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平凡な兄妹

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第三章

「これ二人でやればね」
「どうだってんだよ」
「もう夜も働く必要ないから」
「内職って何処のジャパニーズだよ」
 貧乏な、とつく。
「今のジャパニーズがしてるかどうか知らないけれどな」
「今もあるでしょ。というかお兄ちゃんその日本人より働いてるから」
「夜も休めっていうのかよ」
「そう、これからは内職を二人でやればね」
 夜のコンビニの分も稼げるというのだ。
「だから頑張ろう」
「朝の仕事も取って今度はそれかよ」
「その分休めるわよ。お昼に専念してね」
「あのな、俺はな」
「私の為だったら私も働くわよ」
 リリィはすぐに兄に言った。
「そうすればいいじゃない。それにね」
「それにって何だよ」
「私達兄妹じゃない」
 ビリーと同じことを言うがその中身は違っていた。
「だったら当然のことよ」
「二人で働くことがかよ」
「そう、お兄ちゃんの自動車工場って忙しいでしょ」
「ああ、忙しいだけに収入はいいさ」
 アメリカは車社会だ、あれば売れる。
「確かにビッグスリーはふらついてるけれどな」
「ずっと働き詰めよね。じゃあ朝は休んで」
「夜の分は二人でかよ」
「これからはそうしていきましょう」
「で、勉強もするんだな。御前は」
「カレッジには行くから」
 リリィはこれは絶対とした。
「何があってもね」
「それはかよ」
「けれど学費だってね」
「自分で稼ぐっていうんだな」
「その甲斐性はあるつもりだから」
「全く。口だけじゃないってのがな」
 ビリーはこれまでのことでこのこともわかってきていた。
「憎たらしいな」
「何言ってるのよ、お兄ちゃんだってじゃない」
「俺もかよ」
「実際に働くって言って働いてるじゃない」
「口だけとか嫌いなんだよ」
 これがビリーの信条である。 
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