを相当な実力者だろうとか分析しているのは、自分で自分が強いと言っているようで嫌だが、全国一位なのだしな。 行き過ぎた謙遜はイヤミになるだろう。
 一夏に労いの言葉でもかけてやろうかと思ったとき、そいつはやってきた。

「おいおい、情けねぇな一夏。 いくら中学三年間が忙しかったからといって、こんなに簡単に負けちまってよ」

 ……こいつは何を言ってるんだ? 一夏は私とまともに打ち合っていただろう?

「はぁ、またお前か……。 そもそもなんで俺たちの後を付けてきてんだよ……」
「それより、一夏の実力がわかった今、俺の実力も見せておかないとな!!!」
「いや、別にいらんし……」

 こいつの実力など別にどうでもいいのだがな……。 そういえば風音はどれぐらいの実力なのだろうか? よし、

「風音の実力は見てみたいなぁ」
「あ、それは俺もおもった」
「私!!?」

 お、慌ててる、慌ててる。 パタパタと手をふって、なんか可愛いなぁ。 きりっとしてれば凛々しいのに。 風音は本当に面白いやつだな。 こんな私と仲良くしようとするやつは中々いないからな。

「ふ、『かざn「友永さん!!」……。 『友永さん』とか? 俺は別にいいぜぇ。 一夏もよく見ておけよ。 (神様特典の)英雄の力ってやつを見せてやるよ!!」
「いや、だからお前は別にいらんし……」

 剣道場の周りに群がっていた女子も極端に数が減ったな。 残っているのは剣道部の生徒ぐらいだ。 まぁ、御神はそんなことに気がついていないみたいだけどな。

「まぁ、別にいいけど。 とりあえず竹刀で打ち込めばいいんだよね?」
「まぁ、俺は強いから、当たらんかもしれんがな」
「余裕だねぇ。 顔面に竹刀を叩き込もうか?」
「ははは!! 俺は最強だからな。 友永さんには悪いけど一発も当たらないと思うから防具もいらないよ」
「ウザッ!! もういい、ぶちのめしてやる!! 箒っち、ちょっと来て」

 そう言って更衣室に私を引っ張り込む風音。

「なんだいったい?」
「あのさ、ぶちのめしてやるとか言っちゃったけど、私剣道とかよく知らないんだけど。 せめて構えとかだけでも教えてくれるかな?」
「なんだ、知らなかったのか?」

 お願い! っとポーズをとる風音。 あぁ、可愛いなぁ。

 そんな風音にお願いされては教えるほか無いだろう。
 とりあえず基本の正眼の構えと面、胴、小手の打ち方を一通り教える。 一度見ただけで、「わかった。 ありがとう」とか言っていたが大丈夫だろうか?
 相手は自信満々だったし、それなりに心得はあるはずだ。 気になるな。 よし、見ておこう。






 俺と対峙している風音。 正眼に構えている姿はキリッとしていて凛々しい。 ますますいい女だな。 くくく、ココはいっちょいいところを見せて俺の虜にしてやろう。

「ふッ、いつでもいいぜ」ファッサァ
「ウザ!! 私もいつでもいいよぉ」
「そうか、では始め!!」

 おっと、始まったみたいだ。
 まずは優しく一発打ち込ませてやるか。

 だらりと脱力して構えない構えを実行する。 伝説の剣豪をトレースしているからな。 相手が飛び込んできた瞬間終わらせる事も可能だぜ!!

「構えないの?」
「ふ、構えていないように見えるのか?」
「いや、どう見ても構えてないでしょ……」
「なら、一発打ち込んでみるといい。 今ならサービスだ」
「……ホントウザい。 隙だらけなんだけど。ボソ じゃあ行くわ! はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 風音が飛び込んでくる。 ウホッ、OPPAIがたゆんたゆん揺れてるぜ!!! 眼福眼福。
 飛び込んだ勢いのまま竹刀を振り下ろして来る風音。 中々鋭いが、英雄の戦闘技能を持っている俺には止まって見えるぜ!!

「ふッ」サッ

 紙一重で竹刀を見切り、半身になって交わす。 交わしたことに驚いたのか、若干目を見開く風音。 そんな顔も可愛いな。

「どうした、あたってないぞ?」
「くッ、まだまだぁぁぁぁ!!」

 何度も何度も、面、胴、小手、全てをまるで剣道のお手本のような動きで放ってくる風音。 その度に揺れるOPPAIが何とも言えないぜ。
 しかも、基本に忠実な面、胴、小手の打ち方なので、対処も簡単だ。 フェイントを使ってくる様子もない。 風音は素人だな。 それが俺に挑んできている時点で俺の勝ちは揺るがない。 軽く指導でも混ぜながら打ち合ってやれば俺のことを認めて落ちるだろう。 くっくっく、こう言うツンな女ほど、甘えたときは激しいんだ。 俺の美少女ゲーマーとしての勘が告げているぜ!!!

「甘い甘い!!! そらこっちからもそろそろ行くぞ!!」

 かなり手加減をして面を放つ。 今まで防戦一方だった俺からの突然の反撃に慌てたように防御姿勢をとる風音。

 バシィィィ!!

 竹刀と竹刀がぶつかり合う音が道場に響く。

「くッ!!!」
「どうした? 威勢が良かったのは最初だけか?」
「舐めるなぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 ガッ!!! と気力で押し返して来る風音。
 そのまま俺をおした勢いを利用し面を放ってくる。

「力任せに打ったって当たらないぞ。 もっと流れを意識しないとな」
「うるさい!!!」
「はっはっは、鍔迫り合いに持ち込まなくても、こうやって崩してやれば隙ができるんだぞ」

 風音からの面を受けると思わせて、相手の竹刀にあわせ、刀身を滑らせるようにいなす。
 くっくっく、ココはかっこよく決めてやるぜ。

「御神流……『白刃流し』」
「何!? 全部いなされてる!!?」

 面、胴、小手、どこに打っても刀身を受け流すこの技。 実際は今作った、勘と技術による受け流しなので、実践的な剣術相手に使えるかはわからない。 風音が素人で基本的でしかも模範的な打ち込みだから使えるような技だ。

「どうした。 そんなんじゃ俺には届かないぞ」
「くッ!! これならどうだ!!!」
「ふッ、それも白刃流しの前には無意味。 さて、そろそろ終わらせるぞ」

 さぁ、相手のおお振りを避けて、懐に潜り込み、軽く面にヒットさせるだけでOKだろう。 よくある男前の主人公がやる、あの、

「ポンッ まだまだだなぁ」
「ちぇ、また負けちゃったかぁ」
「はは、精進しろよ」

 てやつだな。

 これはこのイケメンがやれば完璧だろう。









「ほうっておいていいのか?」
「車車さんを呼んで回収してもらえば問題ないでしょ」

 そう言いながら風音は竹刀を渡してくる。

 こいつはやっぱりすごい奴なのかもしれない。 御神と立ち会った際、正眼の構えをとっていたが、先ほど私が見せたものより完璧に近いバランスで構えていたのだから驚きだ。 まさか私の構えの癖まで見抜いて矯正しているとはな。

 それに対し、御神は……ダメだな。 何をカッコつけているのかは判らんが、構えも取らずにだらりと腕を下げているだけ。 漫画やアニメの世界では、強い剣士などが『構えも取らずに一分の隙もない構えをとる』なんてことをやったりもしているが、コイツのは本当にただ構えていないだけ。 注意力も散漫だし、重心の配分も滅茶苦茶だ。 いや、どちらかといえば、いろんなモノを混ぜすぎてミックスジュースがヘドロになってしまった感じだな。 どれか一つに絞ればそれなりのものにはなりそうなのに、無理に混ぜようとして失敗した感が丸出しだ。

 風音もそれに気がついたのか隙だらけだと言って面を打った。 その面打ちもすごく綺麗な動作で、正直ゾクッと来るほど美しかった。 もし竹刀じゃなくて真剣であったなら、有無を言わせず相手を一刀両断していたかもしれない。
 それほどに美しい一撃を隙だらけの御神がよけれるはずもなく、あっけなく脳天に一撃をもらって昏倒した。

 何やら幸せそうな顔をして倒れているし、別にいいか。

「よし、これで一夏、風音共に大体の実力はわかった。 一夏も鍛錬を怠らなかったようだしな」
「あぁ。 ホントは中学三年間は千冬姉にかわって家事全般をするために帰宅部になろうと考えてたんだけど、千冬姉から、「一度始めたんなら途中で投げ出すな。 最低でも今の実力を保つようにはしておけ」って言われてさ。 だからちゃんと続けてたんだよ」
「よし、これなら剣の修行はそんなにしなくていいな。 なら、明日からはISの訓練に時間を費やすか」
「おう!! 俺もISの訓練がしたいと思ってたしな」
「そうだろうと思って明日のIS使用許可とアリーナの使用許可は取っておいたよん」
「おぉまじで!!! 流石風音だぜ!! 準備がいいなぁ」

 ほんとにな。 ISの使用許可ってそんなに簡単にとれるものじゃないはずだろう? それにアリーナの使用許可も。 手際がいいとかいうレベルじゃ無いと思うんだが……。 まぁ、風音だしな。






「ふぁぁ、よく寝た。 昨日は風音とあんなことやこんなことをして楽しんじまったぜ。 なぁ、風n……」

 剣道勝負が終わったあと、俺に惚れてしまった風音を伴い、部屋で激しく愛し合ったあと、一緒に布団に入って寝た。 右腕に感じる重みを愛おしく思いながら目を開くとそこには、俺の腕で腕枕をしながら上半身裸でこちらを見つめるごついおっさんがいた。

「うわぁぁぁぁ!!!! なんだこの化物は!!!! 風音は!! 風音はどこだ!!! 昨日俺とあんなに愛し合った風音は」

 一瞬にしておっさんを吹っ飛ばし、起き上がる。 あれ!? なぜ俺は全裸なんだ!!? 一応パンツは履いて寝たはず……。

「起きたみたいねぇん。 坊や、よく眠っていたわねぇん。 もう少し眠っていれば、めくるめく天国へ連れて行ってあげたのにねぇん」

 おぇぇぇぇぇぇぇ。 なんだこの気持ち悪い生物は!!!!

「大丈夫よぉん。 ここはぁ、私のお・し・ろ♪。 たとえ千冬ちゃんだって入ってこれないわぁん。 さぁ、朝までたのしみましょぉぉぉぉぉぉぉぉん」

 ガバ!!!!

 勢いよく立ち上がった気持ち悪い生物。 別の場所も勢いよく立ち上がっとる!!!!!!!!

「やめろぉぉぉぉぉぉ!!!! 化物!!!!! 誰か助けてくれ!!!!」
「ヲォホホホホ。 恥ずかしがって可愛いわねェん。 大丈夫よぉん。 みんな最初はそう言う態度だけれど、始まればおとなしくなるのよぉん」

 それは諦めただけだろう!!! 俺はなんとしても逃げる!!! おぉぉぉぉぉ。 キモいものをビンビン揺らしながら近づいてくるんじゃねえ!!!! うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ、男として憧れるサイズだけにこっちに向けられるのは辛い!!!! ぜってぇ逃げてやる!!!!!!!!!!

「いやだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」






「なんか今聞こえなかった?」
「いや、俺は聞こえなかったぞ?」
「そう? 魂の叫びみたいな声がしたと思ったんだけど……」
「う~ん。 気のせいじゃないか? それよりそろそろ寝ないと明日に響くぜ」
「そうだね。 お休み一夏」
「あぁ、おやすm……ってもう寝てるのか。 相変わらず早すぎだろ」

 はぁ、今日は悶々しないように早く寝よう。





 その後、騒ぎを聞きつけた他の職員先生によって、御神は救出されたらしい。

「あと数秒遅ければ俺の城門は破られていただろう」とは、どこかの銀髪オッドアイのセリフである。 
 

 
後書き
ネタ解説

ウホッいい男。 アッー!:ベンチで座って待っている青いツナギの男性Aさんです。

クー!!!:熱くサッカーを語るあの方になったつもりで読んで頂ければ……。

超気持ちいい:平泳ぎのすごい人。

さんもちゃんと付けること:「さんくれろ」のピンポン最強伝説より。 
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